Live Coverage of 2007 Grand Prix–Kyoto!

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最新セットである「次元の混乱」を迎えたスタンダードの戦い。京都市勧業館・みやこめっせには全国から859名もの選手たちが駆けつけ、二日間にわたる熱い戦いが繰り広げられた。そして、そこは可能性に満ち溢れた魅力的なフィールドであることが証明された。

予選初日を突破した128名だけを見ても、そこには36種ものデッキアーキタイプが存在し、その中に圧倒的大多数と呼べる勢力は存在しなかった。かつてないほどに充実した極彩色のマナソースたちが、不可能を可能にしているのだった。

そんな「豊穣の時代」において、果たして「次元の混乱」のカードがフォーマットにどれだけのインパクトを与えるか、というのも世界中の関心事だった。そして、誰もが「《滅び/Damnation》を筆頭にして…」と講釈をはじめる中で、神奈川の若者たちは《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》に注目し、それをウルザトロンのメインボードに4枚投入するという大胆な作戦をとった。そして、いまやグランプリ京都に参加した誰もがこの精霊の力強さを語らいはじめている。

世界中の尊敬を一身に集めるスタープレイヤーたちでさえ、なかなか勝ちあがっていけなかった厳しい戦い。それを制したのは、草の根で開かれる大会に通いつめるアマチュアプレイヤーであった。

おめでとう! 第四回グランプリ京都チャンピオン、渡辺 雄也!!


Quarterfinals   Semifinals   Finals   Champion
1 Naoki Shimizu   Yuuya Watanabe, 2-0        
8 Yuuya Watanabe   Yuuya Watanabe, 2-0
       
4 Motokiyo Azuma   Motokiyo Azuma, 2-0   Yuuya Watanabe, 2-1
5 Atsushi Wada    
       
2 Yuusuke Iwasaki   Yuusuke Iwasaki, 2-1
7 Katsuhiro Ide   Yuusuke Iwasaki, 2-1
       
3 Ren Ishikawa   Tsubasa Tomii, 2-0
6 Tsubasa Tomii    


観戦記事 ベスト8最終順位

  • Blog - 10:19 p.m.: The Last Quick Question
    by Event Coverage Staff
  • Blog - 9:55 p.m.: 決勝 : 渡辺 雄也(神奈川) vs. 岩崎 裕輔(大阪)
    by Yusuke Yoshikawa
  • Blog - 9:27 p.m.: 準決勝 : 富井 翼(東京) vs. 岩崎 裕輔(大阪)
    by Daisuke Kawasaki
  • Blog - 9:09 p.m.: 準決勝 : 東 大陽(兵庫) vs. 渡辺 雄也(神奈川)
    by Yukio Kozakai
  • Blog - 8:34 p.m.: 準々決勝 : 渡辺 雄也(神奈川) vs. 清水 直樹(神奈川)
    by Daisuke Kawasaki
  • Blog - 8:02 p.m.: これも《変異種/Morphling》?
    by Event Coverage Staff
  • Blog - 7:39 p.m.: 準々決勝 : 岩崎 裕輔(大阪) vs. 井出 克洋(佐賀)
    by Yusuke Yoshikawa
  • Blog - 7:08 p.m.: 準々決勝 : 和田 淳(兵庫) vs. 東 大陽(兵庫)
    by Shuhei Nakamura
  • Blog - 6:49 p.m.: Day 2 Metagame Breakdown
    by Yukio Kozakai
  • Blog - 6:33 p.m.: The Top 8 Decklists
    by Event Coverage Staff
  • Blog - 6:15 p.m.: The Top 8 Player Profiles
    by Event Coverage Staff



  • Day 2 Blog Archive: Day 1 Undefeated Decklists, Quick Questions, Top Pro Play, and more!
    by Event Coverage Staff
  • Info: Day 2 Player List
    by Event Coverage Staff



  • Day 1 Blog Archive: LCQ Decklists, 京都へようこそ!, Quick Questions, 夢次元の芸術家たち, Top Pro Play, and more!
    by Event Coverage Staff
  • Info: Day 1 Player List
    by Event Coverage Staff
  • Info: Fact Sheet
    by Event Coverage Staff
 1.  Yuuya Watanabe * $4,500
 2.  Yuusuke Iwasaki $2,000
 3.  Motokiyo Azuma $1,400
 4.  Tsubasa Tomii * $2,300
 5.  Naoki Shimizu $900
 6.  Ren Ishikawa $900
 7.  Atsushi Wada * $1,650
 8.  Katsuhiro Ide * $1,300

* = includes amateur award

組合 結果 順位
最終
15
14
13
12
11
10
15
14
13
12
11
10
15
14
13
12
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
9
8
7
6
5
4
3
2
1
9
8
7
6
5
4
3
2
1
BLOG

 
  • Sunday, Mar 18: 6:15 p.m. - The Top 8 Player Profiles
    by Event Coverage Staff


  • 清水 直樹

    ■清水 直樹

    ―居住都道府県、年齢、ご職業を教えてください。

    神奈川県在住 20歳 大学生

    ―これまでの主なマジックの戦績を教えてください。

    2006年日本選手権ベストエイト入賞

    ―このグランプリ京都の各日の成績を教えてください。
    ・1日目
    9-0(3 Bye)
    ・2日目
    3-1-2

    ―使用されているデッキと、そのデザイナーを教えてください。

    セル(青緑トロン) 自作

    ―デッキの中で一番の特徴、自慢となっているカードを1つ教えてください。

    《根の壁/Wall of Roots》最強

    ―このグランプリ京都に向けて練習した仲間、チーム、ショップなどを教えてください。

    横浜PWC、渋谷、池袋、Magic Onlineなど

    ―このグランプリ京都の予選ラウンドで、もっとも印象的だった出来事を教えてください。

    トロンが揃った。


    井出 克洋

    ■井出 克洋

    ―居住都道府県、年齢、ご職業を教えてください。

    佐賀県唐津市在住

    ―これまでの主なマジックの戦績を教えてください。

    とくになし

    ―このグランプリ京都の各日の成績を教えてください。
    ・1日目
    8-1(0 Bye)
    ・2日目
    4-1-1

    ―使用されているデッキと、そのデザイナーを教えてください。

    グルールビート(ステロイド) 自作

    ―デッキの中で一番の特徴、自慢となっているカードを1つ教えてください。

    《炎の印章/Seal of Fire

    ―このグランプリ京都に向けて練習した仲間、チーム、ショップなどを教えてください。

    モトヤマカズヒコ

    ―このグランプリ京都の予選ラウンドで、もっとも印象的だった出来事を教えてください。

    一日目の第二回戦であたった黒単色手札破壊デッキとの戦いは死闘でした。
    二日目の五回戦目で同じデッキを使用しているモトヤマが惜しいところで敗れてしまったのは残念でした。一緒に決勝ラウンドに行きたかった。
    …ベストエイトが決まったとき、みんなに「肉ゴチ!」と言われました。


    和田 淳

    ■和田 淳

    ―居住都道府県、年齢、ご職業を教えてください。

    兵庫県在住 22歳 大学生

    ―これまでの主なマジックの戦績を教えてください。

    2005年日本選手権出場

    ―このグランプリ京都の各日の成績を教えてください。
    ・1日目
    7-2(3 Bye)
    ・2日目
    5-0-1

    ―使用されているデッキと、そのデザイナーを教えてください。

    青白赤トリコロール 自作

    ―デッキの中で一番の特徴、自慢となっているカードを1つ教えてください。

    めいんの《爆裂+破綻/Boom+Bust》

    ―このグランプリ京都に向けて練習した仲間、チーム、ショップなどを教えてください。

    平田君

    ―このグランプリ京都の予選ラウンドで、もっとも印象的だった出来事を教えてください。

    相手のマリガンが多かったことと、デッキ登録用紙に《ウルザの工廠/Urza's Factory》を書き忘れてしまったこと。


    渡辺 雄也

    ■渡辺 雄也

    ―居住都道府県、年齢、ご職業を教えてください。

    神奈川県在住 ミスターPWC

    ―これまでの主なマジックの戦績を教えてください。

    2006年ザ・ファイナルズ準優勝(モリカツさんに負けた)
    週末草の根トーナメント三連覇(GPT、悪魔杯、PWC)

    ―このグランプリ京都の各日の成績を教えてください。
    ・1日目
    8-1(3 Bye)
    ・2日目
    4-2

    ―使用されているデッキと、そのデザイナーを教えてください。

    青赤トロン 自分とAKKA(相澤 恵司)

    ―デッキの中で一番の特徴、自慢となっているカードを1つ教えてください。

    メインの《硫黄の精霊/Sulfur Elemental

    ―このグランプリ京都に向けて練習した仲間、チーム、ショップなどを教えてください。

    池袋オーガ 草の根大会

    ―このグランプリ京都の予選ラウンドで、もっとも印象的だった出来事を教えてください。

    ナカシュー(中村 修平)さんの129位フィニッシュ


    東 大陽

    ■東 大陽

    ―居住都道府県、年齢、ご職業を教えてください。

    兵庫県在住 24歳 学生

    ―これまでの主なマジックの戦績を教えてください。

    GP広島

    ―このグランプリ京都の各日の成績を教えてください。
    ・1日目
    8-1(1 Bye)
    ・2日目
    4-1-1

    ―使用されているデッキと、そのデザイナーを教えてください。

    青単色 山西さん作

    ―デッキの中で一番の特徴、自慢となっているカードを1つ教えてください。

    《島/Island

    ―このグランプリ京都に向けて練習した仲間、チーム、ショップなどを教えてください。

    パル三国ヶ丘店

    ―このグランプリ京都の予選ラウンドで、もっとも印象的だった出来事を教えてください。

    フューチャーマッチでゲームロス


    富井 翼

    ■富井 翼

    ―居住都道府県、年齢、ご職業を教えてください。

    東京都在住 20歳 大学生

    ―これまでの主なマジックの戦績を教えてください。

    日本選手権ベスト32くらい

    ―このグランプリ京都の各日の成績を教えてください。
    ・1日目
    6-2-1
    ・2日目
    6-0

    ―使用されているデッキと、そのデザイナーを教えてください。

    ソーラーフレア 自作

    ―デッキの中で一番の特徴、自慢となっているカードを1つ教えてください。

    《連絡/Tidings》 《影武者/Body Double

    ―このグランプリ京都に向けて練習した仲間、チーム、ショップなどを教えてください。

    夢屋で守屋 利彦と

    ―このグランプリ京都の予選ラウンドで、もっとも印象的だった出来事を教えてください。

    手札ゼロで今まさに死ぬというときに《神の怒り/Wrath of God》をトップデッキしてしのぎ、次に《連絡/Tidings》を引いてそこから逆転した


    岩崎 裕輔

    ■岩崎 裕輔

    ―居住都道府県、年齢、ご職業を教えてください。

    大阪府在住 22歳 大学生

    ―これまでの主なマジックの戦績を教えてください。

    プロツアー・チャールストン24位

    ―このグランプリ京都の各日の成績を教えてください。
    ・1日目
    9-0(1 Bye)
    ・2日目
    3-1-2

    ―使用されているデッキと、そのデザイナーを教えてください。

    プロジェクトX 自作

    ―デッキの中で一番の特徴、自慢となっているカードを1つ教えてください。

    無限ライフ、無限トークン

    ―このグランプリ京都に向けて練習した仲間、チーム、ショップなどを教えてください。

    Hitomix、ヤッキー

    ―このグランプリ京都の予選ラウンドで、もっとも印象的だった出来事を教えてください。

    こちらの後手3ターン目の《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》が《差し戻し/Remand》され、返すターンに《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》を決められて圧殺されました


    石川 'IR' 錬

    ■石川 "IR" 錬

    ―居住都道府県、年齢、ご職業を教えてください。

    神奈川県在住 21歳 大学生

    ―これまでの主なマジックの戦績を教えてください。

    グランプリ横浜ベストエイト、Lord of Magic準優勝

    ―このグランプリ京都の各日の成績を教えてください。
    ・1日目
    7-2(2 Bye)
    ・2日目
    5-0-1

    ―使用されているデッキと、そのデザイナーを教えてください。

    世界で美しいデッキに仕上がったトリコロール IRとスティッチ合作

    ―デッキの中で一番の特徴、自慢となっているカードを1つ教えてください。

    1枚挿しが4種類入っていること

    ―このグランプリ京都に向けて練習した仲間、チーム、ショップなどを教えてください。

    ルー(有留)、アンチ(伊藤)、スティッチ(富澤)

    ―このグランプリ京都の予選ラウンドで、もっとも印象的だった出来事を教えてください。

    (赤い)コントロールとの試合の場合、ある程度のサイズで《砕岩を食うもの/Detritivore》を先に待機した方が確実に勝つという展開ばかりだった。直前に投入したカードだったので、こんなに強いとは思わなかった。


     
  • Sunday, Mar 18: 6:33 p.m. - The Top 8 Decklists
    by Event Coverage Staff







  • Motokiyo Azuma
    GP Kyoto 2007 - Top 8



    Yuuya Watanabe
    GP Kyoto 2007 - Top 8



     
  • Sunday, Mar 18: 6:49 p.m. - Day 2 Metagame Breakdown
    by Yukio Kozakai


  • 2日目に進出できたのは、わずかに128/859のプレイヤーだった。

    確率にして、およそ15%。6人に1人が生き残れないという過酷なサバイバルレースを駆け抜けたのは、実に36種類ものデッキだ。「多種多様」という言葉を初日の段階で使った記憶があるが、「ずば抜けた」勝ち組というべきデッキは存在せず、5人以上が選択したデッキタイプだけでも、何と9種類存在する。

    アーキタイプ   デッキ 使用者数
    Urza Tron     23
        Izzet (12)
        UG "CELL" (6)
        Pickles (3)
        UWR (2)
    Solar Flare     17
        Solar Flare (14)
        "ACQUA" flare (3)
    Angel Fire     12
    Gruul Aggro     11
    Dralnu de Louvre     10
    Dragonstorm     8
    Morph     6
        UB (3)
        UWG (1)
        Monoblue (1)
        UW (1)
    Boros Deck Wins     5
    Project X     5
    Stompy     4
    Dredge     3
    Battle of Wits     2
    Junk     2
    Orzhov Aggro     2
    Selesnya Aggro     2
    Zoo     2
           
    Others     14
           
        Total 128

    その中でも大多数を誇ったのが、23名が選択しているウルザトロン。渡辺 雄也(神奈川)などが選択したオーソドックスな赤青イゼットロンが1番人気で、その安定感からか全体の約1割がイゼットロンとなった。初日から10連勝を決めた清水 直樹(神奈川)が、環境のかなり初期から使い込んで話題になった青緑変異トロン"CELL"も次ぐ人気を誇っている。

    対抗に挙げられるのは、ソーラーフレアとエンジェルファイア(トリコロール)、そしてDralnu du Louvreだ。こうしてみると、クイックインタビューでの渡辺の言葉がそのまま引用できるのだが、「長丁場ではコントロール」ということか。確かに、マッチを重ねるごとに引いたカードの枚数にどんどん差が生まれてくる。たくさんカードが引けるデッキが安定するのは自明の理であり、説得力がある。

    そんな中、ビートダウン側からはグルールが多数勢力となった。もう何度目かの解説になるが、《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》がコントロールにもボロスにも強いのである。ボロスとの絶対数の違いが表れたのは偶然ではない。

    ストンピィなどもそうなのだが、軸をハッキリとさせた「真っ直ぐ殴る系」のタイプが好成績を残していたようだ。赤と何か1色という組み合わせのビートダウンならば、《血染めの月/Blood Moon》を取れるのも大きい。「多色世界」に対してのビートダウンからの回答は、第8版からずっと変わらない。

    そして、Project XやDredge(スタンダード版フリゴリッド)といったコンボ系デッキも一勢力として上位に食い込んでいるのも見逃せない。共に、墓地対策の薄い環境のスキと、グランプリという大規模大会において少数勢力のデッキを対策しにくいという、グランプリならではのメリットを充分に生かしての活躍だ。


     
  • Sunday, Mar 18: 7:08 p.m. - 準々決勝 : 和田 淳(兵庫) vs. 東 大陽(兵庫)
    by Shuhei Nakamura


  • 和田 淳

    直前トライアルで3 Byeを獲得し、その勢いのまま過酷な15回戦を2日目負けなしで勝ち上がってきたアマチュアステータス保持者の和田 淳(兵庫)。

    対するは、アマチュアステータスでグランプリ広島を駆け上り王者となった東 大陽(兵庫)。今大会での勢いという点でも負けてはいない。同じく2日目負けなしでベストエイト入りを確定させ、知人である岩崎をトスするまでの余裕ぶりだ。おそらく、トップ8の4テーブルの内、最も勢いがある二人なのではないだろうか

    両者ともに関西を地盤に活動するプレイヤーであり、テーブルジャッジも関西出身。
    やや和やかな雰囲気の中、若干の緊張を孕みつつ、決戦の火蓋は落とされた。

    Game 1

    東が20面ダイスで20を出して東先攻、そして即マリガン。曰くノーランド。一方、和田はノータイムでのキープ。

    和田が《トロウケアの敷石/Flagstones of Trokair》2枚を置いてマナベースを整えるのに対して、東は《熟慮/Think Twice》という立ち上がり。

    次の攻防は和田がまずランドを置かず印鑑プレイ。これを《呪文嵌め/Spell Snare》。その後《アゾリウスの大法官庁/Azorius Chancery》。

    お次は、と和田は《強迫的な研究/Compulsive Research》。これには《熟慮/Think Twice》から2枚目からの《マナ漏出/Mana Leak》。

    3度目の正直と出した和田の《宮廷の軽騎兵/Court Hussar》が東の《熟慮/Think Twice》フラッシュバックから通り、ひとまずは和田が盤面に土地以外のパーマネントを置くことに成功する。

    ただ、東も楽はさせない、続く《爆裂/Boom》を《呪文嵌め/Spell Snare》。更なる脅威、今度は《破綻/Bust》には《差し戻し/Remand》続くターンは如何に!?

    …というところで東がプレイしたのは変異⇒表変えして《塩水の精霊/Brine Elemental》。続くターンには《ヴェズーヴァの多相の戦士/Vesuvan Shapeshifter》がこんにちは。
    裏⇒表の「ピクルス」ループに入り土地がタップアウト状態の和田はここで投了。

    東 1-0 和田

    Game 2

    東 大陽

    お互いキープでのスタート。まずは和田の《激浪のこそ泥/Riptide Pilferer》、これには《呪文嵌め/Spell Snare》。しかし、東の2枚目の土地は《ディミーアの水路/Dimir Aqueduct》。和田はタップアウトしたこのチャンスを逃さず、再びの《激浪のこそ泥/Riptide Pilferer》。

    返す東は変異をプレイして、

     「かかって来い!!」

    しかし《稲妻のらせん/Lightning Helix》は来たらず、和田は《宮廷の軽騎兵/Court Hussar》で手札を整えたのち、バウンスランドを連続セットでワンクッション挟んでからの《砕岩を食うもの/Detritivore》待機2で東の土地を攻める作戦に。

    東の方は和田がタップアウトした隙を利用して《ザルファーの魔道士、テフェリー/Teferi, Mage of Zhalfir》。ターンを返して待機に表変えるは《意志を曲げる者/Willbender》。

    次のターンには変異⇒《ヴェズーヴァの多相の戦士/Vesuvan Shapeshifter》。コピーの対象は当然《意志を曲げる者/Willbender》。

    起死回生の《神の怒り/Wrath of God》も《差し戻し/Remand》×2でいなされ続けた上、3度目の正直とばかりのプレイには

     「必殺」

    《吸収するウェルク/Draining Whelk》。東の完勝。

    東 2-0 和田


     
  • Sunday, Mar 18: 7:39 p.m. - 準々決勝 : 岩崎 裕輔(大阪) vs. 井出 克洋(佐賀)
    by Yusuke Yoshikawa


  • 井出 克洋

    青系コントロールが幅を利かせるこのトーナメントにあって、緑のクリーチャーを率いてTop 8に上り詰めた二人の対戦である。

    岩崎 裕輔は大阪のプレイヤーということで、多数の友人がギャラリーとして見守る中での対戦となっている。PTチャールストン24位という実績も持つ彼だが、この大会ではミスをしながらも一戦ごとに成長している印象である。友人たちの前で凱歌をあげられるだろうか。

    対する井出 克洋は、なんとByeなしからの初日8勝1敗、2日目も勢いが衰えることなくTop 8入りを果たした。しかも、これは4年ぶりのビッグイベントというから驚きだし、さらに、彼の名前に後ろにある「佐賀」という文字も、プレイヤーの所属としては目にすることは珍しい。彼の快進撃は、時間的・空間的制約があっても、マジックは活躍する権利を与えてくれることを示しているように思う。

    そのマッチアップは、「プロジェクトX」の岩崎に対し「グルール・ビート」の井出という構図。20点を攻めるデッキの井出は、「無限ライフ」コンボを有する岩崎に対して相性は決してよくないが、どこまで戦えるだろうか。

    Game 1

    ダイスロールで岩崎が先攻と決まる。先手を取りたい井出にとってはこれだけでも苦しいのだが、6枚にもしばし考え顔。少しでも勝ちの可能性を追求し、ダブルマリガンを決断する。

    だがそれも報われず、4枚でのスタートとなってしまった井出。だが、最初のプレイ《山/Mountain》《焼け焦げたルサルカ/Scorched Rusalka》には力がこもっている。

    しかし岩崎はまず《闇の腹心/Dark Confidant》を送り込むと、アップキープの手順は丁寧に、緊張を抑えるように間をおきながらプレイを進め、《オルゾフの御曹子、テイサ/Teysa, Orzhov Scion》《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》と並べて攻撃に移る。

    《炎の印章/Seal of Fire》《獣群の呼び声/Call of the Herd》までは粘るものの、岩崎に《本質の管理人/Essence Warden》《オルゾヴァの幽霊議員/Ghost Council of Orzhova》が現れライフでも届かないことを悟ると、井出は次のゲームに頭を切り替えた。

    岩崎 –1 井出 –0

    岩崎のサイドボーディング
    Out: 3《酷評/Castigate》、2《墓所の勇者/Crypt Champion》、2《闇の腹心/Dark Confidant

    In: 1《死の印/Deathmark》、2《屈辱/Mortify》、1《ネクラタル/Nekrataal》、1《秘教の処罰者/Mystic Enforcer》、1《ロクソドンの戦槌/Loxodon Warhammer》、1《制圧の輝き/Glare of Subdual

    井出のサイドボーディング
    Out: 2《焼け焦げたルサルカ/Scorched Rusalka》、2《岩石樹の祈り/Stonewood Invocation》、3《ブリキ通りの悪党/Tin Street Hooligan

    In: 3《血染めの月/Blood Moon》、2《腐れ蔦の外套/Moldervine Cloak》、1《ガイアの頌歌/Gaea's Anthem》、1《獣群の呼び声/Call of the Herd

    Game 2

    岩崎 裕輔

    逆転を期したい井出だが、第1・2ターンに動くことができない。岩崎が第2ターン《根の壁/Wall of Roots》からのスタートとなり、逆転は難しいかに思われた。

    しかし、第3ターンに輝いたのは、井出の《血染めの月/Blood Moon》。見ると、岩崎の土地は全て「基本ではない土地」で、一気にマナの生成が難しくなってしまっている。

    岩崎が《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》をプレイするだけで何もできないでいると、井出は《獣群の呼び声/Call of the Herd》を示す。そして続くターン、その象トークンに《腐れ蔦の外套/Moldervine Cloak》!

    《根の壁》でも止められない大物の登場に、岩崎は深く息をつく。井出は《密林の猿人/Kird Ape》を追加して、手を緩めない。

    岩崎が長いため息をついて置いたのは、やはり基本ではない《ラノワールの荒原/Llanowar Wastes》。まだ、何もできない。

    これで俄然勢いづいた井出は、《腐れ蔦の外套》つきの象トークンで攻撃した後、《瘡蓋族のやっかい者/Scab-Clan Mauler》《獣群の呼び声/Call of the Herd》の2枚目と手札を全て使い切る。決意と勢いの表れ。

    岩崎は2枚目の《根の壁》をプレイし、召集を利してX=4の《召喚の調べ/Chord of Calling》から《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》で消火を図ったのだが、本質的な解決には至らず、井出の燃え盛る軍勢を止めることはできなかった。勝負は第3ゲームへ。

    岩崎 –1 井出 -1

    Game 3

    岩崎がマナ基盤を固めるのが早いか、井出の《血染めの月/Blood Moon》が拘束するのが早いか。岩崎が先攻でゲームが始まる。

    しかし、初手の7枚を見たとき岩崎の顔がにわかに曇る。首をひねりながら、少し考えてキープとなった。井出も互いに決意のキープ。

    井出が《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》、岩崎が《根の壁/Wall of Roots》と悪くない発進だが、互いの表情から考えてここからが勝負といえよう。

    井出の2枚目の土地が《ペンデルヘイヴン/Pendelhaven》であることを確認して、岩崎は軽くうなずいた。《血染めの月》はまだ、出ない。

    これを見て、岩崎は《根の壁》の2体目と《闇の腹心/Dark Confidant》を展開する。
    第3ターン、井出は4マナから《巨大ヒヨケムシ/Giant Solifuge》をプレイして攻撃。先ほどの行動で《根の壁》はともに0/4となっているので、岩崎はこれを通す。

    岩崎は《闇の腹心》攻撃から《根の壁》2体と召集でX=3《召喚の調べ/Chord of Calling》。《オルゾフの司教/Orzhov Pontiff》を引き出し、これの-1/-1能力が《ラノワールのエルフ》《巨大ヒヨケムシ》を一掃した。

    ここでようやく赤マナ源である《カープルーザンの森/Karplusan Forest》を引き込んだ井出は、《炎樹族のシャーマン/Burning-Tree Shaman》をプレイ。無限ライフループへの、一応の回答はできた。だが、攻撃には移れない。

    続いて岩崎の《闇の腹心》でめくれたのは《墓所の勇者/Crypt Champion》。これでライフは9となり、そろそろ残りが気になってくる。

    しかしその後のドローで待望の白マナ源である《寺院の庭/Temple Garden》を引き当てると、《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》をプレイしてライフを11に(《寺院の庭》のコストで2点)に引き上げて危険域を脱する。

    これに対し井出は《黒焦げ/Char》を岩崎に打ち込んで可能性を追求する。火力があればあるいは、という状態になり岩崎も気が抜けない。

    井出は《腐れ蔦の外套/Moldervine Cloak》を《密林の猿人/Kird Ape》につけて攻撃、これは逡巡ののち《闇の腹心/Dark Confidant》でチャンプブロック。

    岩崎は確実に、勝利へと慎重に向かう。《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter》を出した後、《ネクラタル/Nekrataal》がネックとなっていた《炎樹族のシャーマン》を除去し、万全な場に近づいていく。

    井出の目の力は消えていない。しかし、ただ《巨大ヒヨケムシ》を出すことしかできない。この時点で手札は0となった。

    ターンが帰ってきた岩崎は、井出の残りライフと場を慎重に確認する。度重なるペインランドの使用、また回数は少ないながらの《ロクソドンの教主》の重い攻撃で井出のライフはかなり減っていた。

    そこで、手札の《屈辱/Mortify》2枚で《巨大ヒヨケムシ》以外のブロッカーを排除して総攻撃。井出も注文に応じてブロックするしかなく、可能性を失った井出は次のドローをもって投了を宣言した。

    岩崎 –2 井出 -1

    勝者と敗者、それぞれが友人たちのもとへ向かう。

    敗れた井出は、「帰ろう」とひとこと。疲れを含みつつも、久々のビッグイベントでここまで戦えたことの充実感がにじんでいた。

    勝った岩崎も、観戦していた友人からプレイについての批評を受けていた。試合中は相当な緊張があったようだが、話しているうちに緊張が解けていくようで、また友人たちからもこれから準決勝に臨む岩崎をサポートしようという雰囲気が感じられた。


     
  • Sunday, Mar 18: 8:02 p.m. - これも《変異種/Morphling》?
    by Event Coverage Staff


  • Mark Pooleいわく「オレたち間違いなく会場で一番のイケメンだね!」

     
  • Sunday, Mar 18: 8:34 p.m. - 準々決勝 : 渡辺 雄也(神奈川) vs. 清水 直樹(神奈川)
    by Daisuke Kawasaki


  • 渡辺 雄也
    昨年末に行われたThe Finals。そこで筆者がプレイヤーたちに聞いてみた事がある。

    「この大会でもっともブレイクすると思われるプレイヤーは誰か?」

    そして、大方の予想を裏切らず、準優勝をした「草の根の父」渡辺 雄也(神奈川)。確実な実力に裏付けられた風格ある「新鋭」は、The Finalsにとどまらないブレイクを見せるべく、今大会でも、きっちりとトップ8入りを果たした。

    デックは、The Finals同様、相澤 恵司(東京)と調整を重ねたイゼットロンである。

    いまだ、「アマチュアプレイヤー」でもある渡辺。GP仙台での荒堀 和明(京)以来かもしれないアマチュアチャンピオンの誕生ももはや夢物語ではない。

    渡辺がThe Finalsでブレクを果たしていた、その裏で、草の根大会で黙々とデックを調整していたひとりの男がいた。

    そのデックとは、今大会の目玉デックのひとつである青緑変異トロン、通称「セル」。

    ビルダーは「シミックの王子」清水 直樹(神奈川)。

    時のらせんが導入直後の環境に青緑クロックパーミ「スクリブ&フォース」を持ち込んだ清水。すでにご存知のとおり、このS&Fは、ひとつのアーキタイプとしてその名前のままに全世界的に認知されている。

    そして、今回清水が持ち込んだ「セル」も、青緑トロンのスタンダードとして、Magic Onlineや関東の草の根大会で確実に支持を集めているデックである。少なくとも、現環境に存在する、青緑デックのほとんどが清水の手によるものなのである。

    デックビルダーやライターとしての活躍、なにより昨年度の日本選手権トップ8に続く今大会でのポールポジションでのトップ8入賞と、完全にブレイクを果たしたかのように見える清水ではあるが、今現在「決勝トーナメントは常に1回戦敗退」という大きな壁にぶつかっている。

    清水といえば、その上昇志向の高さでも知られるプレイヤーである。予選ラウンドを快進撃で終えたその勢いのままになんとかその壁を破りたいという思いには強いものがあるだろう。そして、その対戦相手が日ごろ「ライバル」と公言する渡辺である以上、清水にとってこれ以上の舞台はない。

    一部では「事実上の決勝戦」ではないかという声も上がる、少なくとも関東圏の草の根プレイヤーたちにとっては頂上決戦ともいえるこの対戦。

    清水の前に、ジンクスという、そして渡辺 雄也という厚く高い壁が立ちはだかる。

    Game 1

    清水 直樹
    「振り駒」で先手は清水。

    清水はマリガン後、土地4枚に《召喚の調べ/Chord of Calling》《セロン教の隠遁者/Thelonite Hermit》という手札をキープする。

    互いに順当に土地をセットし続けた4ターン目、清水が手札を見て長考。渡辺のデックは熟知している清水、ここは何もせずにターンを終了しようとしたのだが、そこで渡辺は《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》をキャスト。毎ターン3点という馬鹿にできないレベルのクロックを用意する。

    続くターンに、《差し戻し/Remand》用のマナを確保した状態で、変異をキャストする清水だったが、これは《マナ漏出/Mana Leak》。すでに2枚目の《セロン教の隠遁者》を持つ清水は、渡辺の残った2マナをみて、まだ機ではないと判断。おとなしく変異の正体を明かし、墓地へと置く。

    そして、渡辺が《強迫的な研究/Compulsive Research》で手札の充実を図った次のターン、残り2マナのタイミングこそ好機と、2枚目の《セロン教の隠遁者》を《差し戻し/Remand》を構えつつキャスト。しかし、ここで渡辺が用意していた回答は「バイバックなし」の《呪文の噴出/Spell Burst》。この1マナカウンターに対しては《差し戻し》もただのキャントリップ。清水は自身の変異へと《差し戻し》をキャストし、解決を先延ばしせざるを得ない。

    こうして稼がれた時間の間に、《硫黄の精霊》が着実にクロックを刻んでいく。その動きはさながらクロック=パーミッションのようですらある。相澤自身も「それを狙って作ったんですよ」と言うように、一見白系ビートダウン対策に見えるこのカードは、瞬速と刹那によって、実はコントロール相手にも主導権を取れる強力な対策カードとなる。だからこその、メイン投入なのである。

    清水の時間は残り少ない。

    人事を尽くして天命を待つ、という言葉がある。現実のカードで、オンライン上の仮想のカードで、デックとプレイングは練りこみに練りこんだ。ジンクスを大事にするプレイヤーである清水は全てのジンクスを守ってここまでやってきた。清水は自身のラッキーアイテムであるハンカチで、手の汗を拭く。

    そう、人の手でできることは全てやったのだ。

    そして、天命ならぬ《根の壁/Wall of Roots》を待った清水は、ついに《根の壁》をキャストすることに成功する。

    だが、残酷な現実は、渡辺の手札に《撤廃/Repeal》と《悪魔火/Demonfire》を用意していたのだった。

    渡辺 1-0 清水

    Game 2

    続いて先攻の清水。今度は渡辺がマリガン。

    渡辺が2ターン目にキャストした《イゼットの印鑑/Izzet Signet》を《撤廃/Repeal》し、順調にマナを伸ばしていく。だが、渡辺が力強くセットランドしたのは最後のトロンである《ウルザの鉱山/Urza's Mine》。ここで「クッ」と声を漏らす清水。実は清水の手の中にもトロンが揃っていたのである。不服にも一歩遅れをとってしまう清水。

    しかし、続くターンに清水がトロンを揃えてキャストした《詩神の器/Muse Vessel》を渡辺はカウンターできない。この《詩神の器》の起動に対して、渡辺は「《詩神の器》の能力で《ヴェズーヴァの多相の戦士/Vesuvan Shapeshifter》を変異でキャストできるか」をジャッジに確認。ここでルールの確認の為にしばらく時間が設けられることとなる。

    清水は、額の汗をハンカチでぬぐう。

    結果、渡辺は《ヴェズーヴァの多相の戦士》をリムーブする。

    清水 「これを捨てるって事は手札相当強い?」

    清水の予想通り、この時点での渡辺の手札は《連絡/Tidings》《併合/Annex》《呪文の噴出/Spell Burst》といったこのマッチアップを決定づけるカードに溢れていた。

    清水の《ウルザの塔/Urza's Tower》に向けてキャストされる《併合》。清水も《差し戻し》での抵抗を試みるが、ここへは《呪文の噴出》がバイバックで。

    清水は、《ウルザの塔》を揃え直す事ができず、せめてもと《詩神の器》でアドバンテージを稼ぎに行く。そんな、プランを崩壊させる《連絡/Tidings》。

    のけぞりながらも、清水の目は死んでいない。清水には成し遂げなければならない目標がある。

    そんな清水の心を折る《強迫的な研究》、そして2枚目の《連絡/Tidings》。

    渡辺 2-0 清水

    手札もマナも圧倒的な差をつけられながらも、清水は最後まであきらめなかった。《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》によるビートダウンが始まっても、最後の最後、《召喚の調べ/Chord of Calling》による逆転というプランに僅かな望みをかけて、ゲームを続けた。

    そして、その《召喚の調べ》が《徴用/Commandeer》された瞬間、清水の負けが完全に確定した瞬間、二人は固い握手を交わした。

    清水 「ナベ(渡辺)、がんばれよ!」
    渡辺 「おう!」


     
  • Sunday, Mar 18: 9:09 p.m. - 準決勝 : 東 大陽(兵庫) vs. 渡辺 雄也(神奈川)
    by Yukio Kozakai


  • 渡辺 雄也

    構築戦最強の座は渡さない。

    東 大陽(兵庫)といえば、「エンチャントレス」というイメージがあるのは筆者だけではあるまい。2003年のGP広島(エクステンデッド)優勝でブレイクした東のエンチャントレスデッキ「エターナルウィンド」の美しいレシピと展開を、今でもハッキリと思い出せる。

    「時に冷静、時に激しく」というプレイスタイルはすっかり変わり、常にポーカーフェイスで物静かにゲームを進める姿に、4年という月日の長さを感じる。だが、大人しくしていたわけではない。もう一度グランプリに「風」を巻き起こす為に、東はこの舞台へ帰ってきたのだ。

    渡辺 雄也(神奈川)を初日にフィーチャーエリアに招いた時に、やはり独特の「オーラ」のあるプレイヤーだと感じた。比較対象として出すには実績に大きな隔たりはあるが、昨年の日本選手権の決勝ラウンドで、森 勝洋(東京)が放っていたとされるオーラ。周囲に「勝つ」と思わせる雰囲気は、それに近いものがある。

    特に、決勝ラウンドに入ってからのパフォーマンスは飛び抜けている。それまで1敗しかしていなかった清水 直樹(神奈川)にほぼ何もさせずに圧勝で準決勝進出を決め、完全に勢いにも乗った。

    一気の戴冠があっても、全く驚けない。

    Game 1

    先に仕掛けたのは渡辺。《蒸気孔/Steam Vents》をアンタップインで置いたままターンを返し、注文通りの《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》。さらにトロンを揃えた上で2枚目の《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》をフィールドへと送り、強烈なクロックを形成する。

    渡辺が《強迫的な研究/Compulsive Research》を打ち込み、《マナ漏出/Mana Leak》《強迫的な研究》を切ってまで残したのは《島/Island》。続くターンに東が変異で《ヴェズーヴァの多相の戦士/Vesuvan Shapeshifter》を送り込むが、先程の《強迫的な研究》の取捨選択でアクティブな《イゼットの印鑑/Izzet Signet》を含めた青マナを2つ残せていた渡辺は、《撤廃/Repeal》《電解/Electrolyze》と連続して打ち込んで東のカウンターを捌ききり、ビートダウンを続ける。

    変異クリーチャーを引き過ぎていた東の手札からはカウンター呪文が枯渇し、一度は《差し戻し/Remand》した《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》も二度目まではかわす事が出来なかった。

    東 0-1 渡辺

    Game 2

    東 大陽

    今度も、淡々と土地を並べあう展開に。しかし、やはりというか《硫黄の精霊》が現れ、まさに刹那の瞬間に緊張状態を作り出す。東もカウンターの打ち合いを制して変異を場に登場させ、渡辺の出方をうかがう。

    今回動いたのは東だ。青マナがタイトな渡辺をよそに《ザルファーの魔道士、テフェリー/Teferi, Mage of Zhalfir》を呼び込み、盤面維持に賭ける。しかし、渡辺も《ザルファーの魔道士、テフェリー》を重ねて対消滅。渡辺は《電解》《強迫的な研究》《連絡/Tidings》と掘り進めて順調に土地を伸ばし、トロンを揃えて《ウルザの工廠/Urza's Factory》を起動し始める。

    東はブロッカーに《ファイレクシアの鉄足/Phyrexian Ironfoot》を調達して攻防一体のグッドカードを展開するが、これまでに殴り続けて、地道に削られたライフが効いている。

    《ファイレクシアの鉄足》での攻撃を開始した東に対し、渡辺は《ウルザの工廠》を起動し、ブロックに回さずに返しで殴りかかり、《ファイレクシアの鉄足》がブロックに回るべくアンタップ。わずかに東のマナが足りなくなったところに、東のライフをきっちり刈り取る《悪魔火/Demonfire》6点!

    一度は《差し戻し》する東だったが、トロンを揃えた渡辺がもう一度《悪魔火》を放つと、東はサッと土地を片付け始めた。

    大味な展開になりがちなウルザトロン。だからこそ、東がメインサイド合わせて4枚採用している《意志を曲げる者/Willbender》が光るのだが、《電解》《硫黄の精霊》と細かいダメージを積み重ねることで、デッキ全体が予防策として機能していたのだ。

    昨年のファイナルズでは、あと一歩のところで森 勝洋の壁に阻まれたが、プロツアー横浜への参戦を明言し、「最強のアマチュア」の称号を返上した渡辺は、グランプリチャンピオンの座、そしてRookie of the Yearレースへとしっかり道筋が見えてきた。

    名実共に、「スタンダード日本一」を確実なものにしようとしている。

    東 0-2 渡辺


     
  • Sunday, Mar 18: 9:27 p.m. - 準決勝 : 富井 翼(東京) vs. 岩崎 裕輔(大阪)
    by Daisuke Kawasaki


  • 富井 翼

    800人を超える参加者が集まったGP京都だったが、すでに椅子に座ることが許されたプレイヤーはたったの4人となった。

    その中から、富井 翼(東京)と岩崎 裕輔(大阪)による図らずも東西対決となった準決勝をお送りしよう。

    富井のデックはソーラーフレア。トロンと並んで「大量マナゲーム」の片輪である《印鑑/Signet》によるマナ加速と、リアニメイト戦略をメインの軸とする、もはやおなじみといってもいいだろうアーキタイプである。

    一方の岩崎のデックは、Project-X。いわゆる無限ライフコンボを軸としたデックである。

    古のスタンダードに存在した、《ヨーグモスの取り引き/Yawgmoth's Bargain》《魔の魅惑/Aluren》《魂の管理人/Soul Warden》《ゴブリンの砲撃/Goblin Bombardment》によるコンボデックに代表されるような、クリーチャーを基盤としたコンボデックは、対策されやすいクリーチャーにコンボを依存しなければならないという、構造上避けられない欠点を持っている。

    しかし、一方で、このタイプのデック、いわゆる「クロック=コンボ」は、コンボパーツが単体でクロックとして機能するというメリットも併せ持っている。コンボデックが作り出さなければならない「相手の隙」、それをクロックに対処させることで意識的に作りださせる事が可能であり、あわよくばそのままクロックだけで勝利するというプランまである。

    一般的なクリーチャーデックに対しては、強力な耐性をもつソーラーフレアというアーキタイプ。

    しかし、クリーチャーデックはクリーチャーデックでも一筋縄ではいかないのが岩崎のProject-X。

    この対戦を制し、決勝へと駒を進めるのは一体どちらか。

    Game 1

    岩崎 裕輔

    先攻は富井。

    マリガン後、土地1枚と2枚の《極楽鳥/Birds of Paradise》にマナベースを頼らなければいけない手札を少考の後キープする岩崎。

    無事、2枚目の土地を引き込み、2ターン目に土地2枚に《極楽鳥》2体というマナベースを確立させる。

    一方の富井は、3ターン目《宮廷の軽騎兵/Court Hussar》4ターン目《強迫的な研究/Compulsive Research》と手札の充実に努め、《オルゾフの聖堂/Orzhov Basilica》のセットによって手札を8枚にし、《絶望の天使/Angel of Despair》をディスカードする。

    その後も《強迫的な研究/Compulsive Research》《アゾリウスの印鑑/Azorius Signet》と着実にアドバンテージ差を広げていく富井。岩崎が《本質の管理人/Essence Warden》《オルゾフの御曹子、テイサ/Teysa, Orzhov Scion》と場に並べ、《召喚の調べ/Chord of Calling》で《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter》をサーチし、コンボ成立一歩手前となったところでも、落ち着いて《酷評/Castigate》《迫害/Persecute》で手札を丸裸にした上で《影武者/Body Double》で《絶望の天使》をコピーして《サッフィー・エリクスドッター》を破壊する。

    さらに、今度は手札からキャストされる《絶望の天使》。

    ここに至って、《魂の管理人》《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》によって、ライフが30点を超えていた富井だったが、この10点ずつ刻まれるクロックに対して時間以内に回答を用意することができなかった。

    富井 1-0 岩崎

    Game 2

    《極楽鳥》《闇の腹心/Dark Confidant》《サッフィー・エリクスドッター》《ロクソドンの教主》という岩崎の軽快かつ重厚なビートダウンからゲームがスタートする。

    富井は、2枚の《印鑑》と《オルゾフの聖堂》《ファイレクシアのトーテム像/Phyrexian Totem》により確実にマナベースを伸ばしてから《神の怒り/Wrath of God》。ここで《サッフィー・エリクスドッター》の能力によって場に残ってしまう《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》に対しても、《絶望の天使》という回答を用意していた富井だったが、ピンポイントで突き刺さる《酷評》。

    しかし、あわてる事無く、《連絡/Tidings》と2枚の《宮廷の軽騎兵》によって手札を充実させつつ、時間を稼ぎ、着実に場の優位を確立した上で《神の怒り》をキャスト、ついに《ファイレクシアのトーテム像》によるビートダウンをスタートする。

    ピンポイントで《闇の腹心》だけは除去され続けて、すでに手札を消耗しきった岩崎は、このビートダウンに対して根本的な対策をとることができない。回復に回復を重ねていた岩崎のライフが確実に減らされていく。

    祈るようなドローで岩崎はなんとか2枚の《召喚の調べ》を手札に溜め込む。すでに《本質の管理人》を場に出しているだけに、富井になんらかの妨害手段さえ無ければ、富井のターンエンドと自身のメインターンでの連続キャストで無限ライフコンボを成立させることができる。

    だが、富井の手札には、《屈辱/Mortify》と2枚の《酷評》という十分すぎるほどの妨害手段を持っていた。

    まずは、1枚目の《酷評》で1枚目の《召喚の調べ》をリムーブさせる。そして、後の憂いをたつべく2枚目の《酷評》を、《屈辱》を手札に構えたまま打ち込む。岩崎は、X=4で《召喚の調べ》をキャストする。ここで持ってこられるクリーチャー、おそらく《ロクソドンの教主》は《屈辱》で対処できる。あとは、《ファイレクシアのトーテム像》でビートダウンし続ければ、圧倒的に、とはいかなくともかなり優位にゲームを進められる。

    はずだった。

    岩崎がライブラリーから引っ張り出してきたカードは、《秘教の処罰者/Mystic Enforcer》。

    《屈辱》を構えていた富井にとっては、残酷を超えて卑怯とまで言える必殺の一撃。

    富井のライフは、6。

    富井 1-1 岩崎

    Game 3

    岩崎が《極楽鳥》をキャストした返しで、富井が《酷評》で《酷評》をリムーブさせる序盤。

    《オルゾフの御曹子、テイサ》《サッフィー・エリクスドッター》とクロックを用意する岩崎だが、富井は《宮廷の軽騎兵》で地上を固め、《強迫的な研究》《連絡》と手札の充実をはかる。

    この《連絡》の為にタップアウトした隙に、《召喚の調べ》をX=1でキャストする岩崎。サーチしてくるクリーチャーは《本質の管理人/Soul Warden》。

    富井は、小さくうめいた。

    最後に岩崎を勝利に導いたのは、やはりこのコンボだった。

    富井 1-2 岩崎


     
  • Sunday, Mar 18: 9:55 p.m. - 決勝 : 渡辺 雄也(神奈川) vs. 岩崎 裕輔(大阪)
    by Yusuke Yoshikawa


  • 渡辺 vs. 岩崎

    3月は、出会いと別れの季節だという。
    4月からの新生活を控え、この大会を区切りにトーナメントを離れる者がいる。しかしその一方、新たなスター候補が檜舞台に躍り出ようとしている。もしかしたら、未来のPlayer of the Year、世界王者の初タイトルに出会う瞬間になるのかもしれない。

    神奈川から、渡辺 雄也。大阪から、岩崎 裕輔。年若い彼らのどちらが勝ってもプレミアイベントでの初タイトル、それも、世界で最強といわれる日本のスタンダード構築を制しての優勝になるのだ。この勝利は大きな意味を持つ。

    しかし一方で、勝利は全てではない。どちらが勝ったとしても、彼らが真っ直ぐに成長し、その技術・強さとともに、マジックを楽しむ全てのプレイヤーのお手本となるような存在になってくれることを、心から願う。

    双方の使用デッキは渡辺が「イゼットロン」、岩崎が「プロジェクトX」となっている。さあ、試合に目を移そう。

    Game 1

    ダイスロールで先攻は岩崎となった。「キープします」と上向きに岩崎、うつむき加減で渡辺。声色は違うがどちらも7枚で。

    まずは岩崎がロケットスタートを見せる。すなわち、《極楽鳥/Birds of Paradise》から《闇の腹心/Dark Confidant》の発進である。

    《イゼットの印鑑/Izzet Signet》のみでターンを返す渡辺に、第3ターンの岩崎も素晴らしい動きを見せる。《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter》から《酷評/Castigate》である。

    ここで渡辺の手札が公開され、《撤廃/Repeal》《強迫的な研究/Compulsive Research》2枚、《イゼットの印鑑/Izzet Signet》に《蒸気孔/Steam Vents》2枚。ウルザトロンの姿はない。岩崎は自分の手札を確認しながら、《撤廃》を指定した。

    渡辺は《ウルザの塔/Urza's Tower》を引き込んであと1種類とし、《イゼットの印鑑》から《強迫的な研究》。3枚引いて、《蒸気孔》の1枚を捨てる。

    岩崎はパワー2が2体での攻撃を続行しつつ、《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch》でさらに圧力を高める。一気に押し切れるか。

    しかしこれには渡辺も落ち着いている。いや、内心穏やかではないのかもしれないが、少なくとも表情の変化はまだ読み取れない。《強迫的な研究》の2発目から土地を捨てて《シヴの浅瀬/Shivan Reef》プレイ、少し考えて《イゼットの印鑑》の3枚目を展開してターンを返した。ちょうど《差し戻し/Remand》1回分のマナが残っている。

    岩崎はアップキープに《ロクソドンの教主》を手に入れて、まずはと《酷評》で打診する。ここで初めて渡辺は苦い顔をする。そして、手札を晒す。そこには、逆転を賭けた《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》が眠っていた。

    もちろん岩崎はこれを指定し、《呪文の噴出/Spell Burst》《電解/Electrolyze》といった「先ほどはなかった」カードをメモに残す。そして、総攻撃。渡辺のライフは6に減少する。

    窮地に立たされてしまった渡辺だが、落ち着いて《強迫的な研究》の3枚目をプレイ。これでウルザトロンを揃えると、《電解/Electrolyze》で《闇の腹心》《極楽鳥》に1点ずつ、と指定する。岩崎は少し考えるも、これを受け入れる。ダメージソースはまだ6点残るのだ。

    渡辺はいくばくかのマナを残してターンを返す。岩崎としては不気味であるが、愚直に攻撃を続けるのみ。

    果たして対応は何もなく、渡辺はごく静かにカードを片付けだした。

    渡辺 –0 岩崎 –1

    渡辺のサイドボーディング
    Out: 1《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》、1《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》、1《呪文の噴出/Spell Burst》、1《連絡/Tidings
    In: 1《ザルファーの魔道士、テフェリー/Teferi, Mage of Zhalfir》、2《ヴェズーヴァの多相の戦士/Vesuvan Shapeshifter》、1《神秘の指導/Mystical Teachings

    岩崎のサイドボーディング
    Out: 1《酷評/Castigate》、1《ネクラタル/Nekrataal》、2《迫害/Persecute》、1《秘教の処罰者/Mystic Enforcer
    In: 1《根の壁/Wall of Roots》、1《本質の管理人/Essence Warden》、1《墓所の勇者/Crypt Champion》、1《オルゾフの司教/Orzhov Pontiff》、1《ロクソドンの教主/Loxodon Hierarch

    Game 2

    渡辺 雄也

    このゲームも、岩崎が好スタートを見せる。
    《深き闇のエルフ/Elves of Deep Shadow》から入り、《根の壁/Wall of Roots》から《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter》。これにカウンターはなかった渡辺だが、動じることなく第3ターンの《イゼットの印鑑/Izzet Signet》で待ち受ける。

    しかしそこにまたしても《酷評/Castigate》。渡辺は少し考えるが、対応することなく手札を揃えて差し出した。

    その内容は、《差し戻し/Remand》《強迫的な研究/Compulsive Research》《電解/Electrolyze》《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》《強迫的な研究/Compulsive Research》に《ウルザの塔/Urza's Tower》(既に1枚場にある)。

    ここから岩崎は《差し戻し》を取り除き、攻撃後に継続手として《オルゾフの御曹子、テイサ/Teysa, Orzhov Scion》を呼び出した。これで、「無限トークン」には《墓所の勇者/Crypt Champion》待ち、という状態ともいえる。

    渡辺は《ウルザの塔》の2枚目を置き、《強迫的な研究/Compulsive Research》をプレイ…せずに、対応するマナを残してターンを返す。

    岩崎のターン、《サッフィー・エリクスドッター》《オルゾフの御曹子、テイサ》で攻撃し、《闇の腹心/Dark Confidant》を続ける。

    ここに、渡辺は《闇の腹心》と《深き闇のエルフ》を対象として《電解/Electrolyze》。これに岩崎は《サッフィー》を使う素振りも見せたが、結局はそのまま墓地に置いた。《テイサ》の能力で、白い1/1飛行トークンが生まれる。

    渡辺は《強迫的な研究》をプレイし、2種類目のトロンとして《ウルザの鉱山/Urza's Mine》をプレイする。次に揃えば、もちろん《ボガーダンのヘルカイト》に届くのだ。

    岩崎は攻撃しつつ、《本質の管理人/Essence Warden》を揃えてから最後の手札、《墓所の勇者/Crypt Champion》をプレイする。決まればもちろん勝利だが、これは渡辺が《マナ漏出/Mana Leak》で阻む。

    返すターン、そろそろライフが気になりだした渡辺は《悪魔火/Demonfire》X=2を《サッフィー》に。岩崎は一応能力を使っておく。

    岩崎は攻撃を続行するが、《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》が登場。まず白い1/1トークンが消え、さらにこれが《本質の管理人》をブロックして撃退。3/2となった《テイサ》で渡辺のライフは4になるが、場は落ち着きを見せ始めている。

    次のターン、ようやく余裕を得た渡辺が《連絡/Tidings》でカードを大量補充。続く攻撃で《テイサ》と《硫黄の精霊》が相打ちとなり、岩崎が「おかわり」の《テイサ》を出すが、これも2枚目の《硫黄の精霊》との相打ちに。

    そしてついに、岩崎の継続手段がなくなってしまった。そうなれば、これは渡辺の独壇場。例えトロンが揃わずとも、だ。

    満を持した渡辺が、まずは《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》をプレイ。そして《悪魔火/Demonfire》が、岩崎を焼いた。

    渡辺 –1 岩崎 -1

    渡辺のサイドボーディング
    Out: 1《ザルファーの魔道士、テフェリー/Teferi, Mage of Zhalfir》、1《ヴェズーヴァの多相の戦士/Vesuvan Shapeshifter》、1《呪文の噴出/Spell Burst》、1《神秘の指導/Mystical Teachings
    In: 2《鋸刃の矢/Serrated Arrows》、1《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》、1《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite

    Game 3

    岩崎 裕輔

    勝負は3本目を迎えた。泣いても笑ってもあと1ゲーム、たくさんのギャラリーが見守るが、聞こえるは二人の深い吐息のみ。

    「先攻もらいます」と岩崎。渡辺は軽く頬を叩いて気合を入れ直す。第1ゲームと同じように、トーンは違うが二人同じ「キープします」の声。

    岩崎はみたび1マナスタートとなる《極楽鳥/Birds of Paradise》。さらに《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter》が続き、磨り減った《宝石鉱山/Gemstone Mine》を《オルゾフの聖堂/Orzhov Basilica》が回収するという幸便な立ち上がりとなった。

    渡辺は《ウルザの魔力炉/Urza's Power Plant》《ウルザの鉱山/Urza's Mine》から《イゼットの印鑑/Izzet Signet》の立ち上がり。こちらも最速が期待できる立ち上がりだ。

    しかし第3ターン、岩崎の《酷評/Castigate》で明らかになった手札は、《鋸刃の矢/Serrated Arrows》が2枚に、《電解/Electrolyze》と《イゼットの印鑑/Izzet Signet》、そして《ウルザの鉱山/Urza's Mine》。

    岩崎はここから《鋸刃の矢》を選び、さらに「もう1枚の」《酷評》プレイで《鋸刃の矢》の2枚目を叩き落す。あまりに流れるような展開に、ギャラリーから「すげえ…」とため息がもれる。

    しかし、渡辺も全く動じない。《サッフィー》の攻撃は甘んじて受け、続く《迫害/Persecute》にはきっちりと《マナ漏出/Mana Leak》を引き込んでいる。

    岩崎に追加の攻撃がないと見るや、《サッフィー》ではなく2体の《極楽鳥》に《電解》を打ち込む。

    そうしてついに《ウルザの塔/Urza's Tower》が現れ、ウルザトロンが揃う。しかしそのマナを活かした動きはまだない。岩崎は《深き闇のエルフ/Elves of Deep Shadow》を追加戦力として送り込む。

    ここで《悪魔火/Demonfire》を引き当てる渡辺だが、これだけで岩崎のライフを奪い去るにはまだ足りない。必然的に手札に残したそれに、突き刺さる3枚目の《酷評》!

    渡辺はここで初めて感情をあらわにし、悔しさから叩きつけるように《悪魔火》のカードをリムーヴ・ゾーンに置く。

    だがまだ終わらない。

    渡辺は冷静に、自らの《ディミーアの印鑑/Dimir Signet》を《差し戻し》するというテクニックでカードを求める。そして改めて《ディミーアの印鑑》をプレイして、ターンを返す。

    岩崎は、引き当てた《オルゾヴァの幽霊議員/Ghost Council of Orzhova》をプレイした。デッキにたった1枚のこのカードを、彼はこの大会で何度も引き当ててきたという。そして、今も。彼も相当に、「愛されている」。

    もちろんこれが通れば勝ちに直結する。ライフが6という渡辺は、この呪文をスタックに載せた状態で、少しの考慮に入った。

    そこで対応する形で手札から現れたのは、待ってましたの《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite》! 《サッフィー》がいるために完全な戦果とはいかないが、これで少なくとも《オルゾヴァの幽霊議員》へのブロッカーは用意できている。

    岩崎は《サッフィー》で救った《深き闇のエルフ》と《オルゾヴァの幽霊議員》を擁した状態で、ターンを返した。ライフはまだ17ある。まだ。

    続くターン、渡辺はカードを引いた。
    そして、マナを指で数える。
    《ボガーダンのヘルカイト》をレッドゾーンへ送る。
    岩崎がわずかの後、脱力したかのように天を仰ぐ――何を意味しているかを察して。
    戦闘後、渡辺が土地に手をかける。
    ギャラリーが息を呑む音が聞こえた。

    渡辺 雄也よ、
    叩きつけた《悪魔火/Demonfire》で、君の名を時代に告げろ!

    渡辺 –2 岩崎 -1

    あまりの光景に動きを忘れたギャラリーが徐々に金縛りから解き放たれ、勝者を、二人を称える拍手が広がっていく。
    渡辺と岩崎はがっちりと握手を交わし、そして、彼らはすぐに友の輪に包まれた。

    ところで読者の皆様は、第1回戦が始まる前に掲載された、Quick Questionにおける津村健志の言葉を覚えていらっしゃるだろうか?

    「スタンダードはナベ君が強いと思います」

    世界中を飛び回り、各地のプレイヤーから賞賛を受ける津村が名指しで示すほどのポテンシャルを持っていた渡辺。彼の的確なプレイが、土壇場の劇的なドロー《悪魔火/Demonfire》に結びついたのだ。
    その力は今まさに、世界に示されたのである。

    GP Kyoto Champion !!

    友人の輪に包まれた二人は、それぞれに言葉を交わし合う。多くのねぎらいと、そして少しの反省を。表彰式を経て、渡辺は胴上げまでされていて、思わずもらい泣きしてしまう者もいた。

    こんなちっぽけなカードに、これだけの想いを込められるほどに、彼らが情熱的な時間を過ごしてきたことを示しているように思えた。
    彼らの前向きな想いが、マジックを新たなステージへ連れて行ってくれるだろう。

    これを見て、そして忘れないでほしい。
    マジックをプレイするあなたには、いつもそばに友達がいることを。

    Congratulations to Yuuya Watanabe, GP Kyoto 2007 Champion!


     
  • Sunday, Mar 18: 10:19 p.m. - The Last Quick Question
    by Event Coverage Staff


  • このグランプリを通じて、あなたがもっとも「これは想像以上に強かった」と認識させられた「次元の混乱」のカードを教えてください

    岩崎 裕輔(GP Kyoto Finalist): 渡辺 雄也(GP Kyoto Champion): 清水 直樹(GP Kyoto Top 8):
    《硫黄の精霊/Sulfur Elemental 《硫黄の精霊/Sulfur Elemental 《デッドウッドのツリーフォーク/Deadwood Treefolk》!


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