Best Top 8 Ever?

  • Print

8人あわせてのグランプリ決勝ラウンド進出回数が通算56回。これまでの獲得賞金総額$451,865。すなわち、あわせて5000万円弱をカードゲームで稼ぎ出しているという、世界的に見ても驚異的な『濃さ』の8人によるプレイオフが北九州にて展開された。特に、石田 格(東京)と森田 雅彦(大阪)にとっては、あのKai Budde(ドイツ)を抜いての、グランプリでの決勝ラウンド進出が15回という高みに到達した記念すべき大会となった。

そんな過酷極まりない戦いの末に選ばれた二つのデッキが"Scepter Chant"と"Dredge-a-Tog"という二つの青いデッキだった。そして、鍛冶 友浩(埼玉)は《ウルザの激怒/Urza's Rage》をキッカーでプレイし、小倉 陵(愛知)との戦いを2連勝で飾った。

"世界のKJ"が初タイトルを手にした瞬間だ!

また、まったく同じフォーマットのプロツアーからわずかに1週間という時間でまったく新しいアーキタイプを提唱した三原 槙仁(大分)の活躍にも言及しておこう。注目の「発掘」エンジン――《壌土からの生命/Life from the Loam》とサイクリングランドとフェッチランド――を、《突撃の地鳴り/Seismic Assault》という直接的なフィニッシュブローへと昇華させた意欲作は、間違いなく世界中のマジックファンの話題となるはずだ。

Confinement-Assault-Lifeこと"THE CAL"は、かつての"Tax-Edge"デッキさながらにエポックとなるだろう。

今月末に横浜で行われる世界選手権大会でも採用されるエクステンデッド・フォーマットだけに、このグランプリ北九州というイベントがメタゲームにどうような一石を投じたか、是非とも見守っていきたい。


Quarterfinals   Semifinals   Finals   Champion
1 Masahiko Morita   Ryo Ogura, 2-0        
8 Ryo Ogura   Ryo Ogura, 2-1
       
4 Masashi Oiso   Masashi Oiso, 2-1   Tomohiro Kaji, 2-0
5 Itaru Ishida    
       
2 Jin Okamoto   Tomohiro Kaji, 2-1
7 Tomohiro Kaji   Tomohiro Kaji, 2-1
       
3 Makihito Mihara   Makihito Mihara, 2-1
6 Akira Asahara    


観戦記事 ベスト8最終順位

  • Blog - 11:23.m.: 決勝:小倉 陵(愛知) vs. 鍛冶 友浩(埼玉)
    by Koichiro Maki
  • Blog - 11:08.m.: 決勝:小倉 陵(愛知) vs. 鍛冶 友浩(埼玉)
    by Koichiro Maki
  • Blog - 10:49.m.: 準決勝:大礒 正嗣(広島) vs. 小倉 陵(愛知)
    by Keita Mori
  • Blog - 10:26.m.: 準々決勝:岡本 尋(愛知) vs. 鍛冶 友浩(埼玉)
    by Koichiro Maki
  • Blog - 9:33.m.: 準々決勝:浅原 晃(神奈川) vs. 三原 槙仁(大分)
    by Koichiro Maki
  • Blog - 8:51.m.: The Best Top 8 Ever in Japan!?
    by Keita Mori
  • Blog - 8:08.m.: Feature: The Top 8 Player Profiles
    by Event Coverage Staff
  • Blog - 7:46 p.m.: Decklists: The Top 8 Decks
    by Event Coverage Staff



  • Day 2 Blog Archive: Metagame Breakdown, Day 1 Undeafeated Decks, Top Pro Play, and More!
    by Event Coverage Staff



  • Day 1 Blog Archive: Friday Last Chance Trial Winner Decks, 初めてのサイカ算, Top Pro Play, and More!
    by Event Coverage Staff
  • Info: Fact Sheet
    by Event Coverage Staff
 1.  Tomohiro Kaji $2,400
 2.  Ryo Ogura $1,700
 3.  Makihito Mihara $1,200
 4.  Masashi Oiso $1,000
 5.  Masahiko Morita $800
 6.  Jin Okamoto $800
 7.  Itaru Ishida $800
 8.  Akira Asahara $800
組合 結果 順位
最終
13
12
11
10
9
8
13
12
11
10
9
8
13
12
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
7
6
5
4
3
2
1
7
6
5
4
3
2
1
BLOG



 
  • Sunday, Nov 6: 7:46 p.m. - Decklists: The Top 8 Decks
    by Event Coverage Staff











  •  
  • Sunday, Nov 6: 8:08 p.m. - Feature: The Top 8 Player Profiles
    by Event Coverage Staff

  • ■森田 雅彦/Masahiko Morita

    Masahiko Morita

    ――年齢・お住まいの都道府県・ご職業をおしえてください。

    23歳。大阪府在住。フリーター。

    ――おもなマジックでの戦績をおしえてください。

    マスターズ・ベニス優勝。
    グランプリベスト8入賞14回。
    プロツアー出場多数

    ――今大会にむけてどのような準備をしましたか? プレイテストパートナーや所属チームを教えてください。

    モリカツ(森 勝洋)に三日前から電話で聞いてきました。
    調整相手は関西人の友人各位。

    ――使用デッキのデザイナー、『特徴』や『工夫点』を教えてください。

    モリカツ式セプターチャントです。

    メインにも《賛美されし天使/Exalted Angel》が入ったことと、《狡猾な願い/Cunning Wish》から12枚のスペルにアクセスできること。

    ――今大会で見かけたデッキの中で、あなたがもっとも感銘を受けたのは誰のどのデッキですか?

    このデッキではないですね。

    ――今大会の結果を受けて、来週末に同じフォーマットのPTQに出場することになるとしたら、どんなデッキで出場しますか?

    親和。

    ――予選ラウンドで印象に残っているエピソードを教えてください。

    相手のライフがBob Maher(=《闇の腹心/Dark Confidant》)で17点削れてくれたこと。




    ■大礒 正嗣/Masashi Oiso

    Masashi Oiso

    ――年齢・お住まいの都道府県・ご職業をおしえてください。

    21歳。広島在住。大学生。

    ――おもなマジックでの戦績をおしえてください。

    プロツアーで決勝ラウンド進出5回。
    マジック・インビテーショナル出場。
    グランプリ・ボストン優勝。

    ――今大会にむけてどのような準備をしましたか? プレイテストパートナーや所属チームを教えてください。

    準備としては洗濯をすませてきました。プレイテストはイメージトレーニングや一人マジックです。

    ――使用デッキのデザイナー、『特徴』や『工夫点』を教えてください。

    モリカツ式セプターチャントです。デザイナーは森 勝洋。

    特徴はサイドボードの14枚、特に大活躍だったのは《ウルザの激怒/Urza's Rage》です。

    ――今大会で見かけたデッキの中で、あなたがもっとも感銘を受けたのは誰のどのデッキですか?

    このデッキでしょう。

    ――今大会の結果を受けて、来週末に同じフォーマットのPTQに出場することになるとしたら、どんなデッキで出場しますか?

    親和。《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》は3枚が良さそうです。

    ――予選ラウンドで印象に残っているエピソードを教えてください。

    うまれてはじめて四回マリガンを選択しました。初手3枚は新境地でした。




    ■浅原 晃/Akira Asahara

    Akira Asahara

    ――年齢・お住まいの都道府県・ご職業をおしえてください。

    27歳。神奈川県在住。プロプレイヤー。

    ――おもなマジックでの戦績をおしえてください。

    カメレオンクラブ杯優勝。

    ――今大会にむけてどのような準備をしましたか? プレイテストパートナーや所属チームを教えてください。

    山篭り。パートナーはパンダです。

    ――使用デッキのデザイナー、『特徴』や『工夫点』を教えてください。

    自作の《平等化/Balancing Act》デッキで、サイドボードに《歯と爪/Tooth and Nail》が入っています。

    ――今大会で見かけたデッキの中で、あなたがもっとも感銘を受けたのは誰のどのデッキですか?

    プロツアーチャンプである小室さんのデッキですね。

    ――今大会の結果を受けて、来週末に同じフォーマットのPTQに出場することになるとしたら、どんなデッキで出場しますか?

    《サルカトグ/Sarcatog

    ――予選ラウンドで印象に残っているエピソードを教えてください。

    《テラリオン/Terrarion》はカウンターされるが《彩色の宝球/Chromatic Sphere》はウンターされないことが多かった。




    ■岡本 尋/Jin Okamoto

    Jin Okamoto

    ――年齢・お住まいの都道府県・ご職業をおしえてください。

    30歳。愛知県在住。プロフェッショナル・ゲーマー。

    ――おもなマジックでの戦績をおしえてください。

    最後のアジア選手権優勝。
    世界選手権準優勝。
    チームプロツアー準優勝。

    ――今大会にむけてどのような準備をしましたか? プレイテストパートナーや所属チームを教えてください。

    イメージトレーニング。

    ――使用デッキのデザイナー、『特徴』や『工夫点』を教えてください。

    Antoine Ruel(フランス)をパクり、自分が使いやすいように調整しました。

    ――今大会で見かけたデッキの中で、あなたがもっとも感銘を受けたのは誰のどのデッキですか?

    三原 槙仁の作ってきた《突撃の地鳴り/Seismic Assault》デッキ。

    ――今大会の結果を受けて、来週末に同じフォーマットのPTQに出場することになるとしたら、どんなデッキで出場しますか?

    細かい部分だとか色はともかく、《サイカトグ/Psychatog》が入っていることは確定。

    ――予選ラウンドで印象に残っているエピソードを教えてください。

    4ターン目に「召喚」した《不可思議/Wonder》で殴りきったこと。




    ■三原 槙仁/Makihito Mihara

    Makihito Mihara

    ――年齢・お住まいの都道府県・ご職業をおしえてください。

    23歳。大分県在住。大学生。

    ――おもなマジックでの戦績をおしえてください。

    2003、2004、2005日本選手権でベスト8進出。

    ――今大会にむけてどのような準備をしましたか? プレイテストパートナーや所属チームを教えてください。

    自分でデッキを作成しました。

    ――使用デッキのデザイナー、『特徴』や『工夫点』を教えてください。

    《突撃の地鳴り/Seismic Assault》に気がついたこと。

    ――今大会で見かけたデッキの中で、あなたがもっとも感銘を受けたのは誰のどのデッキですか?

    自分のデッキですね。

    ――今大会の結果を受けて、来週末に同じフォーマットのPTQに出場することになるとしたら、どんなデッキで出場しますか?

    セプターチャント。

    ――予選ラウンドで印象に残っているエピソードを教えてください。

    なんと、セプターチャントと《精神の願望/Mind's Desire》デッキに勝てたこと。




    ■鍛冶 友浩/Tomohiro Kaji

    Tomohiro Kaji

    ――年齢・お住まいの都道府県・ご職業をおしえてください。

    21歳。埼玉県。大学生。

    ――おもなマジックでの戦績をおしえてください。

    プロツアー・アトランタ第4位。

    ――今大会にむけてどのような準備をしましたか? プレイテストパートナーや所属チームを教えてください。

    森 勝洋先生とグランプリ前日に最終調整を行いました。

    ――使用デッキのデザイナー、『特徴』や『工夫点』を教えてください。

    サイドボードのインスタント12枚。

    ――今大会で見かけたデッキの中で、あなたがもっとも感銘を受けたのは誰のどのデッキですか?

    自分のデッキ。

    ――今大会の結果を受けて、来週末に同じフォーマットのPTQに出場することになるとしたら、どんなデッキで出場しますか?

    今日と同じセプターチャント。

    ――予選ラウンドで印象に残っているエピソードを教えてください。

    最終戦に勝ちました!




    ■石田 格/Itaru Ishida

    Itaru Ishida

    ――年齢・お住まいの都道府県・ご職業をおしえてください。

    26歳。東京都在住。クリエイター。

    ――おもなマジックでの戦績をおしえてください。

    PTシアトル準優勝。
    グランプリベスト8入賞が14回。

    ――今大会にむけてどのような準備をしましたか? プレイテストパートナーや所属チームを教えてください。

    得意のあわせ技です。大澤 拓也、小倉 陵、高桑 祥広。

    ――使用デッキのデザイナー、『特徴』や『工夫点』を教えてください。

    サイカトグと発掘サイカトグのハイブリッドです。

    ――今大会で見かけたデッキの中で、あなたがもっとも感銘を受けたのは誰のどのデッキですか?

    リアニメイトのタイタンですね。

    ――今大会の結果を受けて、来週末に同じフォーマットのPTQに出場することになるとしたら、どんなデッキで出場しますか?

    エイトマン。

    (編註:エイト・マングースのスレッショルドデッキ)

    ――予選ラウンドで印象に残っているエピソードを教えてください。

    相手のマリガンが10回以上。




    ■小倉 陵/Ryo Ogura

    Ryo Ogura

    ――年齢・お住まいの都道府県・ご職業をおしえてください。

    21歳。愛知県在住。大学生。

    ――おもなマジックでの戦績をおしえてください。

    世界選手権3位。

    ――今大会にむけてどのような準備をしましたか? プレイテストパートナーや所属チームを教えてください。

    前日までコンサートに行くかどうかの二択でした。
    石田 格さんと大澤 拓也が調整相手です。

    ――使用デッキのデザイナー、『特徴』や『工夫点』を教えてください。

    高桑 祥広デザイン。Antoine+津村÷2です。

    ――今大会で見かけたデッキの中で、あなたがもっとも感銘を受けたのは誰のどのデッキですか?

    森 勝洋のセプターチャント。

    ――今大会の結果を受けて、来週末に同じフォーマットのPTQに出場することになるとしたら、どんなデッキで出場しますか?

    トークンが出るデッキでしょうね。

    ――予選ラウンドで印象に残っているエピソードを教えてください。

    世界のコガモ(津村 健志)さんがベスト8入りできなかったこと。



     
  • Sunday, Nov 6: 8:51 p.m. - The Best Top 8 Ever in Japan!?
    by Event Coverage Staff

  • 今大会の決勝ラウンドに勝ち残ったのは揃いも揃って名の知れた強豪たちである。8人あわせてグランプリ決勝ラウンド進出回数が56回という驚異の豪華メンバーなのだ。

    せっかくの機会なので、彼らのグランプリとプロツアーの決勝ラウンド進出回数、生涯獲得賞金額(プロポイントのからむイベントに限る)といったデータをまとめてみた。

    おそらく、「北九州はすごかった」と、後々に様々なところで引用される伝説のイベントになることは間違いないだろう。



    プレイヤー名 居住地域 GP Best 8 進出 PT Best 8 進出 生涯獲得賞金額(11/3付け) Deck
    森田 雅彦 大阪 15回目 -- $67,095 Scepter-Chant
    石田 格 東京 15回目 1回 $103,220 Dredge-a-Tog
    大礒 正嗣 広島 8回目 5回 $98,260 Scepter-Chant
    浅原 晃 神奈川 6回目 -- $23,995 Balancing Act
    岡本 尋 愛知 5回目 2回 $110,273 Psychatog
    小倉 陵 愛知 3回目 1回 $23,400 Dredge-a-Tog
    鍛冶 友浩 埼玉 3回目 -- $25,622 Scepter-Chant
    三原 槙仁 大分 -- ※リスト掲載圏外 Confinement Assault Life
    参考データ
    Kai Budde ドイツ 14回 9回 $352,620 --
    Jon Finkel アメリカ 9回 11回 $291,869 --


     
  • Sunday, Nov 6: 9:33 p.m. - 準々決勝:浅原 晃(神奈川) vs. 三原 槙仁(大分)
    by Event Coverage Staff

  • 浅原 晃

    他の準々決勝が全てサイカトグ vs. セプターチャントという心温まる状況が実現してしまったその横で、何故かローグ王決定戦が勃発した。

    現在 Finals 二連覇中の浅原 晃が構築したのは、《平等化/Balancing Act》デッキ。一方で、ここ九州の雄でもある三原が構築したのは、《独房監禁/Solitary Confinement》《突撃の地鳴り/Seismic Assault》《壌土からの生命/Life from the Loam》をキーカードとする"CLA"だ。

    ただ一つカウンター呪文が飛び交わないテーブルで、勝利するのはどちらのプレイヤーとなるのだろうか。

    Game 1

    《極楽鳥/Birds of Paradise》から《ゾンビの横行/Zombie Infestation》。三原は順調に繋げながらも一言呟いた。

    「プレイングが解らん」

    それもそのはず。浅原が使用するのは、フィールドには僅かしかいない《平等化/Balancing Act》デッキだからだ。《平等化/Balancing Act》が唱えられれば、全てのパーマネントはリセットされてしまう。そのデッキ相手に、《ゾンビの横行/Zombie Infestation》を利用したビートがどこまで有効に働くのか、感覚として掴みきれないのである。

    だが、浅原も同様に不安を抱えてきたはずだ。ベスト8に至るまでの道のりで、浅原は、「相手が自分のデッキを理解していない」ことによるアドバンテージを利用していた。だが、トップ8に入った段階で、全員のデッキリストは完全に公開される。こうなってしまっては、秘密パワーは使えない。

    主導権を最初に握ったのは、三原だ。サイクリングランドと《壌土からの生命/Life from the Loam》というエンジンの入手に成功し、サイクリングを続けながら必要なカードを探し求める。

    対抗して、浅原も《火+氷/Fire/Ice》と《彩色の宝球/Chromatic Sphere》によるドローを続けながら手札を拡充させる。三原のと違い、手札が明らかになっていない分だけ、不気味である。

    浅原は、目の前に5枚の土地が並んだところで動いた。

    《燃え立つ願い/Burning Wish》から《平等化/Balancing Act》を入手。だが、唱えずに、そのままターンを渡す。何かが足りていないのだろうか。それとも、相手の何かを待っているのだろうか。

    もう一度《火+氷/Fire/Ice》を使った後に、浅原は全ての土地をサクリファイスし、大量のマナを生み出すと、《平等化/Balancing Act》を唱えた。余したマナは、Black ManaBlack ManaGreen ManaGreen Mana

    三原も動く。おそらく、出てくるクリーチャーは《土を食うもの/Terravore》。マナと《化膿/Putrefy》さえ用意出来れば。もし、それが適わないのならば、《ゾンビの横行/Zombie Infestation》で全ての手札を対応して捨ててしまえば、相手も《土を食うもの/Terravore》を捨てざるを得ない。

    完璧だ。

    《化膿/Putrefy》を発見できなかった三原は、全てのカードを捨て、浅原にも全手札のディスカードを要求する。二人揃って、手札は完全にすっからかん。そして場にもすっからかん。よく解らない場が完成した。

    だが、違いはあった。墓地の中に。

    浅原は余ったマナで、墓地に落ちた《ワームの咆哮/Roar of the Wurm》をフラッシュバックで召喚。

    「あ!」

    三原は思わず声を上げた。完全に失念していた。

    無人の荒野にワームの咆吼が。

    浅原 「あれだけ引いたのに、《陰謀団式療法/Cabal Therapy》も《燃え立つ願い/Burning Wish》も無いとは」

    浅原 1 – 0 三原

    Game 2

    「ひぃ~」

    2匹の《極楽鳥/Birds of Paradise》を《火+氷/Fire/Ice》の炎で殺された三原が悲鳴を。すっかり、ドローするためだけの呪文と思い並べてしまったからだ。だが、《壌土からの生命/Life from the Loam》があったので、なんとか致命傷にはならずに済む。

    そのまま淡々とデュエルが進んだ時に、事件は起きた。

    《頭蓋の摘出/Cranial Extraction

    カウンター能力を持たない浅原のボディに、呪文は容易く突き刺さる。宣言は、浅原にとって最も重要な攻撃生物。そう《土を食うもの/Terravore》だ。

    これこそ、デッキリストが公開されたことで、浅原が恐れていたことの一つだ。浅原のデッキは、その大半をコントロール相手の妨害要素とドロー加速にあてているため、勝利する為のパーツは非常に少ない。特に、殴るクリーチャーの種類が。

    「もう《歯と爪/Tooth and Nail》で持ってくるクリーチャーーいませんよね?」
     
    浅原のライブラリーに《歯と爪/Tooth and Nail》を確認した三原は、こう尋ねた。

    「俺に聞かれても」

    一言。そこからは、ほぼワンサイドゲーム。次の《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》で《燃え立つ願い/Burning Wish》を抜き取られ、《永遠の証人/Eternal Witness》がそれを回収すると、今度は《平等化/Balancing Act》が、浅原のライブラリーから消え去った。

    三原 槙仁

    その隙に、なんとか《ワームの咆哮/Roar of the Wurm》トークンでのビートダウンを狙ってはみるが… 《燃え立つ願い/Burning Wish》からの《チェイナーの布告/Chainer's Edict》で処理されてしまい。

    観念。

    浅原 1 – 1 三原

    Game 3

    浅原が土地を並べる間に、三原は《極楽鳥/Birds of Paradise》から《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》、《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》と展開。

    浅原は、3枚の土地と《彩色の宝球/Chromatic Sphere》を並べたところで長考に入った。それもそのはず。ここでターンを終えれば、三原は、初めて4マナ域に到達することになる。つまり、《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》を唱えるマナが揃うということだ。

    もし唱えられれば、先ほどと同様、《土を食うもの/Terravore》もしくは《平等化/Balancing Act》が死滅してしまう。

    浅原は、三原のドロー時に《枯渇地帯/Blasted Landscape》を唱えた。

    だが、所詮は一時しのぎ。根本的な解決を図るには、なにかしら動かなければならない。浅原は、1枚増えて4枚並んだ土地を見ながら、必死にプランを練った。

    完成したのだろうか? 浅原は、サイクリングランドをセットするとターンを終えた。

    三原がドローした後も、浅原は動かなかった。さぁ、三原はあのカードを持っているのだろうか?

    三原がプレイしたのは…《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》だった。《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》は持っていなかった。少なくとも今は。だが、《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》のシャッフル能力と《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》を考えると、次のターンも同じとは限らない。

    浅原が5枚の土地を前に考えを再構築する。

    「違うゲームみたいだ」

    三原がそう呟いたが、確かにそうだ。このゲームはどこまで浅原がマナのある三原にターンを返せるかのチキンレースである。

    《平等化/Balancing Act

    浅原はついにリセットボタンを押した。余ったマナは、緑緑を含む合計5マナ。浅原はそのマナで《土を食うもの/Terravore》を召喚し、三原は出しておいたマナでそれを《化膿/Putrefy》した。

    次のターン、浅原がドローしたカードは、《オアリムの詠唱/Orim's Chant》だった。もう1ターン我慢できれば、そしてその1ターンに何事も起こらなければ。《土を食うもの/Terravore》の召喚前に《オアリムの詠唱/Orim's Chant》を唱え、《化膿/Putrefy》されることはなかった。

    三原も《極楽鳥/Birds of Paradise》を抱えていたので単純に考えると殴れるチャンスは1ターンしかなかった計算になるが、そこで更に《火+氷/Fire/Ice》の後押しを出来るようなら。

    全ては仮定の話だ。

    一度流されることを前提に動いていた三原は、素早く復興を終えた。だが、肝心の《頭蓋の摘出/Cranial Extraction》がないので、ゲームを決められるわけではない。その間に、浅原も二度目の《平等化/Balancing Act》の準備を終えた。

    ただし、完成したのは《平等化/Balancing Act》の準備だけだ。同時に唱える《土を食うもの/Terravore》も手札にはないし、それを召喚するだけの余剰マナもない。なので、まだスイッチボタンは押せない。押す以上は、必殺でなければならないからだ。

    その間に、三原の《永遠の証人/Eternal Witness》がダメージを重ね、いつしか浅原のライフは4にまで追い込まれた。

    浅原はスイッチを押す。押すしかなかった。

    だが、用意しておいた土地と、《壌土からの生命/Life from the Loam》によって、三原も直ぐさま復旧を終える。浅原も、《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》を活用して、なんとか土地を揃えて第三弾を目指したのだが…

    《突撃の地鳴り/Seismic Assault》が、僅かに残っていた浅原のライフを全て奪い去った。

    浅原 1 – 2 三原



     
  • Sunday, Nov 6: 10:26 p.m. - 準々決勝:岡本 尋(愛知) vs. 鍛冶 友浩(埼玉)
    by Keita Mori

  • 岡本 尋

    PTLAにおいて日本人をトップ8に送り出したデックが3つある。

    藤田 剛史(大阪)が自らトップ8にはいったBDW。

    石田 格(東京)が構築し津村 健志(広島)を送り出したのがDredge-A-Tog。

    そして、有田 隆一(東京)を3回目のトップ8へと導いたのが、鍛冶 友浩(埼玉)と斎藤 友晴(東京)が共同で調整を進めたScepter Chantである。

    今回、石田と鍛冶(そして共同チューンを行った森 勝洋(東京))がそれぞれ自分のデックによってトップ8入りを決めた。もう一人の共同開発者である斎藤は海の向こうので惜しくもトップ8入りを逃している。鍛冶としてはなんとしても勝利したいシチュエーションである。

    そんな鍛冶の前に立ちはだかるのが岡本 尋(愛知)ご存知ラストエンペラーである。戴冠時に使用していたデックがMill Storyであり、決勝でミラーマッチを制した岡本にとってパーミッションは得意なデックといってもいいだろう。そして岡本が使用するデックは二色の純正サイカトグである。

    パーミッション同士の重厚なデュエルへの期待で胸が高鳴る。

    Game 1

    先手後手を決めるためのダイスロールで岡本が出した数字は12。つまりは6のぞろ目である。「もう決まったんじゃない?」と喜ぶ岡本に対して鍛冶は「まだまだ解りませんよ」とダイスを振るが、2個目のダイスの目が確定する前にダイスをしまい始めた。岡本の先手でゲームはスタート。

    岡本が《湿った墓/Watery Grave》をアンタップ状態でプレイし、《選択/Opt》をキャストするところからゲームはスタートしたのだが、その後はお互いに《島/Island》《島/Island》《鳥/Island》《島/Island》とセットランドを続けてはエンドの繰り返しだ。あまりにも《島/Island》だったので思わず鳥が混ざっているのではないかと心配してしまうくらいだ。

    ゲームが大きく動いたのは、4ターン目。鍛冶の土地が止まってしまったのだ。パーミッション同士の対戦でこれは致命傷だ。もちろん岡本もこの隙を逃さない。すかさず《サイカトグ/Psychatog》を通し、アグレッシブに攻め始める。

    積極的にスペルをキャストし続けた岡本が手札を2枚(《対抗呪文/Counter Spell》)残してすべてディスカードしたところで鍛冶は投了を宣言した。

    岡本 1-0 鍛冶

    Game 2

    シャッフルを入念に行なった後に鍛冶が後手を選択したので、岡本先手でゲームがスタートする…はずなのだが、岡本はマリガンチェックで長考する。どうやらあまり思わしくない手札のようだ。

    たった今、目の前で土地が止まってしまった鍛冶に《サイカトグ/Psychatog》をたたき込んだばかりなだけに、明日は我が身である。結果、双方マリガン無しでゲームがスタートする。

    だが…やはり、というかなんというか、岡本の土地は《選択/Opt》2枚打ったにもかかわらず止まってしまったのだ。焦る岡本はドロースペルを繰り返し撃つ。

    幸いにして土地が止まった隙をついて鍛冶に《等時の王笏/Isochron Scepter》によるソフトロックを決められてしまう事はなかったが、だがしかし、鍛冶が岡本を打ち倒すのに充分な時間を与えてしまった事には間違いはなかったようだ。

    岡本のターンのエンドに《オアリムの詠唱/Orim's Chant》から《狡猾な願い/Cunning Wish》で持ってきたスペルは…《ウルザの激怒/Urza's Rage》であった。

    ギルドランドとフェッチランドを使いに使った岡本のライフは10。そして鍛冶の場には12枚の土地が…

    岡本 1-1 鍛冶

    Game 3

    相手の事故に乗じて中盤を制して1戦目を取った岡本。
    相手の事故に乗じて終盤までもつれさせて2戦目をとった鍛冶。

    鍛冶 友浩

    お互いがお互いの得意なフィールドで1戦ずつ勝利した3戦目は…意外な速度で勝負が決する事になった。

    勝負が決まったのは…なんと3ターン目という最序盤なのだ。

    先手をとった岡本は3ターン目に《強迫/Duress》をキャスト。《対抗呪文/Counter Spell》で迎え撃つ鍛冶。そこへ岡本の《対抗呪文/Counter Spell》が突き刺さり鍛冶の手札がさらけ出される。そう、さらけ出される。さらけ出されたのだが…そこにいたのは《賛美されし天使/Exalted Angel

    続く鍛冶の3ターン目にキャストされ4ターン目に表向きになった天使に対抗する術を岡本は最後まで手にする事ができなかった。

    岡本 「3ターン目のカウンターがすべてのミスだったな…」

    鍛冶 2-1 岡本



     
  • Sunday, Nov 6: 10:49 p.m. - 準決勝:大礒 正嗣(広島) vs. 小倉 陵(愛知)
    by Keita Mori

  • 準決勝はモリカツブランドとイタルブランドによる「おなじみの」試合となった

    プロツアー決勝ラウンドに進出すること5回、グランプリベスト8入賞がこれで8回目という大礒 正嗣(広島)。彼がここで手にしているのは森 勝洋(東京)の調整したバージョンの"Scepter Chant"だ。鍛冶、大礒、森田という三人がこのグランプリでベスト8に進出しているという、注目のデッキである。

    対する小倉 陵(愛知)も世界選手権で3位入賞という実績で知られた若武者で、グランプリの決勝ラウンド進出も3回目。ロサンゼルスでもプレイしていた"Dredge-a-Tog"を仲間たちとともに調整してきての快挙だ。そして、こちらも小倉と石田の二人がプレイオフへと駒を進めているという名作デッキである。

    そんなわけで、(今回の改良デザインには高桑 祥広の力が大きいということだが)イタルサイカモリカツセプターというブランド対決がこの準決勝でも繰り返されることになった。

    Game 1

    大礒が先手マリガンを選択するというスタートながら、《永遠のドラゴン/Eternal Dragon》をサイクリングして赤白ギルドランド《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》を手にし、3ターン目にこれをアンタップで置いてから《等時の王笏/Isochron Scepter》をプレイした。小倉は大礒のこの最初のアクションに対して2枚の《魔力の乱れ/Force Spike》で応じ、カウンター成功。小倉はその返しで《破滅的な行為/Pernicious Deed》を置き、睨みをきかせる。

    青いマッチアップだけに手札を肥やすアドバンテージスペルの応酬に注目が集まるが、のゲームで最初のドローカードとなった大礒の《嘘か真か/Fact or Fiction》は《対抗呪文/Counterspell》され、静かなときの流れが刻まれていく。

    次なるアクションは数ターン後。お互いが8マナをならべたところで、大礒は《氷/Ice》でのキャントリップから《知識の渇望/Thirst for Knowledge》使用。これをめぐってカウンター合戦が勃発した。小倉は《堂々巡り/Circular Logic》(墓地にはフェッチランドも相当数)と《対抗呪文》を使用し、大礒は《吸収/Absorb》と《対抗呪文》を。大礒が、このゲームではじめてのドロースペルを通した。

    そして、続くターンに大礒は《永遠のドラゴン》を回収し、小倉は《けちな贈り物/Gifts Ungiven》をプレイ。ここでの大礒の《対抗呪文》を小倉が《対抗呪文》し、

    《壌土からの生命/Life from the Loam
    《やせた原野/Barren Moor
    《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum
    《悪夢の虚空/Nightmare Void

    と4枚がデッキから選び出され、《壌土からの生命》と《やせた原野》が小倉のハンドに加わる。

    大礒は《永遠のドラゴン》をプレイグランドに送り出すが、そこには《恐ろしい死/Ghastly Demise》が待っていた。

    小倉は「発掘」した《悪夢の虚空/Nightmare Void》で大礒の《狡猾な願い/Cunning Wish》を奪いとり、対する大礒はまたドラゴンを拾う。小倉は土地をサイクリングして、そのドローを《悪夢の虚空》「発掘」に置き換え、さらに自分の通常のドローを《壌土からの生命/Life from the Loam》に「発掘」で置き換える。

    小倉の繰り返す《悪夢の虚空》によって大礒のハンドから《神の怒り/Wrath of God》もが捨てさせられ、さらに「壌土発掘エンジン」はぐるぐるまわる。

    大礒はドラゴンを拾っては出すが、召喚したところで《堂々巡り/Circular Logic》されてしまい、さらに《悪夢の虚空》で《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》を捨てさせられた。

    小倉 「これ、《強要/Coercion》だから土地も落ちるよ」

    そして、ここにきて小倉はとうとう《サイカトグ/Psychatog》を呼び出し、対する大礒は12マナからドラゴンを墓地から回収して召喚というルーチンワークでしか応じることが出来ない。もちろん、このエイトグはすでに即死級のサイズだ。

    ここで小倉は《壌土からの生命》の「発掘」でフラッシュバック魔法である《チェイナーの布告/Chainer's Edict》が墓地に落とし、大礒はここで投了した。

    小倉 1-0 大礒

    Game 2

    後手小倉の第2ターン《強迫/Duress》を大礒が《対抗呪文》というスタート。そして大礒は少し考えて込んでから、《賛美されし天使/Exalted Angel》を勢いよく裏向きで(=変異)マットの上にたたきつける。

    …そして、《魔力の乱れ/Force Spike》はなし!

    大礒は《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》をアンタップで場に出し、2点アタック。小倉が4マナを置いてターン終了を宣言したところでこれをフリップした。

    大礒 「アンタップしていい?」

    意訳すれば、フルタップするけど《けちな贈り物/Gifts Ungiven》は撃つかい?

    小倉は実は《けち》をもっているが、ここではアクションを起こさない。そして、次の大礒のターン終了ステップに《けちな贈り物》詠唱。この、何かを誘うかのようなこの小倉の動きに対して、大礒はカウンターを使用しなかった。ちなみに5マナを展開している大礒のハンドは、《吸収/Absorb》、《知識の渇望/Thirst for Knowledge》、《嘘か真か/Fact or Fiction》、《オアリムの詠唱/Orim's Chant》という内容である。

    そして、小倉はこの《けち》で《対抗呪文》と《孤立した砂州》を手札に、《堂々巡り》と《強迫》を墓地に送り込む。

    大礒は天使での突撃でターンを終了。小倉はさっそく先ほどの《砂州》をサイクリングしてから《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》も起動。しかし、解決策はなく…

    小倉 「ぅーん。負け」

    大礒 1-1 小倉

    大礒 正嗣

    Game 3

    かくて、泣いても笑っても決勝の切符かけての最後の試合。

    両雄はともにフェッチランドのプレイから試合をスタートした。大礒が《永遠のドラゴン/Eternal Dragon》をサイクルしたりする中、あっという間に5枚ずつの土地が並んだ。

    そして、小倉 陵は後手の大礒 正嗣の5ターン目の終了ステップに《けちな贈り物/Gifts Ungiven》をプレイする。これが通り、小倉は《孤立した砂州/Lonely Sandbar》と《やせた原野/Barren Moor》を手札に、《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》と《壌土からの生命/Life from the Loam》を墓地に送ることになった。小倉は獲得した《孤立した砂州》を早速サイクリング。発掘エンジンを暖気する。

    第6ターンを迎えた小倉は《汚染された三角州》を置いて即座にフェッチし、《島/Island》に交換。4マナで《悪夢の虚空》を詠唱した。第1ゲームの趨勢を決定したこのカードは、凶悪なる循環式手札破壊だ。

    ここで大礒は《知識の渇望》2枚、《狡猾な願い》、《嘘か真か》、《火+氷》、《神の怒り》、《聖なる鋳造所》という7枚の手札をここで公開し、小倉は《狡猾な願い》を捨てさせながらメモをとった。大礒はエンドステップに《嘘か真か》を使い、小倉は《対抗呪文》。

    それなら、と続くメインに《知識の渇望》を通した大礒は、3枚の新しいカードを手にしてから《神の怒り》と《アダーカー荒原/Adarkar Wastes》を捨てた。そして2点のダメージをくらいながら6枚の土地として《鋳造所》をアンタップで置く。

    Blue Mana Blue Mana White Mana という大礒が残した3枚の土地から《吸収/Absorb》の気配を色濃く感じながらも、小倉は《サイカトグ/Psychatog》を召喚。

    大礒 「手札は?」

    小倉 「こっち5枚」

    大礒がここで《対抗呪文》すると、小倉からの応戦はなし。そして小倉は《すべてを護るもの、母聖樹/Boseiju, Who Shelters All》を置いた。

    大礒は続くターンをドローゴーで終了し、小倉はじっくりと考え込んでから「発掘」しての《悪夢の虚空》。大礒はスタックしてX=3のサイクリングで《正義の命令/Decree of Justice》をプレイした。

    小倉はここで大礒自身の写真がうつった3枚のプロプレイヤーカードを場に並べ、大礒を破顔させる。すでに一時間強が経過しているというロングランマッチだが、ここで一瞬だけ両雄は笑顔を浮かべた。小倉は《知識の渇望》をすてさせてから《チェイナーの布告/Chainer's Edict》をうち、出てきたばかりのトークンは2体に減った。

    続くターン、大礒は7枚目の土地を置いてから2点アタックし、ターンを終了。ここで小倉は《消えないこだま/Haunting Echoes》をプレイする。ちなみに、小倉は大礒の手札に《吸収/Absorb》と《対抗呪文/Counterspell》があることを確認している。そして、小倉 陵に残っているマナは3つ。

    大礒 「あー、微妙」

    大礒は楽団の指揮者のようなユニークなジェスチャーをしながらじっくり考え込んで、これを結局のところ許可する。根こそぎにされていくライブラリー。

    ここで大礒は2体のトークンをふたたびレッドゾ-ンに送り込む。小倉のライフは9。さらに小倉は《ヤヴィマヤの沿岸/Yavimaya Coast》からのGreen Manaを使って(残り8)《壌土からの生命》をプレイするが、大礒はこれを《対抗呪文》し、小倉も《対抗呪文》。なんでここまでライフが減っているかというと、小倉の緑マナはこのペインランドのみに依存している状態だからだ。

    大礒はトークンたちでアタック。小倉は残り6。さらに、ここで《等時の王笏/Isochron Scepter》を《吸収》のバックアップで通し、《火+氷》を刻印した。観客がどよめくビッグプレイだ。

    しかし、世界選手権の決勝ラウンドを踏みしめてきたこともある小倉もさすがの勝負強さ。次のターンに1点のダメージを食らいながらの《破滅的な行為/Pernicious Deed》で盤上のダメージソースを一掃にかかり、大礒はレスポンスで1回だけ《等時の王笏》を起動した。

    緊迫した空気の中、次の大礒のドローは《賛美されし天使/Exalted Angel》。ここでうらむきに呼び出される変異クリーチャーを前に、小倉は思わず「むむむ」と、うめく。

    小倉はやむなくペインランド使用での《チェイナーの布告/Chainer's Edict》フラッシュバックを選択せざるを得ず、残りライフ3ながらも《賛美されし天使》はなんとか除去という運びになった。

    そして、《繰り返す悪夢/Recurring Nightmare》の悪魔的な強さを想起させる「発掘」からの《悪夢の虚空》をプレイ。これは《マナ漏出/Mana Leak》のバックアップで大礒の《吸収/Absorb》を逃れ、大礒の《神の怒り/Wrath of God》を墓地にたたき落とすこととなった。

    またしても、しばらくにらみ合いのようなドローゴーが続き、小倉は《破滅的な行為》を場に出すことになる。今度は《森/Forest》があるのでペインなしだ。

    小倉 「まあ、今さらって話ですけどね」

    そして小倉は《壌土からの生命》を発掘で回収し、サイクリングランド2枚と《セファリッドの円形競技場》を再度手にする。

    そして、「発掘」の過程でとうとう《起源/Genesis》を墓地に送り込んだ小倉は《サイカトグ/Psychatog》を回収。これまた「発掘」した《悪夢の虚空》で安全確認にいく。レスポンスで大礒は《火/Fire》。ライフが3点しか残っていないため、これに躊躇無く小倉からの《対抗呪文》が飛んでくる。ここで確認された大礒のハンドはもぬけの殻、マナソースだけだった。

    しかし、大礒は《海の中心、御心/Mikokoro, Center of the Sea》の起動でライブラリーを急速に掘る。《水辺の学舎、水面院/Minamo, School at Water's Edge》の特殊能力である「伝説のパーマントをアンタップする」能力がここで活きた。大礒は次の自ターンのドローとを合わせて、手札を《金属モックス/Chrome Mox》、《賛美されし天使/Exalted Angel》、《オアリムの詠唱/Orim's Chant》という2枚まで持ち直す。しかし、今でこそ実質的なタップアウトとはいえ、小倉は《破滅的な行為/Pernicious Deed》をすでにコントロールしているのである。

    小倉 「…天使か」

    大礒 (苦笑しながら頷く)

    ここで、大礒はいつもの果断ぶりからは考えられないほどの長い時間を思索に費やした。そして、ジャッジから遅いプレイに対しての注意が与えられてから、10マナのうちの3マナをタップして《賛美されし天使》を裏向きで送り出した。

    小倉はアンタップし、各種発掘を起動する前に自分のライブラリーを数える。度重なる「発掘」三昧で、残りはたったの8枚だ。そして、小倉は《強迫》。大礒の手札から《オアリムの詠唱》が1枚落ちる。手札を覗いた上で《サイカトグ》を召喚し、これにスタックして《破滅的な行為》を起動した。

    祈るような表情で大礒は《海の中心、御心/Mikokoro, Center of the Sea》を1回起動し…「ここしかない!」《吸収/Absorb》を引き当てた。観客がどよめく中、カウンターは成功。わがことなれり。

    しかし、続くターンに小倉は《サイカトグ/Psychatog》を《起源/Genesis》の能力で回収。これにスタックして大礒は《オアリムの詠唱》が飛んできて、ここに大礒は《堂々巡り/Circular Logic》。12枚の土地を出している小倉は3枚の土地を残して《サイカトグ》を呼び出すことを決断した。

    大礒は《海の中心、御心/Mikokoro, Center of the Sea》を2回起動し、ここで手に入れた《等時の王笏/Isochron Scepter》に《火+氷/Fire+Ice》を刻印。さあ、間に合うか!?

    そして、小倉のアップキープ開始時の《起源/Genesis》の能力起動にスタックして、《サイカトグ》へと大礒は《氷/Ice》を《等時の王笏》からプレイした。小倉はここで《マナ漏出/Mana Leak》と《魔力の乱れ/Force Spike》を使用して大礒に4マナの出費を強いるも、スタックにつまれたコピー呪文は通り、エイトグはタップされる。ただ、小倉は墓地から回収した2匹目の《サイカトグ》をだしてターンを終えた。

    小倉のライフは3、ライブラリーの残りも3。アンタップしている土地は《汚染された三角州/Polluted Delta》、《すべてを護るもの、母聖樹/Boseiju, Who Shelters All》、《湿った墓/Watery Grave》。

    大礒 「考えてもシャーない。いこう」

    《消えないこだま》でデッキを根こそぎにしていく小倉 。

    《海の中心、御心/Mikokoro, Center of the Sea》起動。お互い1ドローで、小倉のライブラリーが残り2枚。

    さらに、大礒はセット《シヴの浅瀬/Shivan Reef》から、《海の中心、御心》を《水辺の学舎、水面院》でアンタップして再度起動。お互いワンドローで、小倉のライブラリーは…1枚。

    しかし、大礒の出来たことはここまでだった。

    おもむろに《等時の王笏/Isochron Scepter》を《火/Fire》で小倉へと使用し、残りライフを1点まで削り、ターンを終えた。

    小倉 陵はライブラリー最後の1枚のカードをドローしてから、《サイカトグ》2体でアタックし、2時間を越える長い長い我慢比べに終止符を打った。

    小倉 陵 2-1 大礒 正嗣



     
  • Sunday, Nov 6: 11:08 p.m. - 決勝:小倉 陵(愛知) vs. 鍛冶 友浩(埼玉)
    by Koichiro Maki

  • セプターチャントの鍛冶 友浩

    この北九州の地では、二つのデッキタイプが圧倒的な成功を収めた。一つが、石田・岡本・小倉をベスト8に送り込んだサイカトグであり、もう一つが、大礒・森田・鍛冶をベスト8に進出させたセプターチャントだ。奇しくも、それぞれの陣営から一人ずつが決勝の舞台に上がる名誉を掴み取った。

    サイカ軍を代表するのは、2004年の世界選手権で3位に入賞した実績を持つ小倉。セプターチャント軍を代表するのは、最近、世界のKJとも呼ばれ注目を浴びている鍛冶。

    今後のエクステンデッド環境を語る上で、絶対に欠かせなくなる一戦が始まろうとしている。

    Game 1

    後手の鍛冶が1マリガンでスタート。

    準決勝での小倉vs. 大礒戦(試合時間2時間強)を見れば解るように、互いに強力なコントロール力を持ったこの二つのデッキの対決が、早期に終わる可能性は非常に低い。必ずや、見応えある展開が待ち構えているに違いない。しかし、それは同時に既に長い長い試合を終えてきた二人の体力を否応なくもぎ取っていく。

    ゲームが開始したのは、午後8時20分。終了するのは何時になるのだろうか。

    互いに何も呪文を唱えぬまま、ゲームは進行する。ただフェッチとサイクリングランドが墓地にあるのみ。そこに最初に石を投げ込んだのは小倉だった。

    《サイカトグ/Psychatog

    今日この会場で、幾度となく登場し、何人ものプレイヤーの命を奪ってきた最強クラスのクリーチャーだ。

    鍛冶は、ここで普通にカウンターするのではなく、別のアプローチを選択した。《狡猾な願い/Cunning Wish》を唱え、用意しておいたウイッシュボードから《翼の破片/Wing Shards》を手札に加える。いざとなれば、カウンターの難しいストーム能力で、ほぼ確実に《サイカトグ/Psychatog》を打破できる傑物スペルだ。

    静かに、《サイカトグ/Psychatog》がダメージを重ね、鍛冶のライフが14となったところで、小倉は二体目を召喚した。鍛冶はこれを受け入れ、ただエンドに《火+氷/Fire/Ice》を使用しドローを進める。

    その返しで、鍛冶がプレイしたのが《等時の王笏/Isochron Scepter》だ。鍛冶の場にアンタップした土地は5枚。小倉の場には4枚。小倉は、ここで墓地の枚数を確認した後に、《恐ろしい死/Ghastly Demise》を捨ててから《堂々巡り/Circular Logic》で迎撃。

    鍛冶は、争うことなく、ただ静かに《等時の王笏/Isochron Scepter》を墓地へ。

    2体の《サイカトグ/Psychatog》が攻撃を行い、鍛冶のライフが12。整理すると、小倉の場には8枚の土地、鍛冶の場には9枚の土地。小倉の手札は4枚、鍛冶の手札は5枚だ。

    小倉はここで《破滅的な行為/Pernicious Deed》の設置を宣言。鍛冶は頷いた。勿論、ただ小倉の展開を見ているだけではない。エンドには《嘘か真か/Fact or Fiction》を使用し、必殺の呪文決戦に備える。

    めくれたのは、4枚の土地と《狡猾な願い/Cunning Wish》。小倉は、これを土地と呪文に分け、鍛冶は4枚の土地を入手。

    鍛冶のライフを10から8へと減らす攻撃を行った時、鍛冶が動いた。まずは《オアリムの詠唱/Orim's Chant》を唱え、小倉の反応を待つ。小倉が頷くと、鍛冶は満を持して《翼の破片/Wing Shards》をプレイ。それ自身と、ストームによって生み出されたもう一つの破片が、2体の《サイカトグ/Psychatog》を討ち滅ぼす。

    だが、その寸前に、小倉の手からは《起源/Genesis》が墓地に送られた。これで、小倉はいつでも《サイカトグ/Psychatog》をアップキープに回収できる準備が整ったことになる。

    ここで、鍛冶は《賛美されし天使/Exalted Angel》を変異で召喚しもう一段階押す。小倉は対応して《けちな贈り物/Gifts Ungiven》。《壌土からの生命/Life from the Loam》と《悪夢の虚空/Nightmare Void》を墓地に用意することに成功する。

    サイカトグの小倉 陵

    《悪夢の虚空/Nightmare Void》が、鍛冶の手札に突き刺さる。これが通り、手札からは《賛美されし天使/Exalted Angel》と《神の怒り/Wrath of God》、それに《等時の王笏/Isochron Scepter》が公開され、反撃の起点となる《等時の王笏/Isochron Scepter》が墓地に。《チェイナーの布告/Chainer's Edict》によって、天使は墓地に退場し、《正義の命令/Decree of Justice》対策でもある《破滅的な行為/Pernicious Deed》は変わらず場に置かれたままだ。

    鍛冶も《海の中心、御心/Mikokoro, Center of the Sea》を最大限に活用し、ライブラリを掘り進めるのだが、小倉の側に用意された《壌土からの生命/Life from the Loam》+サイクリングランド、《起源/Genesis》+《サイカトグ/Psychatog》に比べると、どうにもこうにも分が悪い。

    小倉は、《悪夢の虚空/Nightmare Void》を発掘からプレイ。鍛冶がなんとかこれを《対抗呪文/Counterspell》するが、続く《サイカトグ/Psychatog》が場に降臨する。なにしろ、なんとか墓地に落としても手札に戻ってしまうのだから始末に負えない。

    鍛冶は、この《サイカトグ/Psychatog》に《神の怒り/Wrath of God》を使用するが、小倉が《対抗呪文/Counterspell》。鍛冶は、抵抗をそれだけにとどめる。

    ターンが小倉に渡る。ドローが通常に行われた後に、小倉が攻撃宣言。鍛冶が《サイカトグ/Psychatog》に対して《火+氷/Fire/Ice》を使用すると、小倉は《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》を起動し、《堂々巡り/Circular Logic》を捨てながらマッドネスでカウンターを試みる。

    鍛冶は、ここに更に《対抗呪文/Counterspell》。鍛冶の場に残されたマナは6。小倉の場に残されたマナは8。小倉は、受け入れることにし、《破滅的な行為/Pernicious Deed》を追加。

    やるな。そんな表情を浮かべた鍛冶は、余したマナで《正義の命令/Decree of Justice》をサイクリングで使用。3体のトークンを生み出し、《サイカトグ/Psychatog》の攻撃に備える。

    小倉はまず1枚目の《破滅的な行為/Pernicious Deed》を起動。トークンを一斉に流し、攻撃。ただし、パンプは行わず、ライフを1点削るのみ。

    鍛冶は2枚目の《正義の命令/Decree of Justice》を使用、僅かに2体トークンを生み出すだけにする。なにしろ、目の前には《破滅的な行為/Pernicious Deed》がまだあるのだ。

    小倉は、再度攻撃。《破滅的な行為/Pernicious Deed》でトークンを流す。これでブロッカーは皆無。小倉は一気に《サイカトグ/Psychatog》をパンプさせる!

    この小倉の提示した問題に対して、鍛冶が用意した答えは!?

    《狡猾な願い/Cunning Wish

    小倉は、大きく訝しんでから、ここれ《けちな贈り物/Gifts Ungiven》を唱えることを選択。山札から4種類、いや最低3種類のカウンターを…

    隊長! 2種類しかありません!

    小倉、苦笑。鍛冶は、提示された4枚の中から、2種のカウンターを墓地に落とす。小倉の手に加わったのは、2種の現在役に立たないカード達。

    鍛冶は、ウイッシュボードから《残響する真実/Echoing Truth》を入手。大きくふくれあがった《サイカトグ/Psychatog》を手札へと戻す。

    まだだ。まだ終わらんよ! 

    小倉は2体の《サイカトグ/Psychatog》を並べなおして、ターンを終える。既にライブラリは致死レベルに薄くなってしまっているが、これで全力の攻撃を行えば!

    ターンが無事に小倉に戻った。どうやら、鍛冶に全体除去は無かったもよう。鍛冶のライフは10であり、墓地にある《起源/Genesis》を利用すれば、十分に致死レベルのパンプ量を確保できる。

    だが、小倉はここで《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》を召喚する道を選んだ。そして、これが最悪の結果を導いた。

    鍛冶は手札から《吸収/Absorb》を取り出す。既にカウンター能力を完全に失った小倉は、これに頷く他なく、鍛冶のライフは《吸収/Absorb》の回復した3点によって、致死圏を大きく離脱してしまった。

    残りのライブラリ枚数と、相手の場にある《海の中心、御心/Mikokoro, Center of the Sea》と《水辺の学舎、水面院/Minamo, School at Water's Edge》を見ながら、次のターンのドローが出来ないことを確認し、小倉は投了する。

    時計は、午後9時10分を表示していた。

    鍛冶 1 – 0  小倉

    Game 2

    鍛冶の出した《等時の王笏/Isochron Scepter》を、軽く《マナ漏出/Mana Leak》でいなした後に、小倉は3マナ残した状態で《サイカトグ/Psychatog》を召喚。これが通る。

    この《サイカトグ/Psychatog》でこつこつと攻撃を行いながら、小倉は時を待った。

    鍛冶の《嘘か真か/Fact or Fiction》を2枚目の《マナ漏出/Mana Leak》でいなした後に、小倉は動いた。思ったよりも早かったが、時の到来を感じたのだろう。

    《消えないこだま/Haunting Echoes》!

    手札の芳しくない鍛冶は、これを通すほかなく、鍛冶のライブラリから、《火+氷/Fire/Ice》《嘘か真か/Fact or Fiction》《等時の王笏/Isochron Scepter》が消え去った。

    だが、それを甘受した鍛冶は、手札に残されていた《嘘か真か/Fact or Fiction》をプレイ。小倉がこれを通し、5枚のカードがめくられた。

    《吸収/Absorb》と土地4枚。小倉は素直に呪文とそれ以外に分け、鍛冶は手札に土地の山を加えた。

    今度は、鍛冶が攻める番だ。《等時の王笏/Isochron Scepter》をプレイし、これが着地すると、《オアリムの詠唱/Orim's Chant》を刻印する。未だ小倉の場には《破滅的な行為/Pernicious Deed》が無いので、これに対処するには《オアリムの詠唱/Orim's Chant》をカウンターした上で何かをしなければならない。

    ピンチをきっちり受け入れた鍛冶のチャンス到来だ。

    次のターンこそ、鍛冶が大事をとって《等時の王笏/Isochron Scepter》を起動しなかったので、《サイカトグ/Psychatog》で攻撃を行い、《けちな贈り物/Gifts Ungiven》を使用して《起源/Genesis》を墓地に落としながら2点のダメージを与えた小倉だが、そこからが続かない。

    キッカーと共に《等時の王笏/Isochron Scepter》の起動を続けられると、ただ手札が揃うのを待つ他ない。逆に、鍛冶は《オアリムの詠唱/Orim's Chant》を通して小倉の行動を封じて、安全にドロー呪文を唱えることが出来る。

    再び、小倉は時を待った。動くとしたら、鍛冶のターンエンドしかない。フェッチの起動を繰り返しながら、ライブラリの土地濃度を下げ、待ち続けた。

    そして、その時が訪れた。幾分、小倉が期待した未来とは違う形で。

    フェッチの起動は、小倉のライフを12まで削っていた。鍛冶は、《オアリムの詠唱/Orim's Chant》で呪文の安全を確保しながら《サイカトグ/Psychatog》の攻撃を禁止すると、《狡猾な願い/Cunning Wish》を使用し《火+氷/Fire/Ice》を入手した。そう、小倉が《消えないこだま/Haunting Echoes》でゲームから取り除いた呪文だ。この《火+氷/Fire/Ice》が小倉のライフを10に減らす。

    10?

    Tomohiro Kaji is the Grandprix Kitakyushu Champion !!

    小倉は、素早く視線を鍛冶の土地へと走らせた。そして、直ぐに事態を理解した。なるほど、死んだなと。

    鍛冶の手には、一枚のカードが握られていた。それこそ、セプターチャントのサイドボードに、対コントロールデッキの決め手として忍ばせられた爆弾だった。

    《ウルザの激怒/Urza's Rage

    キッカーコストが支払われ、カウンター不可の10点火力が、きっかりと小倉のライフを削りきった。

    鍛冶 友浩、初めての戴冠である。

    鍛冶 2 – 0 小倉



     
  • Sunday, Nov 6: 11:23 p.m. - 準決勝:三原 槙仁(福岡) vs. 鍛冶 友浩(埼玉)
    by Koichiro Maki

  • 今回のGPでもっとも注目されたデックであるCAL(Confine AssaultLife)を駆る三原 槙仁(福岡)。決して駄洒落ではない。

    事前にデック開発についてインタビューをした際に三原の力強く語っていたセリフが印象的だ。

    三原 「青にだけは負けたくないんですよね。」

    そんな三原が対戦するのは、今回のGPでもっとも成功した青系のパーミッションデックである、セプターチャントを開発・使用する鍛冶 友浩(埼玉)である。

    さて、今回何度もフィーチャーしているので三原のデックについて詳しく説明する必要はないかも知れないとは思われるが、今やエクステンデッドを代表するエンジンの一つとなった《壌土からの生命/Life from the Loam》エンジンによって獲得したアドバンテージを《突撃の地鳴り/Seismic Assault》によって直接ダメージに変換して勝利を目指すデックである。端的に言えばコンボデックだ。

    古の時代より、コンボデックとパーミッションの戦いはパーミッションが勝利すると相場は決まっているのだが、そこは「青には負けたくない男」三原 槙仁である。先日の日本選手権で三連敗からの奇跡のトップ8進出というパフォーマンスをもって今回も奇跡を演出してくれるのだろうか。

    ちなみに、決勝ラウンドはすべて時間無制限で行われることになっている。コンボとパーミッションの息もつかせぬ駆け引きを心から堪能できる。

    Game 1

    ダイスロールで先攻は鍛冶。準々決勝で6ゾロの岡本に屈した鍛冶が、今度は5ゾロで三原を下す。

    鍛冶は初手の7枚を見ると、即決でマリガンをし、入念なシャッフルを行う。時間に制限が無いのだから、後悔の無いように心ゆくまでシャッフルをするべきである。なにしろ、もう一組の準決勝である小倉・大礒戦など、各ブロックの終了時間の関係でまだはじまってすらいないのである。

    さて、マリガン後、コンボとパーミッションの戦いのお約束通り、序盤に三原が決定的なパーマネントをキャストする、もしくは淡々と土地を並べる場が続くのどちらかになると思われた。思われたのだが、なんと先に動いたのは鍛冶だった。

    4ターン目に土地を4枚並べると、青マナを2つ残したまま《等時の王笏/Isochron Scepter》をキャスト。そしてそこに刻印されたのは《対抗呪文/Counterspell》。手札を捨てなくてもいい《無のブローチ/Null Brooch》の完成だ。特定のキーカードに依存することになる三原にとって、これは致命傷といってもいいのかもしれない。

    しかし三原は諦めない。

    《燃え立つ願い/Burning Wish》を《対抗呪文/Counterspell》印の《等時の王笏/Isochron Scepter》(いわゆるNo Stick。それに従って今後は棒と表記しよう)でカウンターさせると、デックの顔とも言える《壌土からの生命/Life from the Loam》をキャスト、サイクリングランドとフェッチランドを回収して手札とマナベースを充実させはじめる。

    最初のうちこそ、三原の《壌土からの生命/Life from the Loam》を棒で打ち落とし、それを三原がサイクリングランドや《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》のドローで再度回収してキャストという流れだったが、三原のマナベースが強固なものとなっていくにつれて、鍛冶は三原の《壌土からの生命/Life from the Loam》に対して棒を使わないようになった。まさに棒立ち。

    それは何故か。

    答えは簡単。後続のスペルを警戒してだ。

    なんだそんなことかと、お前は棒立ちと言いたかっただけ何じゃないかと思われるかも知れないが、《壌土からの生命/Life from the Loam》エンジンがどんなに優れたアドバンテージ能力を持とうと、それはあくまでもアドバンテージでしかないのだ。アドバンテージだけでは決して人は殺せない。なかなかドロースペルに恵まれず、手札を充実させられない鍛冶からすれば、棒を振った隙に殺されてしまう方が大問題である。

    もちろん一番対処しなければいけないのは大問題ではあるのだが、小問題だって塵も積もれば山となる。《壌土からの生命/Life from the Loam》エンジンに《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》まで組み合わせて手札とマナを充実させ続ける三原は立て続けに驚異を打ち出していく。

    そして、三原が勝負にでた。

    脅威の波状攻撃によって鍛冶の手札を削り続けた三原は、まずはデックにその名前を冠している《突撃の地鳴り/Seismic Assault》をキャスト。《壌土からの生命/Life from the Loam》エンジンが完全に機能している三原にとってまさに鬼に金棒。棒を持ってるのは自分だけで十分とばかりにこれを棒で打ち落とした鍛冶に対して三原が提示した脅威は《永遠の証人/Eternal Witness》。赤マナの不足から今カウンターされた《突撃の地鳴り/Seismic Assault》こそ回収できないものの、三原の墓地には同様にパーミッションに対しては脅威となる《ゾンビの横行/Zombie Infestation》が発掘の副産物として墓地に落ちている。鍛冶にとって致命傷となりうるスペルだ。

    だが、鍛冶は打ち消せなかった。

    三原は喜び勇んで《ゾンビの横行/Zombie Infestation》を回収して即キャスト。こうして4ターン目に棒を握られたものの最終的に三原が大逆転をすることとなった。

    かに見えたが。

    あきらめの悪さでは鍛冶も負けていない。まずは《海の中心、御心/Mikokoro, Center of the Sea》を起動してドロー。そして《水辺の学舎、水面院/Minamo, School at Water's Edge》でアンタップしてさらにドロー。この二回のドローを三原は発掘に置き換え、手札に2枚の《壌土からの生命/Life from the Loam》を抱えることになった。もう準備は万端だ。

    しかし、直接ダメージによって勝負を決する《突撃の地鳴り/Seismic Assault》と比べて《ゾンビの横行/Zombie Infestation》は勝負を決するまでに若干のタイムラグがある。そこに隙がある。そしてその隙を鍛冶は見逃さなかった。

    自分のターン。土地をアンタップすると、棒を振るためのマナだけを残して全てを《正義の命令/Decree of Justice》のキャストに費やした。サイクリングではない、キャストだ。Xは2個だ。こうして鍛冶の場には2体の4/4フライングクリーチャーが降臨した。

    さて、一時は大逆転と思われた三原だったが一転して窮地に追い込まれる。こっちの攻撃は通らないのに相手の攻撃は通るのだ。

    結局三原は対処手段へとたどりつけず、逆転につぐ逆転という派手なゲームを制し、第1ゲームを勝利したのは鍛冶だった。証人と《突撃の地鳴り/Seismic Assault》の順番が逆だったらもしかしたら結果は逆だったかも知れない。

    ちなみに、この時点で大礒と小倉の対戦は1-1のタイブレークとなっていた。おや?何時の間にはじまったのだろう?

    鍛冶 1-0 三原

    Game 2

    先手を選んだ三原。マリガンを選択した後手の中に入ってきた6枚のカードの中には土地が無かった。「事故は殆ど起こらない」とインタビューで語っていた三原。そんな希な事件が、よりによってこの場面で。大逆転を得意とする男が大逆転されたのである。流れもかわって当たり前か。

    痛恨のダブルマリガンから失意のスタートの三原だったが、序盤は三原のペースでゲームが進む。《陰謀団式療法/Cabal Therapy》によって《対抗呪文/Counterspell》を宣言し、見事墓地に落とした三原だったが、手札の中の《賛美されし天使/Exalted Angel》や《狡猾な願い/Cunning Wish》といったグッドスタッフの姿に、ちょっと顔をしかめる。
    《永遠の証人/Eternal Witness》にカウンターを使わせて、《燃え立つ願い/Burning Wish》から《壌土からの生命/Life from the Loam》を持ってきた三原は、エンジンを回転させ始める。

    一方で、手札の中のカウンターを使い果たした鍛冶は、ゲームプランを変更。《賛美されし天使/Exalted Angel》によるビートダウンを行うために、変異を召喚する。

    その隙を三原が見逃すはずがない。

    フェッチから山をもってくると、《突撃の地鳴り/Seismic Assault》をキャストしてまずは変異へと2点。そして、《壌土からの生命/Life from the Loam》で手札に3枚の土地というなの《ショック/Shock》を補充した。

    しかし、三原は鍛冶の手札に《狡猾な願い/Cunning Wish》が眠っていることをしっている。鍛冶がアンタップすると「願いですか?」と三原。

    だが、鍛冶が黙ってキャストしたスペルは《解呪/Disenchant》。

    三原 「ひかれとる!」

    鍛冶が引いていたのは《解呪/Disenchant》だけではない。続いてキャストされる変異。絶体絶命の三原。

    だが、三原だって負けてはいない。変異が裏返ったところを《化膿/Putrefy》で除去すると、続いて《陰謀団式療法/Cabal Therapy》を経由してこちらも2枚目の《突撃の地鳴り/Seismic Assault》!

    今度は、《海の中心、御心/Mikokoro, Center of the Sea》を起動しても対抗策を引き当てることが出来なかった鍛冶は、7枚の土地を投げつけられて敗北することになる。

    三原 1-1 鍛冶 

    Game 3

    さて、これはこの対戦というよりかは、むしろ純正サイカとDredge-A-Togのマッチアップで往々にしておこることなのだが、《壌土からの生命/Life from the Loam》エンジンは確かに繰り返し使用でき強力である反面、一枚のカードのパワーとしては《けちな贈り物/Gifts Ungiven》や《嘘か真か/Fact or Fiction》には及ばない。

    そして《壌土からの生命/Life from the Loam》をひかなかった場合、一気にドロー能力で差をつけられる事になる。

    《燃え立つ願い/Burning Wish》をことごとくカウンターされ、自力で《壌土からの生命/Life from the Loam》をひくことが出来ない三原はどうしても決定打にかける。一方の鍛冶もやはり決定打に欠け、お互いがドローゴーを続ける展開だ。

    そんなこんなのうちに、会場には拍手が鳴り響く。
    隣で行なわれているもう1つの準決勝は勝者が確定したようだ。

    一方で、カウンターを浪費させて、《突撃の地鳴り/Seismic Assault》も《ゾンビの横行/Zombie Infestation》も場に出せた三原だがどうしてもあのカードに届かない。《壌土からの生命/Life from the Loam》が見当たらない。

    やっぱりお互いドローゴー。そして、三原がゾンビトークンを場に出し、攻撃を始めようとした矢先に鍛冶が全ての土地をタップした。

    キャストされたスペルは

    《正義の命令/Decree of Justice》!

    最後まで《壌土からの生命/Life from the Loam》にアクセスできないまま、三原は2体の天使トークンに蹂躙された。

    150分を超える熱戦を鍛冶が制覇した。長時間にわたるデュエルでも集中力を途切れさせることの無かった二人をともに賞賛したい。

    三原 1-2 鍛冶

    • Planeswalker Points
    • Facebook Twitter
    • Gatherer: The Magic Card Database
    • Forums: Connect with the Magic Community
    • Magic Locator