Akira Levels Matsuyama!

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ここは城下町。

道後温泉と、松山市内を一望できる松山城から、およそ1時間の距離にあるアイテムえひめ。GPが滞りなく行われていた会場で、思わずタイトルのような声が聞こえてきそうな出来事に、プレイヤーが騒然となった。

初日全勝したプレイヤーが、全員トップ8テーブルに着くという初めての快挙を成し遂げたイベントの影では、ド派手な権利繰り下がりが大発生したのだ!

最終順位発表を前に、プレイヤーが情報収集に奔走する。
14ラウンド終了時点で、「3敗1分けにギリギリ権利が降ってくる『かも知れない』」というやりとりが多く聞こえてくる中、事態はそんな生易しいものではなかった。

「グランプリ上位22位までに入賞した方に、PTロンドンの権利が発生致します」

看板に掲げるとしたら、こうだ! 2日間で4敗を喫した多くのプレイヤーに繰り下がりが発生したのだから、場内騒然もいいところだ。スタンディングを確認すると、ベスト8で権利を持っていないのは野中だけ。考えてみれば、かなり濃いメンバーが上位に残って2日目のドラフトがあれだけ盛り上がったのだから、想像に難くない事態だった。

理由を探せば単純明快。日本勢の実力の底上げによる所が大きい。
GPは、いよいよ4敗まで権利が降ってくる可能性が出来たのだ。もう、「4敗はマネーフィニッシュまで」という定説は、過去のものになりつつある。

つまり、2日目に勝ち残ったプレイヤーは、安易なドロップを選択する事に大きな後悔をする時代が来たという事だ。

「2日目に抜けたけど、いきなり2連敗。ドロップしてサイドイベントに行こうかな……」と考えちゃう、そこのキミ! スリップにチェックを入れるその手を止めて、拳を握れ!

プロツアーは、そう遠いものでは無くなったのだから。

さらに、プロプレイヤークラブの発足に伴って、プレイヤーの間で「レベル」の意識が相当に高まっているのも見逃せない。強者にのみ与えられる、数々の好待遇。これまでは年間のトータルで獲得したプロポイントと、グレイビートレインに乗れるか否かのボーダーにのみ注目が集まっていたが、プロポイントを1点でも多く獲得する事への明確な目標が出来た事で、明らかにプレイヤーの意識は高まっている。

それが、今大会の上位勢に強豪がひしめく結果となったのは言うまでも無い。過去のGP静岡(2003年)の原田しかり、GP仙台(2004年)の安富しかり、新興勢力が台頭する舞台として、リミテッドGPはその役割を果たしてきた歴史がある。

だが、このGP松山においては、プロプレイヤークラブの存在がプレイヤーの意識改革を促しているのだ。実際、「1点でも多く取れば、次のレベルが!」というプレイヤーも少なくない。いわゆる「消化試合」という意味合いが非常に薄れ、イベントそのものが活性化しているのが見て取れる。

優勝した浅原は、今回の優勝で勝ち取った「6点」と、PTロンドンへの参加で「レベル4」になるといい、準優勝ながらも大礒は「レベル5」へと昇格を果たした。

今回発生した繰り下がり「事件」。
実に、色々なところに波及しているのがわかると思う。


Quarterfinals   Semifinals   Finals   Champion
1 高橋 純也   浅原 晃, 2-0        
8 浅原 晃   浅原 晃, 2-1
       
4 藤田 修   遠近 孝幸, 2-0   浅原 晃, 2-0
5 遠近 孝幸    
       
2 大礒 正嗣   大礒 正嗣, 2-0
7 斎藤 友晴   大礒 正嗣, 2-0
       
3 中村 修平   野中 健太郎, 2-1
6 野中 健太郎    

観戦記事 ベスト8最終順位

  • Decklists: The Top 8 Decks
    by Event Coverage Staff
  • Blog - 8:58 pm: 決勝戦: 浅原 晃 vs. 大礒 正嗣
    by Yukio Kozakai
  • Blog - 8:33 pm: 準々決勝: 大礒 正嗣 vs. 野中 健太郎
    by Isamu Fujieda
  • Blog - 8:18 pm: 準々決勝: 野中 健太郎 vs. 中村 修平
    by Isamu Fujieda
  • Blog - 7:56 pm: 準々決勝: 野中 健太郎 vs. 中村 修平
    by Isamu Fujieda
  • Blog - 7:31 pm: 準々決勝: 藤田 修 vs. 遠近 孝幸
    by Kenji Matsui
  • Blog - 7:11 pm: 準々決勝: 浅原 晃 vs. 高橋 純也
    by Keita Mori
  • Blog - 6:59 pm: 準々決勝: 大礒 正嗣 vs. 斉藤 友晴
    by Yukio Kozakai
  • Blog - 6:44 pm: Top 8 Profiles
    by Keita Mori

  • Day 2 Blog Archive: Draft Reports, Feature Matches, Top Pro Play, Behind the Scenes and Much More!
    by Event Coverage Staff
  • Round 12: Pods
    by Event Coverage Staff
  • Round 9: Pods
    by Event Coverage Staff

  • Decklists: Day 1 Undefeated Decks
    by Event Coverage Staff
  • Day 1 Blog Archive: Guest Artist, Feature Match Action, Top Pro Play, and Much More
    by Event Coverage Staff
  • Info: Day 1 Player List
    by Event Coverage Staff
  • Info: Fact Sheet
    by Event Coverage Staff
 1.  Akira Asahara $2,400
 2.  Masashi Oiso $1,700
 3.  Kentarou Nonaka $1,200
 4.  Takayuki Toochika $1,000
 5.  Osamu Fujita $800
 6.  Shuuhei Nakamura $800
 7.  Tomoharu Saito $800
 8.  Jun'ya Takahashi $800
組合 結果 順位
最終
14
13
12
11
10
9
14
13
12
11
10
9
14
13
12
11
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8
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5
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8
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4
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1
BLOG

 
  • Sunday, May 15: 6:44 pm - Top 8 Profiles


  • 大礒 正嗣/Masashi Oiso

    大礒 正嗣

  • 年齢・ご職業・お住まいの地域を教えてください
  • 21歳 大学生 東広島市

  • これまでのマジックにおける主な戦績をおしえてください
  • PT横浜、ニューオーリンズ、サンディエゴ、コロンバスでベスト8入賞
    GPボストン優勝 GP宇都宮、香港でベスト8入賞

  • 普段のマジックのプレイ頻度やプレイ環境について教えてください。また、マジックオンラインはプレイしていますか?
  • 大学に復学してからは忙しすぎてほとんどやっていません。
    オンラインも同じく。

  • シールドデッキ戦で使用したデッキと成績について教えてください
  • 白黒タッチ赤で除去の多目のデッキでした。
    Byeあけで4勝1敗です。

  • 今日の2回のドラフトでプレイしたデッキについて教えてださい
  • 1:赤緑《山伏の長、熊野/Kumano, Master Yamabushi》デッキ 3連勝
    2:赤黒で1勝、1インテンショナルドローで決勝進出です。

  • 2日間を通じて印象に残っているエピソードを教えてください
  • 《山伏の長、熊野/Kumano, Master Yamabushi》が良く出ました。

  • これからはじまる決勝ドラフトで望むアーキタイプをドラフト出来るとしたら、どんなデッキを作りたいですか?
  • 白黒のスピリットクラフトです。

  • あなたが今から地区予選に出場するとしたら、どんなスタンダードデッキをプレイしますか?
  • ヤソコンで出ますが、内容は秘密です。

    (※ヤソコン=関東勢の八十岡翔太が神河リリース直後から《けちな贈り物/Gifts Ungiven》を活用したコントロールをプレイしており、強豪たちの中では《けちな贈り物》デッキをこう呼ぶことが多い)


    藤田 修/Osamu Fujita

    藤田 修

  • 年齢・ご職業・お住まいの地域を教えてください
  • 27歳 フリーター 京都府

  • これまでのマジックにおける主な戦績をおしえてください
  • PTアムステルダム準優勝、APAC '99準優勝、日本選手権'03準優勝。
    GP台北もGP広島も準優勝。

  • 普段のマジックのプレイ頻度やプレイ環境について教えてください。また、マジックオンラインはプレイしていますか?
  • 土日にリアルマジック。
    MOはNO。

  • シールドデッキ戦で使用したデッキと成績について教えてください
  • 赤黒タッチ青で全勝(Byeあけに5連勝)

  • 今日の2回のドラフトでプレイしたデッキについて教えてださい
  • 1:赤緑ビートダウン
    2:赤黒

  • 2日間を通じて印象に残っているエピソードを教えてください
  • シールドで三色ともダブルシンボルのスペルをプレイできた。

  • これからはじまる決勝ドラフトで望むアーキタイプをドラフト出来るとしたら、どんなデッキを作りたいですか?
  • 青白か緑系

  • あなたが今から地区予選に出場するとしたら、どんなスタンダードデッキをプレイしますか?
  • 赤単色の何か。


    浅原 晃/Akira Asahara

    浅原 晃

  • 年齢・ご職業・お住まいの地域を教えてください
  • 26歳 楽天家 神奈川県

  • これまでのマジックにおける主な戦績をおしえてください
  • 特になし

    (※以上は本人申告だが、The Finalsを連覇し、グランプリで優勝経験もある)

  • 普段のマジックのプレイ頻度やプレイ環境について教えてください。また、マジックオンラインはプレイしていますか?
  • イメージトレーニング

  • シールドデッキ戦で使用したデッキと成績について教えてください
  • 赤緑で 8-0

  • 今日の2回のドラフトでプレイしたデッキについて教えてださい
  • 1:青黒 2-0-1
    2:青白 1-1-1

  • 2日間を通じて印象に残っているエピソードを教えてください
  • 温泉で覚醒しました。

  • これからはじまる決勝ドラフトで望むアーキタイプをドラフト出来るとしたら、どんなデッキを作りたいですか?
  • 忍者、ボム

  • あなたが今から地区予選に出場するとしたら、どんなスタンダードデッキをプレイしますか?
  • 忍者


    高橋 純也/Jun'ya Takahashi

    高橋 純也

  • 年齢・ご職業・お住まいの地域を教えてください
  • 17歳 高校生 横浜

  • これまでのマジックにおける主な戦績をおしえてください
  • PT名古屋参戦 PWC(※ローカルのトーナメント)で5-2

  • 普段のマジックのプレイ頻度やプレイ環境について教えてください。また、マジックオンラインはプレイしていますか?
  • 栃木での合宿。MOは学生なので(※要クレジットカード)出来ません。

  • シールドデッキ戦で使用したデッキと成績について教えてください
  • 白黒で6-1-1

  • 今日の2回のドラフトでプレイしたデッキについて教えてださい
  • 赤緑ラッシュと青白ゴッドデッキ

  • 2日間を通じて印象に残っているエピソードを教えてください
  • 《兜蛾/Kabuto Moth》を流して《狩猟の神/Kami of the Hunt》をピック

  • これからはじまる決勝ドラフトで望むアーキタイプをドラフト出来るとしたら、どんなデッキを作りたいですか?
  • 赤緑ラッシュ

  • あなたが今から地区予選に出場するとしたら、どんなスタンダードデッキをプレイしますか?
  • 赤緑スピリットラッシュ

    中村 修平/Shuhei Nakamura

    中村 修平

  • 年齢・ご職業・お住まいの地域を教えてください
  • 23歳 学生 大阪

  • これまでのマジックにおける主な戦績をおしえてください
  • PTフィラデルフィアで一人っぱぐれ

    (※プロツアー・フィラデルフィアで準優勝、ほか実績多数)

  • 普段のマジックのプレイ頻度やプレイ環境について教えてください。また、マジックオンラインはプレイしていますか?
  • リアルでは週に3回程度。週末の大会を中心に。
    MOではほぼ毎日。

  • シールドデッキ戦で使用したデッキと成績について教えてください
  • 《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》と39枚。0.5枚分くらいは《輝く群れ/Shining Shoal》。
    初日全勝。

  • 今日の2回のドラフトでプレイしたデッキについて教えてださい
  • 1:白青 1-1-1
    2:緑青タッチ白 2-1

  • 2日間を通じて印象に残っているエピソードを教えてください
  • 初日最終戦で《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》+《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》デッキと戦いました

  • これからはじまる決勝ドラフトで望むアーキタイプをドラフト出来るとしたら、どんなデッキを作りたいですか?
  • 白くてビートダウンの出来るデッキだと嬉しいです。

  • あなたが今から地区予選に出場するとしたら、どんなスタンダードデッキをプレイしますか?
  • ここのところスタンダードから離れているので自信がありませんが、おそらくトロンか緑コントロールをコピーして出るでしょう。

    遠近 孝幸/Takayuki Toochika

    遠近 孝幸

  • 年齢・ご職業・お住まいの地域を教えてください
  • 27歳 エンジニア 神奈川県相模原市

  • これまでのマジックにおける主な戦績をおしえてください
  • PTフィラデルフィア26位

  • 普段のマジックのプレイ頻度やプレイ環境について教えてください。また、マジックオンラインはプレイしていますか?
  • 週末に。MOはPTフィラデルフィア直前にはじめたばかり。

  • シールドデッキ戦で使用したデッキと成績について教えてください
  • 白黒タッチ赤 7-1 (Bye1)

  • 今日の2回のドラフトでプレイしたデッキについて教えてださい
  • 1:白黒侍・ネズミ
    2:白青

  • 2日間を通じて印象に残っているエピソードを教えてください
  • 初日最終戦でIDを申し込んで断られました。結果、相手の方は初日落ちでした。

  • これからはじまる決勝ドラフトで望むアーキタイプをドラフト出来るとしたら、どんなデッキを作りたいですか?
  • 白黒侍。

  • あなたが今から地区予選に出場するとしたら、どんなスタンダードデッキをプレイしますか?
  • ウルザトロン


    野中 健太郎/Kentaro Nonaka

    野中 健太郎

  • 年齢・ご職業・お住まいの地域を教えてください
  • 20歳 フリーター 大阪

  • これまでのマジックにおける主な戦績をおしえてください
  • PTコロンバス2005、日本選手権2004出場

  • 普段のマジックのプレイ頻度やプレイ環境について教えてください。また、マジックオンラインはプレイしていますか?
  • 週に二回くらい、大阪のBIG MAGICで

  • シールドデッキ戦で使用したデッキと成績について教えてください
  • 赤黒の《鏡割りのキキジキ/Kiki-Jiki, Mirror Breaker》、《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》いりビートダウン。サイド後は緑黒に

  • 今日の2回のドラフトでプレイしたデッキについて教えてださい
  • 1:白黒テンポ+《梅澤の十手/Umezawa's Jitte
    2:白赤スピリット

  • 2日間を通じて印象に残っているエピソードを教えてください
  • シールドと第1ドラフトで《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を引けたこと

  • これからはじまる決勝ドラフトで望むアーキタイプをドラフト出来るとしたら、どんなデッキを作りたいですか?
  • 白黒テンポ

  • あなたが今から地区予選に出場するとしたら、どんなスタンダードデッキをプレイしますか?
  • ウルザトロン


    斎藤 友晴/Tomoharu Saito

    斎藤 友晴

  • 年齢・ご職業・お住まいの地域を教えてください
  • 21歳 マジック 東京都新宿区

  • これまでのマジックにおける主な戦績をおしえてください
  • The Finals '99 優勝、プロツアーアトランタTop4(チームOne Spin)
    過去7回のグランプリで6回マネーフィニッシュ

  • 普段のマジックのプレイ頻度やプレイ環境について教えてください。また、マジックオンラインはプレイしていますか?
  • 試合前は毎日。普段はいろいろ。
    MOはやりません。

  • シールドデッキ戦で使用したデッキと成績について教えてください
  • 7-1でした。普通のデッキでしたが当たり運が良かった。

  • 今日の2回のドラフトでプレイしたデッキについて教えてださい
  • 1:黒緑
    2:赤緑

  • 2日間を通じて印象に残っているエピソードを教えてください
  • 今回は「勝ちたい」ではなく「勝たねばならない」決意でやっています。

  • これからはじまる決勝ドラフトで望むアーキタイプをドラフト出来るとしたら、どんなデッキを作りたいですか?
  • 赤緑か赤白のビート。

  • あなたが今から地区予選に出場するとしたら、どんなスタンダードデッキをプレイしますか?
  • The Finals 2004以来スタンダードをプレイしていないのでわかりません。


     
  • Sunday, May 15: 6:59 pm - 準々決勝: 大礒 正嗣 vs. 斉藤 友晴


  • 大礒 正嗣

    今大会。準々決勝最高のマッチアップは? と聞かれれば、このテーブルがその1つに数えられる事は間違いない。

    大礒と斉藤。同じ21歳だが、実に対象的なスタイルを持つ若武者たちだ。大礒が復学を機にMtgからやや遠ざかるを得なかったのに対し、斉藤はMtg漬けの毎日を送っていると言う。決勝でドラフトしたいデッキについても、大礒が白黒スピリット、斉藤が赤緑か黒緑のビートダウンと、この2人の発想は真逆を行っている。

    しかし、どこか流れている水脈が同じ感じがするのも確かだ。適切な表現は思いつかないが、「直情的なのか」「物静かなのか」の違いだけであって、目指すものは同じ「勝利」の2文字なのだから。

    デッキは、やはり思惑通りには行かないのがドラフトという事で、大礒が白緑、斉藤が青白となったが、話を聞くとどうも卓全体で白いカードの出が悪かった上に、中村と野中も白黒を選択しており、完全に同じパイの喰い合いとなってしまっている。

    それとは別に個人的な話になるが、筆者は昨日のシールドが終わった後、7-1したと言う斉藤にそれとなく話しかけたのだった。

    「フィーチャーエリアで待ってるよ」

    斉藤はその約束をかなりいい形で果たしてくれた。それに応えられるよう、彼らの熱戦を余すところ無くお届けしたい。これでもし斉藤が勝ったら、かなりベーブ・ルースっぽいエピソードが加えられそうだ。

    Game 1

    ダイスロールで斉藤が先攻。大礒がマット変更をアピールしてゲームスタートが宣言された。「あと3回!」と書かれた斉藤のライフシートに、その強い意志が感じられる。

    両者ともマリガン無し。大磯が《茨の子/Child of Thorns》《古の法の神/Kami of Ancient Law》とプレイするのに対し、斉藤は3ターン目の《ねじれた鏡映の神/Kami of Twisted Reflection》で応える。さらに大磯は早め早めの展開で《脂火玉/Tallowisp》を送り込み、若干手札の重い斉藤に対して軽快にデッキを回していく。

    アドバンテージ勝負でも優位に立っている大礒。攻め込んだ《古の法の神/Kami of Ancient Law》を《茨の子/Child of Thorns》《不退転の意志/Indomitable Will》のバックアップで斉藤のブロッカーをなぎ払っていく。

    風向きが変わったのは、斉藤が6マナを揃えて《沈黙の預見者、ウヨウ/Uyo, Silent Prophet》様がご降臨した瞬間だ。しかも手札には《未達の目/Eye of Nowhere》がある。根本的な解決策となる除去が無い大礒にとってガンとしか言いようの無いクリーチャーだが、フルタップのスキに《木霊の力/Kodama's Might》連繋の《祝福の息吹/Blessed Breath》で強引に道をこじ開け、《沈黙の預見者、ウヨウ/Uyo, Silent Prophet》には《脂火玉/Tallowisp》からの《手の檻/Cage of Hands》だ。

    今度は大礒のマナが枯渇し、斉藤は《未達の目/Eye of Nowhere》を《沈黙の預見者、ウヨウ/Uyo, Silent Prophet》に向けて発射。《手の檻/Cage of Hands》を外して再び殴れる体勢にはなったが、虎の子の《未達の目/Eye of Nowhere》は使ってしまっている。一方、攻め込んでいた大礒もマナをオープンにした状態でこのレジェンドに立ちはだかれては、攻めるに攻められない。数では圧倒しているだけに、何かきっかけとなる1枚が欲しいところだ。

    斉藤も、土地ばかり引き続けていたところから息を吹き返し、《未熟な呪士/Callow Jushi》《狐の刃遣い/Kitsune Blademaster》と展開。全ての手札を使い切った格好の斉藤を尻目に、大磯は《壌土に住むもの/Loam Dweller》《虚飾の道の神/Kami of the Painted Road》《鱗の大男/Scaled Hulk》《信心深い従者/Faithful Squire》と連打。

    《亡霊の牢獄/Ghostly Prison》で、とりあえずの一斉攻撃は封じて見せるが、大礒が《古の法の神/Kami of Ancient Law》に手を掛けるのは時間の問題だ。しかも、斉藤はまたしても「ドロー土地」が止まらない。その一方で攻めあぐねている大礒。時計の針は止まったかに見えた。

    しかし、唐突に時間は動き出す。

    テーブルジャッジに何やらルールを確認した大磯は、確信の表情でテーブルに戻ってくる。斉藤も、「何を確認したかわかったよ」と応えた返しに《風見の本殿/Honden of Seeing Winds》を引き込み、序盤の激しさが突如として蘇ってきた。

    大磯は、1つ大きく息をついてから《亡霊の牢獄/Ghostly Prison》を破壊し、一気に軍勢をレッドゾーンへ進軍させた。

    大礒が確認したルーリングは、おそらく《祝福の息吹/Blessed Breath》のコピーとターゲットに関してだと思われるが。これはラウンド終了時に本人たちに確認してみる事にする。

    大礒 1-0 斉藤

    斎藤 友晴

    Game 2

    土地と、《亡霊の牢獄/Ghostly Prison》《沈黙の預見者、ウヨウ/Uyo, Silent Prophet》《風見の本殿/Honden of Seeing Winds》というハンドでスタートした斉藤は、引き当てた《未達の目/Eye of Nowhere》で大礒のランドを返し、すぐに《亡霊の牢獄/Ghostly Prison》をプレイ。

    テンポで大きな優位を得た斉藤は、《ゆらめく玻璃凧/Shimmering Glasskite》《裂け尾の巫女/Split-Tail Miko》とじっくり展開し、大礒は遅れながらも第1ゲームと同じような展開で《脂火玉/Tallowisp》《古の法の神/Kami of Ancient Law》と呼び込み、《不退転の意志/Indomitable Will》を手に入れる。

    だが、斉藤のランドが4枚で止まってしまい、当初の計画通りとはいかない。大磯はもちろんさっきのゲームで《風見の本殿/Honden of Seeing Winds》を見ているわけで、安易に《亡霊の牢獄/Ghostly Prison》を《古の法の神/Kami of Ancient Law》で破壊しようとは動かない。

    結局、斉藤は《裂け尾の巫女/Split-Tail Miko》に《伍堂の大槌、天鎖/Tenza, Godo's Maul》を装備させてターンを返し、《聖鈴の僧団/Order of the Sacred Bell》を得た大磯はいよいよ《古の法の神/Kami of Ancient Law》に手を掛けた。

    時間が無い斉藤は、手早く《風見の本殿/Honden of Seeing Winds》《沈黙の預見者、ウヨウ/Uyo, Silent Prophet》へとアクセスしたかったが、《脂火玉/Tallowisp》で充分に手札を補充し、かつ圧縮した大磯は、斉藤にとって致命的となる《松族の狙撃手/Matsu-Tribe Sniper》をプレイする。

    斉藤にとっての悪夢は終わらない。《刻みを継ぐもの/Burr Grafter》でパンプアップしつつ、《古の法の神/Kami of Ancient Law》を再び手に入れた大磯。フライヤーを抱えたまま、止まない大礒の猛攻が斉藤に引導を渡したのだった。

    大礒 2-0 斉藤

    それでは、忘れてるかも知れない人も多いかと思うが、気を取り直してGame1のひとコマを思い出して、ルール確認のコーナー。

    大礒「あれは、《未熟な呪士/Callow Jushi》のカウンターが《沈黙の預見者、ウヨウ/Uyo, Silent Prophet》のコピーで乗るかどうかを確認したんです」

    斉藤「そうなの? 絶対《祝福の息吹/Blessed Breath》の対象の確認だと思ったのに」

    斉藤も筆者も残念。まずは回答から言うと、カウンターは乗らない。コピーするだけであって、プレイするわけではないからだ。ちなみに《祝福の息吹/Blessed Breath》の対象も、あの場面だと、呪文のコントローラーが変わるわけではないので大礒のクリーチャーしか対象に出来ないとの事。

    つまり、あの場面。
    斉藤はすでに観念しており。

    大磯は斉藤の考えとは全く別のベクトルで考えを巡らせていたという事だ。

    Final Results : Winner is 大礒 正嗣 !!!


     
  • Sunday, May 15: 7:11 pm - 準々決勝: 浅原 晃 vs. 高橋 純也


  • 高橋 純也、17歳

    遠く四国の地で行われるグランプリ準々決勝戦の試合が…神奈川勢の二人によるマッチアップとなった。今大会のベスト8プレイヤーの中で唯一プロツアー・ロンドンの参加権を持っていない高校生の高橋 純也と、レベル3プロプレイヤーでもある「The Finals連覇」の浅原 晃がまみえるのだ。

    二人の神奈川勢に共通していることは、戦前のTop 8 Profile向けのインタビューで語ってくれた通りのカラーコンビネーションでドラフトを終えられたことだ。そう、彼らは自身の得意とするデッキを組み上げてこの準々決勝へと臨むのである。

    17歳の高橋が狙っていたのはチープなマナカーブを徹底した「赤緑ラッシュ」アーキタイプなのだが、

    「実力以上のデッキが運良く出来上がりました。本当はスピリットクラフトっぽい(評価額の)安いカードをかきあつめるはずだったんですけど、《氷河の光線/Glacial Ray》3枚、《木霊の力/Kodama's Might》2枚といったかなり強力なカードがとれて、思っていたよりは重めの(しかしながら強力無比な)デッキに仕上がりました」

    とのこと。挑戦者という姿勢でこの戦いに向かう。

    対する浅原は「青黒忍者」アーキタイプを完成させ、淡々とドラフトを振返る。

    「単純に協調の恩恵をもらえていると思いますね。隣の大礒君から《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star》も流してもらえましたし、たとえば《静風の日暮/Higure, the Still Wind》だって3手目で取れました。《浮き夢のずべら/Floating-Dream Zubera》ひとつをとったって、通常では考えられないような順目でピックさせてもらっていますよ」

    さあ、老獪なるベテランの青黒デッキと若く猛々しい赤緑デッキの世紀の一戦を見届けようではないか。

    Game 1

    先手浅原は相手EOTの《霧中の到達/Reach Through Mists》から2ターン目に《鼠の殺し屋/Nezumi Cutthroat》召喚という100点満点スタート。そこへ高橋は《刃鬣の獏/Blademane Baku》を召喚し、浅原は《鼠の殺し屋》でアタック宣言。

    通しますけど?

    高橋の視線が浅原の視線と交錯する。ここで《深き刻の忍者/Ninja of the Deep Hours》は出るのか? 浅原も一呼吸おいて、ハンドをまじまじと眺める。

    じゃあ、2点で。

    たった一瞬の些細なアクションごとに、火花が散る。

    浅原は戦闘後に《無神経な詐欺師/Callous Deceiver》を展開し、高橋は《山伏の炎/Yamabushi's Flame》を《鼠の殺し屋/Nezumi Cutthroat》へ叩き込む。畏怖の次は飛行を、浅原はとにかく回避能力からのニンジャというストラテジー通りに《つぶやく神/Gibbering Kami》を空へ送り出す。高橋は《根走り/Rootrunner》を大地へ。

    先手浅原は5ターン目に《つぶやく神/Gibbering Kami》でのアタック宣言を神河謀叛でファーストピックしたアンコモンへと変身させる。その《喉笛切り/Throat Slitter》は《根走り/Rootrunner》を屠り、それならばと高橋は2/4《桜族の春呼び/Sakura-Tribe Springcaller》を召喚した。浅原は忍術で先ほど手札に戻した《つぶやく神》をもう一度上空へ。航空戦こそままならぬものの、高橋は逞しい《苔の神/Moss Kami》を呼び出し、これによって赤い《バク》には2つ目のカウンターが乗る。

    しかし、浅原はあざ笑うかのように、いや、しかしながら恐ろしいほど精確で冷静な手つきで《秘密の帷/Veil of Secrecy》をプレイした。《喉笛切り》は回避能力を得て、これと《つぶやく神》でのアタック宣言だ。空飛ぶ《神》は《霧刃の忍び/Mistblade Shinobi》へと変身し…なんと、《苔の神/Moss Kami》は首を刎ねられ、必死に気をためていた《獏》は手札へと追い返された。

    そして、続くターンにも浅原の陣営には蒼いドラゴンが大空へと解き放たれる。

    浅原 晃 1-0 高橋 純也

    Game 2

    気合を入れなおした高橋が《刃鬣の獏/Blademane Baku》を、いつもどおりの静かな手さばきで浅原は《血塗られた悪姥/Wicked Akuba》を召喚して第2ゲームは幕を開けた。そこへ高橋は「予選ラウンドにおいては《兜蛾/Kabuto Moth》を流してまでしてこれをピックした」という《狩猟の神/Kami of the Hunt》を戦線に追加し、浅原は《血塗られた悪姥》でタップアウトの高橋へとアタック宣言。スルーされたこのクリーチャーが《霧刃の忍び/Mistblade Shinobi》となって《狩猟の神/Kami of the Hunt》はバウンスされた。

    浅原は《血塗られた悪姥/Wicked Akuba》を再召喚し、高橋も《獏》でのアタック後に《狩猟の神/Kami of the Hunt》を再召喚し、さりげなく滞空防御として《罠根の神/Traproot Kami》をプレイマットに置いた。

    浅原はここで《竹沼の嫌われ者/Takenuma Bleeder》を呼んでターンエンドを宣言し、高橋は《泥穿ち/Soilshaper》と《凍らし/Frostling》を召喚。果敢なアタック宣言を行った。3/3となった《森/Forest》、5個のカウンターが乗った《刃鬣の獏/Blademane Baku》、4/4となった《狩猟の神/Kami of the Hunt》をレッドゾーンへ。リミテッドデッキの5ターン目とは思えぬほどの大きなアクションだ。

    白熱の攻防戦

    浅原は熟考を重ね、3/3《竹沼の嫌われ者》と2/2《血塗られた悪姥》の2体で4/4となっている《狩猟の神》を、1/1の《忍び》で《刃鬣の獏》をブロックした。《凍らし/Frostling》の1点「自爆」のサポートを高橋が使用して、この攻防に関与したすべてのクリーチャーが墓地へと送られた。3/3《森》だけが浅原の本体をえぐる。

    ここで浅原は《空民の鏡守り/Soratami Mirror-Guard》を召喚し、高橋は《別れ枝絡み/Forked-Branch Garami》を呼んで、《泥穿ち/Soilshaper》によってクリーチャー化された3/3《森》でアタック。しかし、3/3クリーチャーの発生源である《泥穿ち》は3/1飛行クリーチャーのアタックから登場した《喉笛切り/Throat Slitter》によって墓地へ。

    高橋は《別れ枝絡み/Forked-Branch Garami》で4点アタック。浅原残り11点。戦闘後に《花鬣の獏/Petalmane Baku》を呼び出した。ここで浅原は《空民の鏡守り/Soratami Mirror-Guard》再召喚する。

    高橋は《別れ枝絡み/Forked-Branch Garami》でアタックして浅原の残りライフを7点へ。さらに、ようやっと引き当てた《氷河の光線/Glacial Ray》によって《空民の鏡守り/Soratami Mirror-Guard》を焼き殺した。

    浅原は《浮き夢のずべら/Floating-Dream Zubera》と《つぶやく神/Gibbering Kami》を召喚。高橋の《別れ枝絡み》を《ずべら》は当然ブロックし、浅原は続いて《残酷な詐欺師/Cruel Deceiver》を呼び出した。

    デッキにかなりの量が眠っているはずの有効カードをなかなか引いてこれない高橋は愚直に4/4《別れ枝絡み》でのアタックを繰り返すのみで、これは《詐欺師》と《つぶやく神》とのダブルブロックと相打ちになる。…2枚はいっているはずの《木霊の力/Kodama's Might》は何処だろう?

    ここでの転生で浅原は《浮き夢のずべら/Floating-Dream Zubera》を手札に戻し、高橋は《狩猟の神/Kami of the Hunt》と《凍らし/Frostling》を回収した。戦闘後に《狩猟の神》だけを早速召喚してターンを返す。

    浅原は青《ずべら》と《小走りの死神/Scuttling Death》を召喚してタップアウトし、高橋はスピリットである《凍らし/Frostling》を呼んで3/3となった《狩猟の神/Kami of the Hunt》でアタックするが、浅原は落ち着いてこれを《小走りの死神/Scuttling Death》でブロック。ダメージをスタックしてから浅原の《死神》は《凍らし》へと-1/-1修正を与える。残念ながら、高橋の《モグの狂信者/Mogg Fanatic》は自爆テロのターゲットを見出せずに墓地へと送られる。さらに、浅原は《死神》の転生で《つぶやく神/Gibbering Kami》を回収。

    ここで浅原がその《つぶやく神/Gibbering Kami》を呼び、高橋は《根走り/Rootrunner》召喚のみでターンを返す。すると、とうとう7マナまで到達した浅原が居合いの構えから刀を鞘走らせた。

    浅原 晃、26歳

    《消耗の渦/Consuming Vortex》に連携《秘密の帷/Veil of Secrecy》。必殺のニンジャに絶対的な回避能力を与え、敵陣のクリーチャーを押し戻した。これによってライフは7対15となり、《根走り/Rootrunner》が破壊された。ここで高橋は《泥穿ち/Soilshaper》を転生から拾うが、浅原は地上に《浮き夢のずべら/Floating-Dream Zubera》を展開し、Blue ManaBlue ManaBlack Manaとマナを残してターンを返した。

    《泥穿ち/Soilshaper》、《花鬣の獏/Petalmane Baku》と出して高橋は3/3となった《山/Mountain》でアタックを宣言するが、当然《浮き夢のずべら/Floating-Dream Zubera》が淡々とブロックし、一枚の新しいカードを浅原へと届けた。

    続くターンに浅原は《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star》を送り込み、このアタックが成就して高橋の残りライフが10点。さらに《無神経な詐欺師/Callous Deceiver》を出してから浅原は《秘密の帷/Veil of Secrecy》で防御不可能な…さらなる5点の一撃。残り5点。

    そして、浅原は《貪る強欲/Devouring Greed》をプレイし…若き挑戦者の脳裏に苦い思い出を刻み込ませた。

    Final Results:浅原 晃 2-0 高橋 純也


     
  • Sunday, May 15: 7:31 pm - 準々決勝: 藤田 修 vs. 遠近 孝幸


  • 藤田 修

    まずはベスト 8 おめでとう。ここからはグランプリチャンプへの道を駆け上がるのみだ。

    過去、大きなプレミアイベントでは何度も決勝で苦渋を呑んできた藤田。99 年 APAC から始まり、 03 年日本選手権、そしてプロツアーアムステルダムと大きな舞台でひたすら準優勝。

    対する遠近は先週行われたプロツアー・フィラデルフィアに参加し、 26 位の成績を残している。彼は今回のイベントを Bye 1 で参加している神奈川県のプレイヤーだ。

    藤田の初優勝を賭けた想いと、遠近の初挑戦とをお送りしよう。

    Game 1

    先手は遠近。《燃えさし拳のずべら/Ember-Fist Zubera》、《粗暴な詐欺師/Brutal Deceiver》と並べ、 4 ターン目に 4 枚目の土地をセットできなかったものの、《遥か忘れられし御幣/Long-Forgotten Gohei》を出して、攻撃を開始。

    《狡猾な山賊/Cunning Bandit》を出してブロッカーとしたい気持ちであった藤田だが、それも無理。5 ターン目に《かまどの神/Hearth Kami》を出し、ブロックしつつ《遥か忘れられし御幣》をなんとか破壊。
     
    ひとまずは危険要素を 1 枚取り除いた藤田だが、そんな事よりも引いている土地が山 5 枚で手札が緑 1 色。全くゲームにならない。挙句、引いてくるクリーチャーは《真火の門番/Shinka Gatekeeper》とやりきれない。

    《抑えきれない怒り/Uncontrollable Anger》で巨大化される遠近のクリーチャーがどうにもならず、藤田はあっさり 1 本目を落とす。

    藤田 0 - 1 遠近

    Game 2

    先手は藤田に移り、今回はしっかり《森》を引いた事で普通にゲームをプレイできているようだ。2 ターン目の《大蛇の野伏/Orochi Ranger》に始まり、クリーチャーを順調に伸ばしていく藤田。対する遠近もクリーチャーを展開し、たがいに相打ちを続けてどんどん墓地へと送られていく。
     
    こうしている間はまだいいのだが、純粋な殴り合いの合間に突き刺さるスペルによって、状況がひっくり返るのがリミテッド戦の常。

    遠近 孝幸

    遠近はリーチャーが尽きたかと思えば、次に引いてきていたのは除去スペルのようで、藤田の放つ《苔の神/Moss Kami》や《山伏の長、熊野/Kumano, Master Yamabushi》は、的確に《引き込み/Pull Under》や《岩石流/Torrent of Stone》にてご退場。その上で《霜の大峨/Frost Ogre》を放ってターンエンドだ。

    パワー 5 と強烈な攻撃力だが、タフネスが 3 であるのがいかにも赤らしいカードで、藤田はこの《霜の大峨》をまた相打ちに持ち込もうとした所へ、 1 本目と同じく放たれる《抑えきれない怒り》が決定打となる。

    赤緑の配色である藤田のデッキには7/5 となってしまったファッティを確実に除去するカードが存在しない。しかも、これは消耗戦の最中のことであった。

    Final Results : 藤田 0 - 2 遠近


     
  • Sunday, May 15: 7:56 pm - 準々決勝: 野中 健太郎 vs. 中村 修平


  • 野中 健太郎

    地元四国出身で、今は大阪で研鑽をつむ野中 健太郎。今シーズンはプロツアー・コロンバスにも出場。グランプリ会場などでもよく姿を見かけるので、ようやく努力実ってのベスト8進出だろう。シールドと第1ドラフトで《梅澤の十手/Umezawa's Jitte》を引き当てる勢いは本物と言え、もしかしたらレベル5の中村修平を下すという大物食いが見られるかもしれない。

    それに対する"レベル5"中村修平はスキンゲーム方式で行われたプロツアー・フィラデルフィア予選最終戦の9人に残りながら、津村健志に下されて9位と涙を飲んだ。その痛い記憶を乗り越えて、初日全勝からドラフトで多少もたついたものの、無事レベル5の実力をみせつけてのベスト8入り。

    同色のデッキコンビネーションとなった2人の対決。比較的野中の方がまとまっていると思われるので、その辺のデッキ差を中村がどう乗り越えるかも注目したい。

    Game 1

    先に土地の止まった野中がやりづらそうだが、強力なアタッカーである《大峨の匪賊/Ogre Marauder》を展開。残るハンドも《手の檻/Cage of Hands》《兜蛾/Kabuto Moth》《食い込む疫病/Swallowing Plague》と充実しており、土地3枚でも十分戦える内容となっている。

    予想通り、野中は土地3枚ながら中村の《恩義ある侍/Indebted Samurai》に《手の檻/Cage of Hands》をつけ、《兜蛾/Kabuto Moth》を出してターンエンド。

    だが、そんな展開にも全く問題としないのが中村。《崩老卑の囁き/Horobi's Whisper》に《祝福の息吹/Blessed Breath》を連繋させて野中の主要パーツとも言える2枚の白いカードを除去することに成功する。

    それでも野中は後々の脅威となる《希望の盗人/Thief of Hope》を《食い込む疫病/Swallowing Plague》で殺し、《大峨の匪賊/Ogre Marauder》がダメージをしっかり与え続けて8ターン目にはすでに中村のライフ6。

    中村が《大牙の衆の忍び/Okiba-Gang Shinobi》で攻めてきた隙を狙ってさらに5点ダメージを与え、ハンドはないものの中村のライフは既に1。

    中村が《不快な群れ/Sickening Shoal》を持っているブラフをかけ、それにかかってしまっている野中。そのため若干時間はかかったが、《欠け月の神/Kami of the Waning Moon》を出している野中が、最後に《狂気の神/Kami of Lunacy》を引いてゲームセット。

    野中 1 – 0 中村

    Game 2

    2本目は黒白から赤黒に変えてきた中村に対して、野中が先ほどのキークリーチャーとも言える《大峨の匪賊/Ogre Marauder》を温存。まずは《鼠の浪人/Nezumi Ronin》同士の相打ちから開始された。

    その後中村の《希望の盗人/Thief of Hope》を《生真面目な君、昌子/Masako the Humorless》で相打ち。中村が《鼠の殺し屋/Nezumi Cutthroat》を出せば、野中が《手の檻/Cage of Hands》を装着とお互い一歩も譲らない展開が続く。

    だがキーポイントは突然訪れた。中村の場にブロッカーがいないとみるや《狐の癒し手/Kitsune Healer》、《大峨の匪賊/Ogre Marauder》と展開してアタックをかけた野中に対して中村が《怒りの狂乱/Blind with Anger》でその2体を同時に殺す。

    邪魔な《手の檻/Cage of Hands》に対しては、野中が白マナを使い切った瞬間に《祝福の息吹/Blessed Breath》に《魂無き蘇生/Soulless Revival》を連繋して驚異のアドバンテージを中村が稼ぎ始める。野中が手札の枚数を聞くと、いつの間にやら野中の手札1に対して中村の6。

    ……そうなってしまうとドローまで野中を裏切っていってしまい土地を引き続けて、中村圧倒的勝利で2本目を取り返す。

    野中 1 – 1 中村

    中村 修平

    Game 3

    さきほどのブン回りで若干運気が落ちてしまったのか、中村が1マリガン。それに対して野中も土地4のクリーチャー1という手札だったので、ちょっと悩むが流石にマリガンできずに普通に開始する。

    しかし、展開という意味でいえば中村の方がかなり悪く、唯一出せた《鼠の浪人/Nezumi Ronin》も《手の檻/Cage of Hands》が付けられて、《竹沼の嫌われ者/Takenuma Bleeder》と《狐の裂け目歩き/Kitsune Riftwalker》のサンドバックになってしまい、中村3本目は何もできないまま敗退となる。

    Final Results : 野中 健太郎 Win


     
  • Sunday, May 15: 8:18 pm - 準決勝: 浅原 晃 vs. 遠近 孝幸


  • 遠近 孝幸

    大学の先輩後輩となる2人にマジックの何かいい話はないかときくと、「いやな思い出ならありますね」と意味深な答えが返ってきた。

    ダントツの1番人気であった高橋純也の《氷河の光線/Glacial Ray》3枚搭載赤緑をなんと2-0で破った浅原 晃と、こちらも下馬評では不利とされていた藤田 修戦を2-0で下してきた遠近 孝幸。

    地力では数々の修羅場を乗り越えてきた浅原だろうが、遠近がまたも大物食いで決勝に進めるのだろうか? 注目したい。

    Game 1

    遠近の黒赤ビートダウンに対して、《島》5枚に《霧刃の忍び/Mistblade Shinobi》《空民の鏡守り/Soratami Mirror-Guard》というハンドをキープした浅原。

    序盤から攻められるのは予想通りだとしても、14枚引いた時点でまさかスペルが4枚だけなんて状態になるとは思っても見なかっただろう。

    そんなことに浅原がなっているとは露知らず、《凍らし/Frostling》、《悪忌の雪崩使い/Akki Avalanchers》と攻めまくる遠近。

    浅原の方も《霧刃の忍び/Mistblade Shinobi》+《空民の鏡守り/Soratami Mirror-Guard》のコンボ状態にあったのだが、遠近の《岩石流/Torrent of Stone》によってあっさりと崩されて、遠近が《遥か忘れられし御幣/Long-Forgotten Gohei》を設置すると…あとは浅原が土地をひたすら引いて、遠近が《溶岩の魂/Soul of Magma》を筆頭とした一回り巨大になったスピリット軍団で圧勝した。

    浅原 0 – 1遠近

    Game 2

    浅原の初手は遠近のビートダウン軍団をきっちり止められる《浮き夢のずべら/Floating-Dream Zubera》2体に決め手の《静風の日暮/Higure, the Still Wind》とかなりいい初手だといえるだろう。

    それに対する遠近といえばダブルマリガンスタートで、かろうじて2ターン目に《残酷な詐欺師/Cruel Deceiver》を出せただけで、あとは浅原のクリーチャーを除去するだけで手札が尽きた。

    そして最後は《静風の日暮/Higure, the Still Wind》を筆頭とした忍者軍団の前に何も出来ず2本目を落とす。

    浅原 1 – 1遠近

    Game 3

    ノータイムでキープを宣言した遠近と、土地が《島》1枚だけだが《浮き夢のずべら/Floating-Dream Zubera》などの軽いクリーチャーが揃っているために悩みながらもキープした浅原となった。

    1ターンだけ2枚で土地が止まって周囲をざわつかせた浅原だったが、《霧中の到達/Reach Through Mists》まで使い…なんとか3枚目の土地を引いて完全な事故にはいたらなかった。

    だが、遠近の方がこれに付き合ってくれるわけではなく、《かまどの神/Hearth Kami》、《粗暴な詐欺師/Brutal Deceiver》に《燃えさし拳のずべら/Ember-Fist Zubera》と展開して浅原を攻め立てる。だが後続が続かない。……どうやら遠近の方は土地引きすぎ事故のようだ。

    遠近 孝幸

    遠近が攻めあぐねている間に、浅原は土地を調達することに成功。ブロックすればするほど浅原の手札が増えていく魔の《浮き夢のずべら/Floating-Dream Zubera》転生システムが構築されていった。

    遠近の虎の子ともいえる《呪われた浪人/Cursed Ronin》を《残酷な詐欺師/Cruel Deceiver》の効果で相打ちさせると、マナが《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star》の出せる6マナまで到達。

    こうなると序盤に土地を引いていない、イコール、手札は呪文だらけという方式が完全になりたっている浅原に負ける要素はない。フルアタックからの《貪る強欲/Devouring Greed》で一気に決めたのだった。

    Final Results : 浅原晃 Win


     
  • Sunday, May 15: 8:33 pm - 準決勝: 大礒 正嗣 vs. 野中 健太郎


  • 大礒 正嗣

    いまだ日本のプレミアイベントで優勝経験のない大礒。大礒のプレイヤーとしての質は非常に高く、世界レベルで考えても大礒が日本のタイトルを持っていない事について、驚かれる事もしばしば。そんな彼は、久々にこの決勝ラウンドへ帰ってきたのだ。優勝の二文字を手に入れる為に。

    野中 健太郎。四国出身の野中は、現在学業の為に大阪に住んでいるのだが、今日のイベントの事を思えば、やはり地元の理というものがあったのだろうか。グランプリで初のベスト 8 進出を果たした。輝かしい第一歩を、グランプリ松山をの優勝というかたちで飾りたいのも本音であろう。

    大礒は白緑の各色いいとこ取りデッキで、野中は白黒のスピリットデッキ。
    決勝戦の席を手に入れるのはどちらか。

    Game 1

    ダイスロールで大礒が先手を選択し、はじまる 1 本目。

    《松族のおとり/Matsu-Tribe Decoy》、《聖鐘の僧団/Order of the Sacred Bell》と並べて攻撃を開始すれば、対する野中は《竹沼の嫌われ者/Takenuma Bleeder》、《兜蛾/Kabuto Moth》とじっくり場を固める。

    野中は《三つの悲劇/Three Tragedies》を手札 4 枚の大礒に放ち、ディスカードは《不退転の意志/Indomitable Will》、《杉の力/Strength of Cedars》、《祝福の息吹/Blessed Breath》と十分な収穫。相当強力なカードを捨てているが、残り 1 枚のカードを次ターン大礒は展開する。

    ボードコントロールカード、《無垢の神/Innocence Kami》である。

    だがそこは黒いデッキである野中。即時《霊魂の奪取/Rend Spirit》で除去。このまま流れは野中に流れたかと思えば、大礒はライブラリの上からどんどんスペルを引いてくる。

    《蛾乗りの侍/Mothrider Samurai》の 2 連打に続き、目の上のたんこぶであった野中の《兜蛾》への対策カードとして《松族の狙撃手/Matsu-Tribe Sniper》を配備し、反撃体制は万端。

    野中の《生真面目な君、昌子/Masako the Humorless》を絡めたトリックプレイも、大礒が引き当てていた《木霊の力/Kodama's Might》で退けてしまい、そのまま《蛾乗りの侍》が野中のライフを削りきった。

    大礒 1 - 0 野中

    Game 2

    2 本目。互いに土地事故もなくカードが展開されていくが、大礒の場には《兜蛾/Kabuto Moth》と《蛾乗りの侍/Mothrider Samurai》とおり、いささか場の展開は大礒有利に見える。

    《狐の癒し手/Kitsune Healer》や《裂け目の突破/Through the Breach》などの力で耐えているも、常に劣勢を強いられる。

    そんな状況へ大礒は《蛾乗りの侍》を追加し、ダメージクロックを強める。野中もただ殴られているわけではなく、《欠け月の神/Kami of the Waning Moon》を出し、《破れ障子の神/Kami of Tattered Shoji》や《兜蛾》などの後続を出しつつ、《大峨の匪賊/Ogre Marauder》に畏怖をつけて、こちらも 3 点ずつたたき出していく。

    互いにとどめカードとして、《杉の力》や《貪る強欲/Devouring Greed》などのカードが潜んでおり、そこに到達するまでの過程を慎重に進めている。

    だが、やはり場は大礒有利で、 2 枚の《蛾乗りの侍》と《兜蛾》が強烈。

    野中 健太郎

    野中のライフが 10 を割り、スピリットの数も十分な数字になった所でターンエンドを宣言し、大礒のターン。

    2 体の《蛾乗りの侍》で攻撃を開始。ここでこの攻撃を通して大礒が《杉の力》を持っていれば大礒の勝利、もしも何事もなく野中にターンが戻れば《貪る強欲》キャストで野中の勝利だ。

    野中は覚悟を決めてスルーと宣言。そして、大礒の手札から《杉の力》が零れ落ち、決勝戦の席を手に入れるのは大礒となった。

    Final Results : 大礒 2 - 0 野中


     
  • Sunday, May 15: 8:58 pm - 決勝戦: 浅原 晃 vs. 大礒 正嗣


  • 大礒 正嗣

    浅原が勝つのは、やはりリミテッドのGPなのだろうか。そう思わずにはいられない。

    準々決勝では《氷河の光線/Glacial Ray》3枚を搭載し、「卓最強」と呼び声高かった圧倒的な赤緑をドラフトした高橋を、準決勝では同郷の遠近と「先輩後輩対決」を制し、順調に決勝まで勝ち進んできた。深く深く思考を積み重ね、それにしっかりと付いてくるドロー。そのパフォーマンスは圧倒的だ。

    大礒も負けてはいない。

    卓で白を分け合ったやや厳しいデッキながらも、粘りと、こちらも正確なプレイングでデッキを操って見せ、準々決勝では同じ21歳の斉藤を見事な展開で破り、準決勝でも野中が一瞬見せたスキを逃さず、ここまで勝ち上がってきた。

    両者が準々決勝を勝ち上がった時から、予感はあった。
    決勝を戦うメンバーが誰と誰なのかを。

    この両者の戦い。「神河物語」というタイトルそのままに、その結果は、まさに神のみぞ知る、と言った風情が漂う。しかしながら、どっちが勝っても納得のエンディングは保障されている。

    どちらも勝てばGP2勝目となる、ビッグネーム同士の栄冠を賭けた戦い。
    神風を吹かせるのは、浅原か、大礒か。

    さぁ、2人の「マジック」に酔いしれようか。

    Game 1

    ダイスロールで先攻は大礒。《狐の易者/Kitsune Diviner》《信心深い従者/Faithful Squire》と展開する大磯に対し、浅原も遅れて《竹沼の嫌われ者/Takenuma Bleeder》をプレイ。若干土地が多めだった浅原のハンドだったが、ターンを重ねるにつれて濃厚なものに変わっていく。

    《空民の精神浚い/Soratami Mindsweeper》からの《喉笛切り/Throat Slitter》で《無垢の神/Innocence Kami》を排除し、濃厚なハンドから浅原が追加戦力を呼び込めば、大磯は投了を以って応えるしか無かった。

    浅原 1-0 大礒

    Game 2

    電光石火の第1ゲームに、どよめきは起こらない。あまりに素早く、あまりに圧倒的な出来事に、皆、言葉を失っているのだ。

    大礒の《古の法の神/Kami of Ancient Law》からゲームは始まった。浅原は土地が2枚しかないハンドだったが、最初のドローで《霧中の到達/Reach Through Mists》を引き当ててプレイ出来、マナを伸ばす事に成功する。

    以降、何も展開出来ない大磯に対し、浅原から飛び出たのは《静風の日暮/Higure, the Still Wind》! 《喉笛切り/Throat Slitter》を手札に加え、大礒は《松族のおとり/Matsu-Tribe Decoy》をプレイするのみ。

    何とか《不退転の意志/Indomitable Will》を使ったコンバットトリックで《静風の日暮/Higure, the Still Wind》を休ませる事に成功した大礒だが、浅原は2枚の《浮き夢のずべら/Floating-Dream Zubera》と《血塗られた悪姥/Wicked Akuba》で攻め手を緩めない。数で上回れば、すぐにでも《喉笛切り/Throat Slitter》が忍び寄ってくる。実際、間髪入れず《松族のおとり/Matsu-Tribe Decoy》はその喉笛を掻っ切られる寸前まで行った。

    しかし、それを《祝福の息吹/Blessed Breath》で回避し、何とか抑止力を場に留めた大礒だったが、必死の抵抗空しく、《静風の日暮/Higure, the Still Wind》から《霧刃の忍び/Mistblade Shinobi》まで呼び出され《手の檻/Cage of Hands》を《秘密の帷/Veil of Secrecy》で弾き返されてしまう。

    浅原 2-0 大礒

    グランプリ二冠目、浅原 晃!

    最後まで、完璧なドロー。
    スキの無いプレイング。

    浅原晃。まさに完勝だ! 

    このGP松山というフィールドは、浅原晃というプレイヤーの強さを見せ付けるに過ぎない「発表会」だったと記憶しても、決して言い過ぎではない。

    完璧なるプレイングにこそ、神は宿る。

    「神河」と名付けられたこのセットを、その舞台となる日本で、まさに神が宿ったかのような完璧さで制した浅原。

    そう、これはまさしく「浅原物語」

    そして、物語は続いていく。
    ロンドンへ、新潟へ、どこまでも……どこまでもだ!
    また1つ、大きな記録と記憶を残して、次のステージへと進んでいくのだ!

    Congratulations to Akira Asahara, Grandprix - Matsuyama Champion!

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