Kazuki Claims Yokohama!

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グランプリ横浜チャンピオンは加藤 一貴(愛知)

ちょうど一年前にミラディンのデビュー戦であったグランプリ静岡を制した加藤は、神河物語の投入された最初のグランプリでも王座を掴み取った。今大会は4人のグランプリチャンピオンが決勝ラウンドに勝ちあがっていることでも注目を集めた。そんな中で、加藤は準々決勝で「クアラルンプール王者」森田 雅彦を、準決勝では「グランプリ京都王者」浅原 晃を打ち破っており、その上で決勝で埼玉の鍛冶 友浩をくだして栄冠を掴み取っている。

今や、加藤は大型エキスパンションの開幕イベントでは国内で敵なし、という存在にのしあがったと言っていいだろう。おめでとう、加藤 一貴



Quarterfinals   Semifinals   Finals   Champion
1 浅原 晃   浅原 晃, 2-1        
8 石川 錬   加藤 一貴, 2-1
       
4 森田 雅彦   加藤 一貴, 2-1   加藤 一貴, 2-0
5 加藤 一貴    
       
2 鍛冶 友浩   鍛冶 友浩, 2-0
7 橋本 玲   鍛冶 友浩, 2-1
       
3 秋山 貴志   秋山 貴志, 2-0
6 大塚 高太郎    


観戦記事 ベスト8最終順位
 1.  加藤 一貴 $2,400
 2.  鍛冶 友浩 $1,700
 3.  浅原 晃 $1,200
 4.  浅原 晃 $1,000
 5.  森田 雅彦 $800
 6.  橋本 玲 $800
 7.  秋山 貴志 $800
 8.  石川 錬 $800
組合 結果 順位
最終
14
13
12
11
10
9
14
13
12
11
10
9
14
13
12
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8
7
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4
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1
BLOG

 
  • Saturday, November 20: 10:30 am - 日曜日に日本限定のプロモカード先行配布!
    by Keita Mori


  • 明日、11月21日(日曜日)に開催されるサイドイベントの目玉の一つが「横浜ジュニア・オープン」だ。これは中学生以下だけを対象としたトーナメントで、若い世代のために用意された登竜門だ。このイベントの大きな魅力はその賞品にもあり、今大会では参加者全員に《炎歩スリス/Slith Firewalker》のプレミアカードが、優勝者には《凄腕の暗殺者/Royal Assassin》のプレミアカードがプレゼントされるのだ。今回の2枚のカードはテキストボックスに「Japan Junior Tournament」と刻印された最新のバージョンであり、これは2005年度用の新作プロモの先行配布ということになるようだ。

    ところで、2005年用のプロモということは、次の基本セットである第9版に採録される可能性が非常に高い2枚といえるのではないだろうか。もっとも、これはあくまで推論の域を出ない。しかし、新作プロモーション・カードに収録されるカードというのは「次の基本セットに収録されるであろうカード」というのがどうやら定番である。それはそうだろう。せっかくもらったカードは長くプレイできたほうが良いに決まっているし、配るがわだって「喜ばれるプレゼント」にしたいだろうから。

    さて、ここではそんな《炎歩スリス/Slith Firewalker》がもれなく貰えてしまう横浜オープンについてもう一度おさらいしておこう。

    フォーマット:スタンダード
    対戦方法:スイス式(ラウンド数は参加人数により異なります)
    エントリー料:500円
    エントリー方法:当日受付
    受付時間:11月21日(日)9:00~9:30
    ※各イベントとも参加に定員は設けませんが、会場の混雑状況により参加をお断りする場合あり。あらかじめご了承のほどを。

    ちなみに、プレミアカードだけでなく、優勝者に神河物語のブースターが36パック、順優勝者に18パック、3位から8位までのプレイヤーにも6パックが与えられる。

    きたれ、若人!


     
  • Saturday, November 20: 11:13 am - 和製レベル4ジャッジ誕生 !
    by Keita Mori
  • 今ではプロツアーでのトップ8も当たり前。そんな風に日本の競技マジックコミュニティが少しずつ成熟してきた中、とうとう裏方組であるジャッジの中からも「壁を突き破る」男があらわれた。プレイヤーサイドの開拓者、プロツアーベスト8に初進出を果たしたのが大阪の藤田 剛史であったように、奇しくも、アジア圏で初となるレベル4ジャッジに認定されたのも大阪の功労者だった。菅谷 晶雄氏だ。

    菅谷氏はレベル3ジャッジとして国内外を問わず数多くのプロツアー級イベントで活躍している人物で、個人的には海外のイベントに参加するスタッフとして(ほぼ)同期の仲間でもある。帰国子女であることによる語学能力という大きな武器をもつ彼は、日本人でありながらDCIのポリシーを検討する諮問委員会にも名を連ねるようなキーパーソンで、しかしながらデスクワーク一辺倒ではなく、最前線であるフィールドワークでも手腕を評価されている人材だ。そのキャリアを高く評価された菅谷氏は、今年9月の世界選手権サンフランシスコ大会で昇格を打診され、いくつかのテストと手続きを経て、とうとうアジア初のレベル4ジャッジに就任した。そう、今や彼はアジアのジャッジの顔となったのである。

    「アジア初のレベル就任おめでとうございます、これって大変なことですよね」

    菅谷「いやいや。権限だとか義務だとか、いままでと何も変わらんですよ」

    「しかし、レベル4というと、かつてだとトーナメント・マネージャーだったジェフ・ドネ以外では最高位でしたよね。プロツアー・ヘッドジャッジ級と言いますか」

    菅谷「ははは、そこですよ(微笑)。これまでプロツアーでヘッド・ジャッジを任せることが出来たような人材、コリン・ジャクソンとかですね、彼らを一律でレベル5に昇格しようと言うことになったのですね。」

    「では、あれですか。その流れでレベル3の功労者たちを昇格したという感じなのでしょうか?」

    菅谷「そうですね。なんといいますか、縦にピラミッドを大きくしたというか。あと、レべル3はドメスティックなジャッジ、レベル4はインターナショナルなジャッジという明確な線引きをしたかったようですね」

    「たしかに、今では日本国内だけでレベル3もだいぶ増えましたよね。そう言えば、かつては英語でのジャッジテストがかなり厳しかったようでしたが、いまでは少し緩和されたという感じですしね。印象として」

    菅谷「そうですね。各地域で頑張っているジャッジの頂点と言うか、主要なメンバーがレベル3に。その上で、国際舞台でも即戦力で通用するジャッジをレベル4に、と分けて、それならば、プロツアーでヘッド・ジャッジを任せられるような人材はレベル5に認定しよう、という流れがあるような感じでしたよ。まあ、組織体系を整理しただけでしょう」

    「ともあれ、同期の桜といいますか、同じ頃からご一緒に海外をまわらせていただいてる菅谷さんが世界でも認められたということで、嬉しく思っています。おめでとうございます。これからも、日本のプレイヤーたちのために頑張ってくださいね」

    菅谷「ありがとう(微笑) でも、なにが変わったというわけでもないんだけれどね」


     
  • Saturday, November 20: 2:22 pm - 三色目の功罪
    by Keita Mori
  • 「日本初のプロツアーチャンピオン」大阪の黒田 正城がご当地神奈川の強豪である浅原 晃と第4回戦にマッチアップされ、そのフューチャーマッチは実に多くの観衆を集める試合となった。二人にとっては3ラウンドの不戦勝(Awarded Bye)あけ早々から災難だったかもしれないが、我々ギャラリーからしてみたら素晴らしい(そして、豪華な)対戦カードだった。マッチの詳細は Match Coverageのほうに一任するとして、ここではちょっと0-2で敗北してしまった黒田のシールドデッキ構築について取り上げてみたい。タイトルにあるように、ここでとりあげるのは「3色目」というテーマだ。

    まずは、実際に黒田の構築デッキの概要について触れておこう。彼が提出したデッキリストは赤黒の除去スペルとスピリット軍団を中核として構成された陣容に、タッチしたのが3枚の緑色のカード、という内容。マナベースが「赤マナ7枚+黒マナ7枚+緑マナ3枚」という具合だ。

    基本的な赤黒のパーツは(特に除去魔法が充実していて)優秀なのだが、それでも2色に固執すると単体のカードパワーでは頼りないカードをいくつか投入するしかなくなってしまう、というのが黒田に決断をにぶらせた理由だった。ありがちである。

    ここで実際に黒田がつきつけられた選択肢をご紹介しよう。

    緑のタッチしたカード 二色(赤黒)の場合入ったカード
    《杉の力/Strength of Cedars》 《灰色肌のずべら/Ashen-Skin Zubera》
    《木霊の力/Kodama's Might》 《灰色肌のずべら/Ashen-Skin Zubera》
    《苔の神/Moss Kami》 《貪る憤怒/Devouring Rage》

    「もちろん、Draftならそら赤黒のままやで(笑)」と黒田は前置きしながら、決断にいたった理由、思考の過程を語ってくれた。要約してみよう。

    まず、ドラフトに比べてシールドデッキはゲーム速度が遅い。それはそうだ、与えられるカードプールは単純に運ゲーだから、優良な低マナ域を意識的に集めることは難しい。ただ、その反面、5枚のレアを与えられるシールドでは、いわゆるゴッドカードを手にするプレイヤーが頻出しがちである。つまり、理不尽なほどの圧殺劇も起こりやすい。ちなみに、通常のドラフトで各自が「初手級レア」とめぐりあえる可能性は3回だけだから、実際に大きな違いだ。

    以上の前提を踏まえて、黒田のデッキは「戦えるレベルだが、そこかしこに出現しているらしいゴッドデッキにはまったく及ばない」出来と自己診断されたのだった。そして、そもそもが赤黒という優良なビートダウンカラーであるだけに、《巨大化/Giant Growth》系の「押し切るスペルのサポートによって勝ち筋を明確にしたい」と、黒田は緑のスペルを加えることにした。実際、最低でも+5/+5という暴力的なパフォーマンスを見せてくれる《杉の力/Strength of Cedars》は環境屈指のフィニッシュカードとして注目されているわけで、《木霊の力/Kodama's Might》もコンバットトリックにおける切り札として素晴らしい力を秘めている。明らかにこれによる「勝ち筋」は想定できる。基盤となった赤黒のパーツが優秀なこともあり、基本的にゲーム展開で遅れをとることはないはずだ。

    …しかし、黒田は3Byeの間に友人たちと繰り返したプレイテストによって、「この選択は誤りだった」という結論に至った。

    対戦相手が2ターン目に展開してくる《かまどの神/Hearth Kami》を前に「これ(手札の緑のスペル)が《ずべら》だったら」と苦笑することもあったし、「マナベースが赤緑で手札が真っ黒」というありがちなマナトラブルも思った以上に多かったからだ。そして、神川物語が2マナ圏のクリーチャーがいつも以上に充実したセットであるためか「いままでのシールドデッキよりもゲームスピードは早くなることが、思ったより多そうだった」。

    結局、黒田は3ラウンドの不戦勝の期間に自身のデッキを再診断して「こっから残りのラウンドは全部サイドから2色に戻すことになりそう(笑)」という断をくだした。黒田ほどの強豪でさえこうなのだから、このくだりは神河物語のシールドデッキ構築の難しさをよくあらわしたエピソードであると言えるだろう。

    また、これは黒田だけでなく多くのプレイヤーたちが指摘していることだが、「現在の環境はデッキの組み方が何通りもある場合が多い」わけで、みなさんも神河のシールドに挑戦する際には「何度もデッキを作り直して別の可能性を模索」してみてはいかがだろうか。



     
  • Sunday, November 21: 10:10 am - 脅威の新鋭、伊藤 渉吾
    by Keita Mori
  • 初日全勝デッキリスト、最上段だけ妙に弱くないですか?」

    日曜日の朝にトーナメント会場へと戻ってきた私は、昨日の観戦記事を読んでくれたという多くのプレイヤーたちから、このような感想を(相当数)もらった。


    たしかに、順位表最上段の伊藤 渉吾(愛知)のデッキはレアらしいレアも入っていない「ド3色」で、《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》だとかサーチ・ドロー系スペルのサポートが一切ない状態での《平地/Plains》6枚、《山/Mountain》6枚、《島/Island》5枚というマナベースだ。また、多くの勝ち組の白いデッキが当たり前のように投入していた《兜蛾/Kabuto Moth》や《義理に縛られし者、長雄/Nagao, Bound by Honor》といったコモン・アンコモン級のパワーカードたちに格別恵まれていたわけでもなく、ダブルシンボルのカードが目に付く。前向きなマナカーブからテンポ勝ち出来そうなほどのアグレッシブさを感じられるわけでもないし、むしろ少しデッキは重めの曲線を描く陣容だ。ある強豪プレイヤーなどは「せっかく3 Byeなのにこんなデッキかよ…って、オレならへこみますね」と語ってくれているほどで、対戦相手がパワーデッキばかりであることを想定してしまうと、やはりつらそうだ。

    ほかの全勝デッキたちと比較するとデッキパワーの違いは明らかで、たとえば、マスターズチャンピオンである森田 雅彦(大阪)などは3枚の《木霊の手の内/Kodama's Reach》と2枚の《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》で思うがままにわが世のアドバンテージを謳歌しつつ、《昇る星、珠眼/Jugan, the Rising Star》を光臨させる。グランプリ宇都宮王者である橋本 玲(東京)のデッキも2枚の《木霊の手の内/Kodama's Reach》がサポートする「蛇軍団」の3色デッキで、《清められし者、せし郎/Seshiro the Anointed》に《せし郎の息子、そう介/Sosuke, Son of Seshiro》というコンセプトをバックアップするレジェンドに恵まれているし、《風見の本殿/Honden of Seeing Winds》の力強いサポートもある。東京の実力派リミテッダーである高桑 祥広も《明けの星、陽星/Yosei, the Morning Star》、《夜の華、切苦/Kiku, Night's Flower》、《義理に縛られし者、長雄/Nagao, Bound by Honor》といった黒白の優秀なクリーチャーたちにタッチ赤。九州の三原 槙仁も《長雄》入りのダブルドラゴン、《陽星》と《降る星、流星/Ryusei, the Falling Star》がタッグを組むというデッキで、3色ながら《旅行者の凧/Journeyer's Kite》というサポートも光る。ちなみに、一敗ラインにも覚前 輝也(大阪)のダブル《夜の星、黒瘴/Kokusho, the Evening Star》+《山伏の長、熊野/Kumano, Master Yamabushi》+《真実を捻じ曲げるもの、逝斬/Seizan, Perverter of Truth》というモンスターデッキが存在している。

    明らかに、伊藤に与えられた戦力は(相対的に)心許ないものだった。そして、伊藤はそんな怪物大行進の世界を勝ち上がったのだ。果たして、その伊藤とはどんなプレイヤーなのだろう? 興味はつきない。

    今のところ「まだ見ぬ強豪」的な括りになってしまう伊藤 渉吾。話によると、彼は名古屋で開催されたグランプリトライアルで優勝を飾って3 Byeを獲得してきたプレイヤーだそうだ。そして、伊藤は3bye明けの5回戦を全勝で駆け抜け、見事に初日全勝組の中でも最も高い(80%に近い)オポネント・マッチパーセンテージによって、順位表の最上段を勝ち取ったのだった。オポネント・マッチパーセンテージが高いということは、つまり、伊藤が不戦勝のあとに当たったのは強豪ばかりだった、ということだ。

    実際に昨日の伊藤の対戦履歴を見てみると、

    -Awarded Bye 3 Round-
    Round 4 vs. Shuhei Nakamura(PTコロンバス準優勝)
    Round 5 vs. Ichiro Shimura(PTシアトルでベスト4入賞)
    Round 6 vs. Kenta Kubota(初日終了時点で16位)
    Round 7 vs. Lee Sumg-Bum(初日終了時点で58位)
    Round 8 vs. Royce Chai(GPでベスト8に2回入賞)

    という具合。見事に強豪たちを打ち倒してきたのだ。
    そう、日曜日の動向に注目すべき新鋭があらわれた。


     
  • Sunday, November 21: 1:12 pm - 多色化する緑
    by Keita Mori


  • 12人に1人しか勝ちあがれないという厳しい初日のシールドデッキ予選を勝ち進んできただけあって、二日目のロチェスターに挑んだ多くのプレイヤーは神河フォーマットにおけるリミテッドをかなり練習してきているようだった。印象的だったのは、彼らのほとんどがこの環境特有のデッキ・アーキタイプを熟知しており、コンセプトを重視したロチェスターが展開されていたこと。そんな中、緑特有の強固なマナ基盤を前提にして他の色の強力なパワーカードにアクセスするという緑多色(3~5cG)系のデッキが注目を集めている。

    それぞれが「色の主張」をしながら「公開されたカードプール」を分配するというのがロチェスター・ドラフトであるわけだから、あたら多色系のデッキをドラフトするという行為には相応のリスクが伴う。しかし、それでも挑戦するに値するだけのポテンシャルを秘めているからこそ、多くのプレイヤーはこういった路線に活路を見出すのだ。ここでは、第1ロチェスターでの浅原 晃(Pod#3)森田 雅彦(Pod#1)のデッキについて取り上げてみよう。第1Podのロチェスター分析記事はこちらを。

    ちなみに、ヘルシンキブリスベーンという二つのグランプリで優勝を勝ち取ったデッキが「3cG」である。そう、勝つための方法論の一つとしてはすでにエスタブリッシュされているのだ。


    まずは浅原 晃のデッキ、「4cG」。こちらはボードコントロールを成し遂げてからのファッティ・ビートダウンという戦略がうかがえるもので、いわゆるコントロールデッキそのものだ。多色化支援ツールとして3枚の《木霊の手の内/Kodama's Reach》と1匹の《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》が投入されており、マナクリーチャーも2匹の《大蛇の支援者/Orochi Sustainer》と1匹の《せし郎の娘、さ千/Sachi, Daughter of Seshiro》。土地16枚+マナサポート7枚という強固なマナ基盤が一番の特徴だ。

    強固なマナ基盤によって何を為すか?
    もちろん、盤上の制圧だ。

    3枚の《汚れ/Befoul》、序盤のライフ損失を補填してくれるドレインスペルでもある《食い込む疫病/Swallowing Plague》、そして一斉除去を期待したい《忌まわしい笑い/Hideous Laughter》。まずは黒ならでは一流の除去呪文たちがラインナップされており、言うなればエクステンデッドの「The Rock」のような緑黒コントロールという確かなデッキの基盤がそこにある。それ以外で使用される3枚のスペルも実に印象的で、ドラゴン・ソードこと《龍の牙、辰正/Tatsumasa, the Dragon's Fang》、青使いがファーストピックを待望するスーパー・アドバンテージマシーン《風見の本殿/Honden of Seeing Winds》。そして赤い《怒りの狂乱/Blind with Anger》だ。普通のデッキでは考えられないくらいに多色化しているだけに、いわゆる初手級のパワーカードがずらり。

    また、コントロール志向なのはクリーチャーのラインナップにもよくあらわれていて、4体のマナクリーチャーに3体の「蜘蛛」が続き、ライブラリーを掘り進むべくシステム・クリーチャーである《空民の雲乗り/Soratami Cloudskater》と「秘儀回収屋」の《花の神/Hana Kami》が続く。《鼠の浪人/Nezumi Ronin》と《小走りの死神/Scuttling Death》はナイス相打ち要員だ。

    …そして、このロチェスター版「The Rock」の最後の2スロットを占めるのは・・・2体の《奈落の君、苦弄/Kuro, Pitlord》だ!

    浅原 晃「《沼/Swamp》6枚、アップキープに支払うのはBlack ManaBlack ManaBlack ManaBlack Manaですからね(笑)」

    と、眩しいアキラスマイル。見事にオチをつけてくれたわけだが、「強固なマナ」と「優秀なコントロール要素」をしっかりとおさえ、単なるパワーデッキの展覧会という方向に走りがちな緑多色路線において、明確な「進む道」を提示してくれた構築といえるだろう。


    さて、話題沸騰の浅原がコントロールスタイルの「4cG」だとすると、1番卓で二日目を迎えた初日全勝男、森田 雅彦の「3cG」はビートダウンというカラーを押し出している構築だ。3体のマナクリーチャーと2枚の《木霊の手の内/Kodama's Reach》という強固なマナベースでありながら、3色目は《沼/Swamp》1枚からの《肉体の奪取/Rend Flesh》タッチのみという具合で、基本的に青い航空戦力と緑のファッティという明確な主張がある。

    マナブーストからの《北の樹の木霊/Kodama of the North Tree》、《聖鐘の僧団/Order of the Sacred Bell》、《苔の神/Moss Kami》といった地上の重戦車や「空民軍団」を、《杉の力/Strength of Cedars》や《蛇の皮/Serpent Skin》、あるいは3枚の《消耗の渦/Consuming Vortex》あたりがバックアップするのだ。2枚の《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》と1枚の《大蛇の支援者/Orochi Sustainer》によって、2ターン目の2マナから3ターン目の4マナ域への到達と言う「定番のパターン」も決まりやすく、それだけにハンドに握りしめたトリック呪文や《密の反抗/Hisoka's Defiance》なども素晴らしい効果を発揮してくれるであろうことは想像に難くない。

    つまるところ、「多色化する緑デッキ」と一口に括ってみても、実に様々な姿を見せてくれるということだ。そして、そのどれも侮ることは出来ない。

    浅原 晃「こうするしかなかったからこうなっただけ・・・なんですけれどね(苦笑)」

    …そして、森田 雅彦と浅原 晃は、ともに激戦区の第1ポッドと第2ポッドをこのアーキタイプで全勝してみせた! 凄い。


     
  • Sunday, November 21: 2:46 pm - 浅原 晃インタビュー『《奈落の君、苦弄/Kuro, Pitlord》と私』
    by Keita Mori
  • 先ほどお伝えしたとおり、浅原 晃は第1ロチェスター3番ポッドという激戦区を緑ベースの4色デッキ「4cG」を完成させて三連勝を飾った。1番ポッドの森田 雅彦も「3cG」での三連勝を果たしているが、デッキの特異性という意味で浅原のそれには遠く及ばないだろう。なんせ、《奈落の君、苦弄/Kuro, Pitlord》2体を真剣に投入している「コントロールデッキ」なのだから。

    そんなわけで、激戦の合間に一息いれていた浅原 晃の話を聞いてみた。

    森 慶太「3連勝おめでとうございます。でも、以前にうかがったお話では浅原さんは緑系のデッキはあまりお好きではないとか・・・」

    浅原 晃「そうですね。嫌いですね。でも、今回は8番の席だったので、自分から色を主張していける感じではなかったんですよね。」

    Pod 3 Seat 1 Kaplan, Eli (USA) 19
      Seat 2 Kim, Min Soo (Korea) 19
      Seat 3 Maki, Koichiro 19
      Seat 4 Nose, Koji 19
      Seat 5 Takagi, Takeshi 19
      Seat 6 Shimura, Ichirou 19
      Seat 7 Kaneko, Masami 19
      Seat 8 Asahara, Akira 19

    「では、そのドラフトの様子をお伺いしたいと思います。たしか、浅原さんだけでなく上では志村君も、下の(1番席の)イーライ・キャプランも緑になってしまったんですよね。」

    浅原「そうですね。最初は卓でイチロー君と二人で緑をやれてたんですけれどね。下(1番キャプラン)が《八ツ尾半/Eight-and-a-Half-Tails》スタートで白赤っぽい雰囲気だったんですけれど、結構どうでもいいカード、1/3とかでしたかね、でいきなり下から緑にカブってきたんですよね。」

    「《松族のおとり/Matsu-Tribe Decoy》ですか。それじゃあ、上下で緑をやられてしまっては《木霊の力/Kodama's Might》だとか《聖鐘の僧団/Order of the Sacred Bell》みたいな優良ビートダウンがとれなかったのも頷けますね。上下に挟まれて、浅原さんは緑ではマナ基盤だけに特化して、黒い除去に救いを求めていった感じですか?」

    浅原「そこで《奈落の君、苦弄/Kuro, Pitlord》ですよ(微笑)」

    「・・・ヤツは・・・やりましたか?」

    浅原「そうですね。実際問題、黒も除去しかとれてなかったんで、これはこういうのでなんとかするしかないぞ、と。《龍の牙、辰正/Tatsumasa, the Dragon's Fang》とかもしかりで。で、《苦弄》一枚目が早い段階で取れて、最終的なデッキの構想はかたまりましたね」

    「しかし、上下に緑がいる卓で、よくもそれだけの緑のマナブーストをピックできましたね。」

    浅原「なにもないパックをあけちゃいまして。一巡目の自分のパックの初手で《木霊の手の内/Kodama's Reach》を。で、(浅原は8番席であるため)返しの流れの、二順目の最初のパックでも初手にスーパーカードはなく《木霊の手の内/Kodama's Reach》をピックするハメに。2連続ピックでしたね。こうなったら、あとは騙し騙しマナだけを伸ばそうかなと。」

    「なるほど、それでは、3人いる緑の中でも浅原さんは『そういうデッキ』をアピールしていけたわけですね。ビートダウン系カードにさわらないことで、苦しいながらも緑のカードプールを分け合ったと言うか、マナソースだけ拾っていったというか。しかし、《風見の本殿/Honden of Seeing Winds》なんか、よくとれましたね。青い人が流してくれるとも思いませんし」

    浅原「ラストパック、自分で引きました。こうなったのを見越してと言うか、ちょっと、ツイていましたね。あと、キーカードになった《忌まわしい笑い/Hideous Laughter》が5手目くらいでとらせてもらえるくらい(卓が協調の方向にむかった)っていうのも大きかったですね」

    「で、構築中には対面に座っていた大礒(正嗣)君なんかも大喜びしてしまうようなデッキに仕上がったわけですが、これで実際にあの卓で3連勝してしまいました。実際にどのような感じでマッチは進んだのですか?」

    浅原「最初は真木さんとあたってフィーチャーされました。2枚の《罰する者、ゾーズー/Zo-Zu the Punisher》は土地を伸ばすデッキだけに効いたんですが、《忌まわしい笑い/Hideous Laughter》から何とか」

    「なるほど。続く10回戦と11回戦はどうでした?」

    浅原「10回戦は《奈落の君、苦弄/Kuro, Pitlord》で(笑) 11回戦は《龍の牙、辰正/Tatsumasa, the Dragon's Fang》が頑張ってくれましたね。《空民の雲乗り/Soratami Cloudskater》にくっついて殴りきりました」

    「盤上をコントロールしきってからフィニッシャーという、本当に構築めいた動きだったわけですね。私はさっき『リミテッド版The Rock』だなんていい加減なコピーで記事を書かせていただいたんですが、あながち間違ってもいませんでしたか。しかし、こういったアーキタイプって、なかなか狙えないですよね。森田君のような、緑のビートダウンを活かすような多色化は結構ありそうなんですが。」

    浅原「そうですねえ。素人にはおすすめできません。というか、狙って出来るわけではなく、苦肉の策がいくつかの偶然と重なってこうなっただけですからねえ。」

    「なるほど。ところで、これからは浅原さんが神河ブロックで緑に触手を伸ばす機会が増えてきそうですか? ・・・味をしめちゃったといいますか、結構5cGいけるぞ、みたいな。」

    浅原「・・・いやあ、普通に赤とか黒をやらせてもらいたいですねえ(笑)」

    「お忙しい中ありがとうございました」

    そんなわけで、「選択肢が減ってしまったためにそういう方向性へ追いやられた」と、さらりと言ってのけている浅原だが、そういった切羽詰まった状況で機転をきかせることができた「マジック脳」には、やはり頭が下がる思いだ。

    おそらく、私自身を含めた「並みのプレイヤー」であれば迷走した意味不明の多色デッキに落ち着いてしまうのではないかと思われる局面だが、浅原 晃は「緑黒のコントロールデッキ」という明確な勝ち筋をそこで見出している。そう、一つ一つのピックが7人のライバルたちとのキャッチボールとなるロチェスターで、浅原は文字通りに死中に活を見出したということだ。

    まあ、凡百たる我々がこういった切り口で飛び込んでいくことは難しいだろうし、浅原自身が語ったようにカードの出現具合にも左右されるだけに「偶然の産物」的な要素も決して少なくない。ただ、柔軟な発想=いわゆる「マジック頭」を鍛えておくことでこういったミラクルもありえなくはない、という教訓めいたエピソードということだろうか。浅原いわく、かなりの練習量をこなしてきたという神河リミテッドでも、今までに一度もこういったコントロールデッキに出会ったことはないと言うし、ましてや組んでみるのも今回がぶっつけ本番ということである。

    最後にお詫びを。

    これまでの観戦記事で何度となく浅原 晃の第1ロチェスター・ドラフトについて「第2ポッド」という風にお伝えしてしまっているのだが、それらはすべて「第3ポッド」が正しい。謹んで訂正させていただく。


     
  • Sunday, November 21: 3:23 pm - ジュニア・トーナメント優勝は廣政 龍亮(東京)
    by Keita Mori


  • 参加者41名という規模で開催されたグランプリ横浜ジュニアオープン。参加資格は中学生以下の少年たちに限られており、スイス式6回戦のスタンダード戦で彼らは若い力を競い合った。

    そして、6戦全勝という素晴らしいパフォーマンスでの優勝を飾ったのが廣政 龍亮(14歳)。対戦相手のエンドステップに緻密な計算をしながらマナバーンを交えつつの《溶鉱炉の脈動/Pulse of the Forge》を連打していたのが印象的で、彼は技巧派のポンザ使いと言っていいだろう。

    Land Destruction –Burn
    Junior Winner, Tatsuaki Hiromasa


    そんな廣政少年がこのデッキでこのトーナメントに出場したのは、「長く使い続けてきたデッキだから」というのが一番だが、「トーナメントクラスのデッキとして仕上げるために、(パワーカードを集めるために)ほかのカード資産を投げ打ってしまっているために他の選択肢があまり無い」のだとも言う。今のデッキにも「あと数枚の《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》をいずれ投入したい」と考えているそうで、中学二年生らしい、身の丈にあったマジックライフを彼は送ってくれているのではないだろうか。ついつい、私も若かりし頃に《ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk》や《神の怒り/Wrath of God》を集めるのに苦労したのを思い出してしまうひとときだった。

    廣政少年は同じ中学校に通ういつもの仲間たちに誘われてこのジュニア・トーナメントへと参戦することを決意したそうで、GAMEぎゃざやMANABURNといった雑誌でマジックの情報を得ているそうだ。「でも、パソコンが壊れてしまっているので、いまはネットはできないんです」とのことだが、彼には「毎日一緒にデュエルにつきあってくれる仲間がいる」という何にもかえがたいアドバンテージがある。実際、このトーナメントに参加した廣政少年の仲間からは3位入賞者と4位入賞者も輩出されているそうで、いずれはもう一つ上の舞台で「少年」という冠のとれた廣政 龍亮を見ることが出来るようになるのではないだろうか。

    おめでとう、廣政 龍亮


     
  • Sunday, November 21: 5:55 pm - 秘儀・連繋!
    by Keita Mori
  • あなたは青緑のデッキをドラフトしていて、幸運にも《南の樹の木霊/Kodama of the South Tree》をピックする機会にめぐりあえた! おめでとう!

    しかし、そこで高桑 祥広はチンケなレジェンドには目もくれなかった。
    では、何をとったか?

    ・・・《霧中の到達/Reach Through Mists》だ!

    Akihiro Takakuwa
    Grandprix Yokohama 2nd Rochester Deck



    デッキリストは真実を雄弁に語ってくれている。

    そう、これは秘儀から連繋させる《思考の鈍化/Dampen Thought》で相手のライブラリーを攻撃しようというアーキタイプなのだ。15枚のスペルのほとんどが秘儀で、クリーチャーはわずか8枚。それも、チャンプブロッカーとマナブースト要員がほとんどで、《花の神/Hana Kami》は大切な秘儀呪文を回収してくれる重要なパーツだ。

    初日を全勝で通過した高桑。実は彼は本日の第1ロチェスターで低迷し、3連敗を喫してしまっている。つまり、思わぬ失速となってしまった彼は、この第2ロチェスターでは最低でも3連勝がノルマという位置なのだ(もっとも、それでも決勝ラウンドに勝ちあがれない可能性はあるが)。

    さて、この秘儀・連繋アーキタイプについて、この環境を熟知する石田 格から興味深い示唆を得ることが出来たのでご紹介しておこう。

    まず、青が基調となるのは勿論として、赤や白をからめた構成のこのアーキタイプは、かなり強いことが多い。高桑のデッキは実際に相手をライブラリーアウトさせるまでに生き延びるためのスペルが乏しく、『まにあうかどうか』という出来だと思われる。

    ところで、実際にこのアーキタイプは「やってみないとわからない」ことが多いという。たとえば、このライブラリーアウトデッキに対してはサイドボードから《石の雨/Stone Rain》や《困窮/Distress》などを追加するだけで恐ろしく勝率が跳ね上がるそうだ。さらに、デッキにはとても入らないような「とりあえずはクリーチャー、たとえば6マナ3/3とかでも」カードを詰め込んでデッキのサイズを60枚にしてやるというのも覿面に効くとか。

    最終戦を終えた高桑本人にもこのデッキについての話を聞いたのだが、やはり石田が挙げていたのと同じようなことを最初に語ってくれた。実際問題、最終戦でマッチアップされた覚前 輝也にもメインボードを60枚近くにする作戦をサイドボーディング後からとられて敗れてしまったそうだ。結局、セカンドロチェスターは、このデッキで2-1という結果だった。

    高桑 祥広「まあ、正直プロツアーでは通用しないアーキタイプでしょうね。バレてる相手だともう対策されまくりですから。サイドから60枚デッキにされたり、手札破壊で《思考の鈍化/Dampen Thought》抜かれたり、土地割られたり。でも、案外とまだ知られてなかったみたいですね。ルーキー様でもこのデッキ知らなかったですしね」

    森 慶太大礒 正嗣クラスでも知らないデッキタイプでしたか。それなら、今大会での奇襲効果は高そうですね。ただ、すべての出現カードが公開されるロチェスターでは実際どうなのでしょう?」

    高桑「いやあ、あんましオススメできないですね。ちょっとのカットですぐにやられちゃいますからね。そういう意味では、今回はよくもまぁ3枚も《思考の鈍化/Dampen Thought》をとれたもんです。決めカードの」

    「ただ、潰されやすいという脆いアーキタイプでもあるという事実、それでも、あえてロチェスターでこんな極端なデッキに挑戦するというリスクをおかしたのは、それだけ自信があったと?」

    高桑「たしかに、結構練習したんですよね。Magic Onlineとかで。まあ、なんにしても神河物語が3パックの段階でしか試せないデッキでしょうし、正直3連敗しちゃって面白くなっちゃった(笑)ってのもあります」

    「なるほど。ときに、石田 格さんなんかは今回の高桑さんのデッキを見て『このアーキタイプを知っている相手と戦うにはちょっとつらい出来なんじゃないか』という見解をだしてくれているんですが、高桑さんはどう思いますか? あと、このデッキの理想系も教えていただけたら幸いです」

    高桑「そうっすね。色では青赤とか最高なんですけどね。《氷河の光線/Glacial Ray》さえあれば、それと《伝承の語り部/Teller of Tales》とのコンボだけでダメージレースで勝てちゃったりもしますしね。まあ、そういう意味でこのデッキで緑っていうのはあんまりいい色じゃないですね。実際クリーチャー8体も入ってますからね。成績もなんだかんだで2-1で、3勝しないといけなかったわけっすから。あ、白も悪くない色です、時間を稼ぎやすいですからね」

    「そうですか、クリーチャー8体は多いですか。それでは、どのくらいの配分がよいでしょう?」

    高桑「そうっすね。《すべら》だけでいいくらいで、あとはまあ、《氷河の光線/Glacial Ray》あったら《伝承の語り部/Teller of Tales》は相当に頑張ってくれますけど。」

    「そうでしたか。貴重な話をありがとうごじました。あと、すでにプロツアーの権利を確保済みでの参戦でマネーフィニッシュ、おめでとうございます」

    高桑「ありがとうございます。って、これ載せてもらえるんすか? まいったな(笑)」


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